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#244 文化的素養が私たちの心を豊かにする

学校文化では、長らく国・数・社・理・英を「主要教科」、技術・家庭・美術・体育を「副教科」と呼んでいました。

今は「副教科」という名前が不適切だとなり、「実技系教科」という名称に変わっていますが、一般的な受験に必要な科目と、そうではない科目に区別があり、その間に優劣の感覚が存在する事実は否めません。

しかし「学び」は一般的な受験科目のみが対象ではありません。料理・ものづくり、絵画、スポーツをはじめとした「実技系教科」は「主要教科」よりも私たちの日々の生活とより密接に関連しています。また「実技系教科」と「主要教科」は相互的な関係にあります。文化的素養は、独立して育つものではなく、いわゆる「主要教科」の学びとも深く紐づいているのです。文化的素養は私たちの心を豊かにし、その感性を鍛え、その中から多様性を見出すことができます。

今学校教育では、「演劇」が児童・生徒の自己肯定感の向上に役立っていると言います。

演劇は役割分担をするため自分が確実に必要とされるので、自己肯定感、自己有用感が高まり、それと同時に異なる価値観、異なる文化的な背景を持った人の心情を理解する過程に、その教育的価値があると、芸術文化観光専門職大学の学長である平田オリザ氏は記事の中でで述べています。

平田氏はまた、学校教育に芸術分野を取り入れることで日本の観光業界の弱点を克服できるのではないかと考えているようです。

文化観光は食文化もあれば、スポーツ文化もありますが、日本が1番弱いのは芸術文化のジャンルだと言われています。海外の富裕層が来ると「日本はとても素晴らしいんだけど、夜が退屈だ」とよくおっしゃいますね。ブロードウェーのように家族で楽しめるミュージカルや、初老のご夫婦がジャズを聴きながらカクテルを楽しめるお店などが足りないわけです。ですからこれからインバウンド、さらにリピーターを増やすためには、日本が最も弱い芸術文化観光のジャンルを育てないといけない。そのスペシャリストを育成するというのが弊学の狙いです。

ChatGPTに代表される生成AIが、既存の職種の多くを担う時代が迫る中、私たちには今まで以上に多様な学びと、その学びを活かした価値の創造が必要不可欠です。そしてそれらの学びを進めて行く上で、大切なのは自分自身への存在肯定だと言えるでしょう。

今まで学校教育ではあまり重要視されていなかった教科・科目の可能性を新たに見出し、その価値を児童・生徒が感じることができれば、彼らの未来は今まで以上に拓けたものになるでしょう。


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