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#511 学びを阻害する要素を自覚すること

 私の母親は、専業主婦として家庭を支えてきました。彼女は、私が台所に入ることはもちろん、掃除や洗濯などを手伝うことを極端に嫌がる人でした。それは家事を行うことが彼女の「仕事」でありそれを奪われたくないという気持ちと、幼い私が「手伝うこと」で、職務の遂行に支障が出るのを嫌がっていたからなのではないかと、今の私は推測しています。

 家事に対する経験値のなさは、後年一人暮らしをする私には非常に重くのしかかります。何をどうすれば良いか分からない私にとっては、社会人になって初めて一人暮らしを始めた当初は多くの困難にぶつかったことを覚えています。

 教員として働いた時、ご飯をたけない生徒がいて、他の生徒や教員に「信じられない」と言われて言われていましたが、私にとっては、その理由がある意味では容易に想像がつくのです。

『生ごみを触れない生徒が増加「家庭科」教員たちの嘆き 洗濯やトイレ掃除は「宿題」に出て初めて体験』という記事を見つけました。

 記事の中では、受験に関係ない「家庭科」の知識や技能が家庭によって軽視されてしまうことによって、日々の生活を送る上で必要な学びが欠如している現状が書かれています。家庭科教員を務めるBさんは、そんな現場に警鐘を鳴らしつつ、

「いちばん大切なのは、失敗する経験をつぶさないで、ということです。最近では料理も、裁縫や夏休みの宿題なども、材料がキット化されているものが増えました。失敗しないようにパッケージ化された商品は便利で人気ですが、試行錯誤したり、失敗したりする経験は必須だと思います。失敗から学ぶことは大きいです」

 と述べています。

 当たり前の話は決して当たり前ではない。この世の中には、人々の「学び」を阻害する要素がたくさんあることを意識しなければならないのです。

 

 

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