見出し画像

中学校の授業での「集団行動」に学んだ『自由と権利』

先日、ある中学校に授業に行きました。
体育館で、約100人×2回=約200人の半日の授業でした。そのときの中学2年生の生徒たちの行動にとても感心しました。

整列や、立つ・座るなどの集団行動をテキパキとするのです!

これだけの人数の授業ですから、ひとつひとつの間に時間がかかったりするものですが、全くそんな時間も取らず、とってもスムーズに進行していきました。

生徒たちの集団行動から、
個性や自由といった風潮・論調からは全然異なる、
集団社会の形成や、権利という部分まで感じました。


冒頭のピシッと整列した音楽隊の写真がとてもマッチしたので、すぴーさんの作品を使用させていただいています。ありがとうございます。



①集団行動に見た、それぞれの責任

こうした大勢の授業では、輪を乱す行動が全体に影響します。

なかなか整列しない、指示を聞かないなど、多くの人の時間を取っていってしまいます。

一方で、100人もの生徒たちが、
それぞれ意識して、
集団のために、
同一の行動を迅速にとることにより、
集団全体のメリットに繋がっていくことを感じました。

集団行動において、ひとりひとりの『責任』とも言えるのかもしれませんね。


②集団行動にみた、権利

子育てや教育において、
「個性」や「自由」の名のもとに、
集団に属したくない、行動を縛られたくないという風潮もあるのかもしれませんが、
それは権利ではありません。
時としてワガママになってしまうものです。

100人の中学生のテキパキとした集団行動にみた「権利」は、

ひとりひとりが集団に貢献することにより
余剰の時間分だけ『学ぶ権利』が生まれてきました。

これは大切な時間でもありますし、
まぎれもない一人ひとりの権利です。


③成長する集団性

この中学校で更に感心したのは、
単に整列や移動が速いというだけでなく、
話を聴く姿勢や、活動に取り組む姿勢が一段と違いました。

活動を始めて、自由活発に活動していただきました。
私がマイクを握り、話し始めると、
即座に会話や手を止めて、全員が私のいる前方に向きを変え、姿勢よくこちらを見ています。
一瞬にして会場が静寂になり、きちんとした説明ができました。

100人の生徒全員が、そうしたお利口さんの素地があるというわけでは決してないと思います。
周りの人がそうしてるから、輪を乱さないように自分もそうする。
そうした好循環での連鎖により、
『集団が成長』しているように感じました。


④中学生に学んだ社会に通じるもの

中学校という集団社会において、こうした集団行動が重要というのは、改めて感じました。

自由や個性ということを重視する時代において、こうした集団行動はだんだんと欠如しているのかもしれません。

しかしながら、ぼくたちが生きていく社会は往々にして集団社会です。

もちろん、整列したりとかは無いですが、

お互いの時間を大切にする。
ひとりひとりの行動がチームに影響する。
それぞれの人を思いやって行動する。

こうした集団行動で培っていくことができる『心の育み』は重要だと思いましたし、授業に行ったぼく自身が一番学んで帰ったように思いました(笑)

テレビでもよく放送されていた日体大の集団行動とか、
消防・自衛隊のような規律・隊列ある職種とか、
それ相応に鍛錬されたそんなんじゃなくて、
どこにでもいる中学生100人の集団行動、ぜひ見てもらいたいと思います。


⑤授業後の話

授業後、校長先生とお話しする機会がありました。

生徒たちの規律ある行動ぶりを感心して、質問しました。
すると、集団行動には、基礎として力を入れているとのことでした。

この校長先生は、「体育科」の女性校長先生です。
「やはり・・・!」

これまで色んな機会で、多くの学校に行ってきましたが、これほどピシッとしている学校は稀でした。

もちろん、その土地柄・人柄、学校の雰囲気もありますが、
やはり校長先生をはじめとした、ご指導の賜物だと思います。

この校長先生は、「そうですか~?私が行ったどの学校もこんなもんでしたよ~」なんて笑っていましたが、
僕からは「それは先生が行く先々がそんな学校になっていってるだけですよ!(笑)」と返答しました。
今年で定年退職をされるそうです、きっと多くの子ども達の心を育んでこられたものと察します。


脱ゆとり教育から一転、学習指導要領がパンパンになり、
働き方改革から、土曜日授業を活用しての総合学習の授業も設けにくくなり、
IT教育や、SDGs・・・
子ども達の学習の場面は、課題が多様化する時代に合わせるように、どんどんカリキュラムが積み上がっていっています。

でもでも、こうした集団行動っていうのは、様々な根底にあるものなのかなと感じました。

ナンバーワン、オンリーワンを目指す教育も大切なのでしょうが、
その「ワン」が全体へ影響・貢献するということを実感していけることは、社会のなかで生きていく、社会を構成する一員として重要なことを学んでいくものと思います。


ぼくが行った授業の内容なんて覚えてなくて良いから、
中学2年生のあの日、みんなで素早く真っすぐに整列することができたこと、それだけはずっと覚えていてほしいです。

ぼくが一歩成長できた授業となりました。


いただいたサポートは、NPO法人好きっちゃ北九州の活動費に、大切に活用させていただきます!!