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自分の弱さに名前がついた日 (後編)

今回は、自分の人生観が大きく変わった、大人になってからの【診断】までの流れを説明します。また別の投稿では、具体的な自分の弱さをもっと丁寧に説明・分析しようと思っています。
Part 1 (前編)はこちら
Part 2 (後編)はこちら

❸なんでそんなこともわかるの?

学芸大学の商店街にあるクリニックに着いたら、すごく綺麗な待合室で、面白そうな本やおしゃれなイラストや写真などが飾られていた。先生も若くて、多分同じくらいなのかな?と勝手に思ってた。(若いのがいいってわけではなく、若い=大学で最近のアップデートされた教育を受けたのかな?という私のこだわり。ベテランの先生がいい場合もあるけど、発達障害やメンタルヘルスは新しい情報の方が正しいし、最近アップデートされたものが多いので、若い先生が良かった)よくいるドクターとは大違いの、カジュアルなイメージ。

診断を受けた部屋

オンラインですでにADHDチェックリストを3種類くらい(NPの花谷さんの記事内のものも含め)念の為にやっておいた私は自分のADHDかもしれない症状や、昔から地味に困っていたこと、特に今のパンクしている状態で困っていることをオンラインの問診票でも書いたし、座った瞬間、ペラペラ話していった。先生は「はいはい」と頷きながら、

  • うるさい音とか、特定なノイズなど気になることとかってありますか?
    (好きじゃない周波数の音楽や声を聞くと、思考が停止する)

  • 着る服の着心地や質感は気になる方ですか?
    (デニムとか無理で、柔らかい服が好き)

  • 服の首の後ろに付いているラベルが邪魔すぎて、切ったことありますか?
    (日本の服のラベルは大丈夫だけど、今まではチクチクするのでほとんど切ってた)

  • 行列とか並ぶのが苦痛ですか?
    (並んだことあまりない。食べたいものは今すぐ食べたい)

  • 電車に乗っていて、パニックになって突然苦しくなったりしますか?
    特に20代後半は、無駄にパニックになって電車をよく降りて深呼吸しないと息苦しかった

  • 脳内で何人か同時に話しかけるような、ザワザワした雑音みたいなものを感じますか?
    ずっと脳内に自分が数人いる感じ。その他は他人が言うだろう本音のセリフと自分の意見で脳内喧嘩になっていた

  • 部屋やパソコンのファイルとか、片付けは苦手ですか?
    部屋は常にカオス。母にはずっと「なんで片付けられないの?風水的に良くないのに…」って毎日言われている。PCのデスクトップは3層くらいのアイコンで埋まっている

  • 忘れ物など多いですか?
    携帯は何度も忘れるし、airpodsは無くしたと思っては買ってたので、溜まってしまった。常に探し物をしているし、そのために鍵が見つからず遅刻をよくする。

などなど、(放心状態だったので、全部覚えてない💦です)とても不思議で具体的でピンポイントなのに、なんかすごくランダムで、記事で読んだADHDの症状と関係ないような質問をたくさんしてきたので、
「え?そうですけど?なんでわかるんですか?
先生って、実は透明人間で、私の普段の様子を見てましたか?」
って思わず聞いちゃうくらい、普段はわざわざ人には言わないような脳内に収めておくようなディテールのことを知っていた。

誰にも話してない情報も実はまだあった?という【驚き】

実は、ここ9年くらいはTA交流分析をベースにセラピー(カウンセリング)をセルビアにいる臨床心理士とスカイプを通して週一でやっていて、これでもかというくらい自分の気持ち、葛藤、コンプレックス、嫉妬、トラウマなど、恥ずかしいこと、言いづらいことを全て自己開示してきたつもりだった。イレナという人間をペロンッと裏返ししたくらい自分の中身を見せたと思っていたけど… 確かにこういう細かな気づきや、頑張って「普通」や「当たり前」の期待に応えるような努力とかイライラはあまり言葉にしてなく、自分だけで静かに、当たり前のように我慢していたかも。

