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婚約破棄、からの大逆転|王女様に婚約を破棄されましたが、おかけざまで幸せです。2

容姿端麗、文武両道の辺境伯・ディルク・ヘルトルは遭難した森の中で、彼の領地に隣接する蛮族の国・バーム国(バーム族)の娘シェーラに出会う。

バーム族のところには帰れないというシェーラをディルクは自らの屋敷に連れ帰り、メイドとして雇用することにする。

ディルク自身も彼女の様子を気にかけ、一日に一度は顔を合わせるようにしていた。見る限り、ハズバでの生活やメイドの仕事に慣れようと、懸命に頑張っている。

シェーラの出身地であるバーム国と、ディルクの領地であるハスバはお世辞にも良好とは言えない。

間者である可能性も考えたが、外部との接触もなく、不器用そうで正直者なシェーラの性格から、間者ではないと判断されディルクは彼女を見守ることを決める。

飄々としているので、不幸な生い立ちを背負っているようには見えない。しかし気丈なだけかもしれない。 もし何か事情があるのならば、命の恩人でもあるのだ、できる限り助力してやりたいと思っていた。

しかし、それが仇となり、ディルクは婚約者にシェーラとの仲を疑われ、婚約を破棄されてしまう。

何度目かわからないほどの婚約の破棄。

ディルクは容姿や文武の才には恵まれていたが、思い込みの激しい自身の性格と運のなさが災いして、とことん女性の巡り合せが悪い男だった。

「誤解され……婚約を解消……誤解はよいのだ。誤解から始まる愛もあるだろう。だがみな、私を愛さない……ささやかな幸せすら、今はこれほどまでに遠い……」 

ディルクのヤケ酒に付き合うシェーラ。

そのまま夜になってしまい、様々なことが起こり……

言葉が足りず、ハスバの風習にも疎いシェーラと思い込みが激しく勘違いをしやすいディルクが。

勘違いに勘違いを重ね。

誤解が誤解を生み。

2人のちぐはぐな、恋人生活が始まる。



同タイトルのスピンオフ作品

作者は御鹿なな。
小説家になろうで活躍しています。
同タイトル作品が書籍化されており、本作はそのスピンオフ。

本作は、なろうでは発表されていない書き下ろしのようです。

なろうの発表作品も本作ほか2作品しかないので、まだ新しい作家さんのようです。

挿絵は北沢きょう。
挿絵を中心に活動されているようで、手掛けた書籍はたくさんありました。


婚約破棄のもう一人の被害者・残念男のラブストーリー

『王女様に婚約を破棄されましたが、おかけざまで幸せです』というタイトル通り。

一作目は主人公・セレイアが幼馴染みであり、婚約者であるハロルドを王女・コルネリアに横恋慕され、婚約を破棄され、辺境伯であるディルクの元追いやられ、無理矢理婚約させられる、という話でした。

ディルクは、コルネリアの横暴な性格を知らず、外見だけで恋をし、彼女の為に二人の邪魔者であったセレイアを婚約者として受け入れ、最初は邪険に扱いますが。

段々と本当の彼女を知り、(セレイアの方は色々と誤解していたけど)惹かれていきます。

私も一作目を読んでる最中に「このままディルクとくっつくのかな?」と思うくらいに後半憎めないキャラクターですが。

まあ、ラブストーリーなので。
予定にない相手とはね……的な感じです。

結局、ディルクもセレイアと同じく王女・コルネリアの婚約破棄騒動の被害者だったんですよね。

思い込みが激しく、勘違いしやすいのですが、悪い人ではない。それがディルク。

剣の腕は良いのに、シェーラとも誤解の末、「勝った方の意思を尊重する」と彼女と決闘することになります。

「君を殴れるわけがないであろう。……決闘など……惚れた女相手にするものではないな」

決して彼としては認めたくない話だったろうに。
それでも。
彼女に勝つことは出来なかったんですよ。

愛する女性に勝利を捧げる、というのも嫌いなわけじゃないけど。
プライドを投げうって負けてくれる、というのはカッコいい。

この作品の魅力は、ディルクの人間臭さにあると思います。

頼りになる、とか、そういうのではなく。
彼も迷い、悩み、時には涙を流す。
そこにシェーラの隠された事実がドラマチックに絡み合って。

一作目よりも、本作の方が私は好きでした。

一作目を読まなくても、この作品だけで独立しています。

両方ともKindleUnlimitedにあるので、是非読んでみてください。


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