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家庭菜園における緑肥導入のハードルを下げようとする話。

どうもあいりすなっぷです。
突然ですが、緑肥作物というものを知っていますでしょうか。
緑の肥料、と書いて緑肥です。

緑肥とは、簡単に言うと農業的にメリットの多い草花の事を指します。それを野菜に影響が出ない程度に栽培し、土に鋤き込んだりすることで肥料分を供給したり、虫被害を抑制したりなど様々な用途で活用していきます。
現在の農業の主軸となる三大農法(慣行、有機、自然)全てで取り入れられています。

これはエン麦

ちょっと意外というか、身近に近いもので言うとマリーゴールドヒマワリも緑肥に該当します。
畑に咲いていたとしても「あ、綺麗」と思って通り過ぎてしまうかもしれませんが、実はこういった花々も緑肥という側面を持っています。もちろん全てが緑肥用に育てられているかは別ですが。

さて、そんな緑肥の存在を知ったとしても、個人的に家庭菜園規模だと導入するハードルが高い、もしくはメリットには惹かれるけど草というジャンルから抵抗感が少しあるという方が居るかもしれません。

その理由を挙げるなら、以下のような事が思い浮かびます。

1.種類があり過ぎてどれから手を出していいか分からない。
2.虫対策と言っても、草花に必要以上に虫が寄ってきそう(野菜に移りそう)
3.限られたスペースだと緑肥導入の難易度は余計に高く感じるし、窒素飢餓も心配。
4.余計にコストが掛かりそう。

この他にもあるかもしれませんが、今回はこの4つに対して、あくまで僕的な考えを述べてみます。

1.種類があり過ぎてどれから手を出していいか分からない

緑肥作物の種類は意外と多いです。
先程書いたようにマリーゴールドヒマワリも緑肥用のものがあり、野菜で言えばトウモロコシなども緑肥用の品種があります。
そうなると「どれから手を出していいか分からないよ!」と思うかもしれません。実際僕も草の活用をした野菜作りを実践する手前、緑肥についても最初はどれにすればいいのか迷いました。

そういう時はまず導入する目的と目的に応じた緑肥を一つに絞る、というのが良いと思います。凄くシンプルですね。

緑肥は種類の多さもそうですが、出来る事も多いです。

例えば土壌の虫被害(センチュウなど)の抑制、肥料分供給、土をフカフカにさせる、防草効果など様々です。

ですので、まずは目的を定めて一つに絞り、その目的に応じた緑肥を一種類ぐらい導入するのが手っ取り早い導入方法です。
一種類ぐらいに留めておけばコストもあまり掛かりません。通常の野菜種のような小袋タイプも販売しているので。

また、その目的に応じた緑肥の解説なども含め調べたらいっぱい出てくると思いますが、個人的には草丈をちゃんと見といた方が後々困らないと思います。
草丈が高いものだと2mを越える緑肥もあるので、例えば土にすき込む時に大変だったり、緑肥の栽培中に他の作物の畝に不必要な日陰を作ってしまう可能性などもあります。

2.虫対策と言えど、必要以上に虫が寄ってきて野菜にも移りそうで怖い


緑肥=草(または花)だから、草を残しとくと必要以上に虫が来て野菜に寄せ付けてしまうのではないか。また、虫の住処になるのではないか。

こういう懸念点はあると思いますが、根本的なものとして草が無くても虫は来てしまいます。
また、虫の中には畑という環境に飛び込んだものの、草が無い故に野菜に移ってしまうなんていう場合も無くはないでしょう。
極端に「草があればこんな事にはならなかったのに!」とはならないにしろ、そういった草の有無におけるメリットデメリットは存在します。

では、緑肥や草を活用した虫対策の原理とはどういうものかと言うと、たとえば虫が来る事を前提に野菜ではなく草に寄せ付けたりすることで相対的に野菜から虫を遠ざける特定の虫の天敵になる虫が好む草を残しその天敵に昆虫バトルをしてもらって被害を抑えるなどといったものになります。