なぜ自分のセラピストも含め、他人に言ってなかったかというと、みんなも同じだと思っていたから。当たり前の状態だと思ってた。誰だってこれくらいの雑音の中で生きていて、それでも私より結果をスムーズに出していってるから、多分、意思の強さの違いだと思っていた。

出かける前に携帯や財布などを20分以上探しているからいつも遅刻してる、とか。
すごい自分の中で「これ興味ある!」ってパッションを感じても、情熱が冷めたら一歩も動けなくなって、人によく「そういえば、前あるって言ってたビジネスアイディア、どうしたの?」って聞かれるのが怖くて会わないこともあった。

これらはあまり人に話してなかった。当たり前だと思ってたこともあるけど、大人として、恥ずかしいからどこかカッコつけてたかもしれない。今思うと。

❹「お疲れさま」

先生はあと、今一番困っていること、うまくいかない作業などを聞いてきた。最近だと、時間の管理がうまくいかない、モチベーション上がらない、どんどん先延ばしにする、すぐ忘れ物をする、タスクの優先順位がわかんらなくなってパニックになる、Project Managementで求められるスキルのほとんどがないから、すぐボールが落ちる… 自分は頭良くないわけではないのに、得意じゃないことはいくら挑戦しても上手くいかない。すごく自信が無くなっていったことを伝えた。

「今まで、本当に大変でしたね。お疲れさま。」

後で調べると、こういう診断される時の医者の名セリフというか、お約束のようなセリフだったとわかったけど、その日はその言葉にすごく癒された。やっと誰かに自分の苦労や辛さを認められた気持ちで、自分が子供の頃から地味に悩んでいたことにやっと、名前がついた。ADHDだった。

一般的にADHD治療に使われる、アトモキセチンという薬を少量でスタートしましょう、という提案をされて、少し悩んだ。今までは落ち込んでも、メンタル系の薬は怖い、ってイメージが強かったので、少し抵抗はあった。でも、自分の脳が元々作りづらいドーパミンを少し上げてくれるだけで、自分は自分でいられる、とわかると、少し前向きになった。

「私は多分、ADHDのカオスや変わった連想のおかげで、普通人がつなげないようなリンクを見つけたりして、クリエイティブな発想が生まれるのだと思う」と伝えた。なので、薬の強さでいうと、あまり高すぎる投与量は希望しない、と強くいった。

昔の自分に教えてあげたい(背景にある、80文字くらいの漢字が読めた、3歳くらいの時)
昔から脳内がカオスで、世界をちょっと不思議な感覚で感じてた

❺診断された当日の気持ち

ADHDという日本だと「発達障害」の「障害」というワードの印象が強くて、すごく大袈裟なラベルだと思った。言葉の印象ってすごいな、ってなんかモヤモヤした。診断されると、「やばい、私ってダメなのかも」とか「恥ずかしい、誰にも言えない」とか「もう、これで終わりなんだね」って言う人がたくさんtwitterにいた。でも、私はどちらかというと、すごく前向きになれた

なぜかというと今までバラバラと言われ続けた「あなたはダメよね」の無数の指摘が、ほとんど全部、ADHDという一つの脳の状態にまとめられたから、長年の謎が溶けた… すごく楽な、肩の重みがスッと軽くなった気持ちだった。痩せたわけじゃないのに、身体がすごく軽く感じた。今まの恥や罪悪感の重みってすごかったんだな、って。

あとは、薬があることで、この生き地獄のように感じていた自分のダメなところが少し楽になるかも、って想像したら、すごくワクワクした。

さて、この薬の効果はといえば。👀
次回の投稿で書こうと思います。
この診断後、念の為に受けたWAIS™-IV知能検査とConners Adult ADHD Rating Scaleについても書きます。

最後まで読んでくれた人は、ありがとうね。big hug.

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