シェア
入透
2020年4月7日 23:03
初夏すべらかな白い二の腕をはしる幼い溜息が屋根の上にのぼってミント・グリーンを街に降らせた静寂ほど騒がしいものは他になくサンダルに溜まった透明を濁らせるゆれる白昼夢そう思っていたものこそが世界かつて誰かに背中を刺された人が、愛に名前をつけたそのときからずっと私の幻肢痛は消えない唇に拒まれたままの声は死にかけの昆虫のように脊髄の周りを回っている足裏を青が脈打つ生命は皆、何か
2020年4月7日 22:44
写真を撮ろうと思っていたのに、てのひらが冷気に押されてポケットに戻ってしまった 冬は沈黙が一番うつくしく歌う 重力の片隅でおどる白は視界を甘く満たすのに 口に吸い込んだとたん、咽をひっかいて咳をさそう とおく、彼らの故郷に いとしい人のおもかげのような朱がさす 「ああ、君らは春からきたんだね」 その奥に冬をかくした、甘く、やわらかなかたちに 薄紅をの