草を残したら必要以上に来るのではないかといった不安に釘を刺すかもしれませんが、草を増やせば虫の来訪は多くなります
ですが、今までは害虫とされる虫だけが来ていたとしても、緑肥などによって野菜には目を向けず野菜に付きそうな虫にのみ目を光らせる虫も来ることになります。
どうせ虫が来るなら野菜作りにメリットのある虫にも来てもらう、という考え方と言えます。

そもそも虫対策というのは農薬等を使用しても被害を完璧に抑える事は難しいため、虫を懸念する場合は上記の事を頭に入れつつ、緑肥でアプローチするかしないかを決めていくのがベスト。

3.限られたスペースだと緑肥導入の難易度は余計に高く感じるし、窒素飢餓も心配。

市民農園など限られたスペースで緑肥を導入するとなると、他の人の野菜作りに迷惑を掛かるのではないかといった悩みや、そもそも限られた畝を緑肥に使うのは勿体無く感じてしまうかもしれません。

まず、他の人に迷惑が掛からない緑肥導入方法として、その市民農園などのルールを守るのを前提に、景観作物などが導入しやすいかと思います。
最初に書いたようなヒマワリマリーゴールド、その他にクリムゾンクローバーなどが景観作物としての側面もある代表的な緑肥です。

明らかに草といった見た目の緑肥よりも、そういった景観的な作物であれば迷惑が掛かる可能性も低いと思いますし、何か聞かれた際に緑肥の説明もしやすいと思います。(「花を楽しめつつ、肥料になるんですこの作物」みたいな)

また、畝を緑肥栽培に使うのは勿体無く感じるかもしれませんが、畝を休ませる期間というもの時には必要だったりします。また、連作の箸休めにもなると思います。
かと言って必ずしも野菜→緑肥→野菜……というようなサイクルを必ず作る必要は無いので、どうしてもという場合は冬などを見越して導入を考えてみてはいかがでしょうか。

窒素飢餓については、すき込んでからすぐに作物を栽培しないようにすれば影響はそこまで無いと思います。ちゃんと対策するなら一ヶ月ほど空けるのがベスト。そういうラグを見越す必要はあります
緑肥作物を早く分解させるために細かくするのを忘れずに。

4.コストが掛かりそう

緑肥を土にすき込む場合、種子を残す前にすき込むので使用するたびに購入する事が多いです。よって基本的にランニングコストが掛かります

仮に種子を付けてしまうと雑草化してしまったりなど管理が難しくなることも(種を残す前に枯れるという特性を持った緑肥も存在しますが)
もちろん繰り返し使えるなら種子を残したいと思った場合持ち越す事も可能ですが、そういった雑草化のリスクなどをよく考える事が必要です。

また、労力的なコストも。
ライ麦などは草丈が高いものもありますので、人力だけで細かく砕きすき込むというのは不可能ではないにしろ、かなりの労力が必要です。
そういう場合は草丈の低いものなどを探し、少しでも負担を減らせるようにするのがいいとおもいます。

まとめ

今回書いたこと以外の理由で緑肥導入を悩んでいる人も居るかもしれませんが、正直小袋タイプのものでほんの少しでも蒔いてみてどういうものか目で見た方が想像しやすいと思います。
基本的に育つ条件は野菜よりも緩いので、いきなり畑で試すのが不安な方はプランターで試したりなんかもいいかもしれません。

今回は緑肥導入のハードルを下げることを目的に書いてみましたが、総合的に見ると考える事の多い肥料資材という印象を持つかもしれません。

ですが、緑肥は出来る事が多く、野菜作りにおいてもメリットが多いので、僕的に一度は活用していくのがオススメ。

気が向いたら、僕が去年導入してみた緑肥についても改めて書こうと思います。

それでは、また。


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