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#554 教員は「優秀な独裁者」になることを求められているのか?

 学校教員の主要な業務に組織運営があります。現在の学校教育システムでは、児童・生徒は学校・学級・部活・生徒会などなど様々な組織の中に属し、その組織をまとめる長として教員が配置されます。

 そんな組織を運営する上で大事とされているのが規律です。教員は様々な規律を用いて児童・生徒の行動を制限し、それが組織の安定をもたらすと考えている。

 一方で、『なぜ起こる?学校のクラスが荒れる6月危機、「規律やルールだけではNG」対処のポイント』という記事の中では、規律がより良い組織を作るわけではないと書かれています。

 現在の学級経営には、「~してはいけない」といった禁止事項が多く存在する一方で、互いが過ごしやすくなるための良好な関係性を促進する行動様式があまり教えられていないのではないでしょうか。そのために、ルール、規範を指導すると禁止事項が増えて雰囲気が悪くなるという認識をもっている方がいるのかもしれません。

 現在の学校教育の価値観では、教員は「優秀な独裁者」として機能することを求められている。だからこそ、学級が荒れるのは独裁者としての力量がないからという論理展開になりがちです。しかし、本来的に学校は児童・生徒が主役の場であり、教員が権威によって支配することが目的ではありませんし、それは民主主義的な観点からもズレていると言えるでしょう。

 記事の中では

 私たちの生活する社会の安定が、秩序を基盤に成り立っているように、安定した教室を成り立たたせているのも、秩序だと言えます。(中略)確認のための申し上げておきますが、秩序が整った教室とは、禁止ルールで統制された教室のことではなく、互いの人権が尊重され、良好な関係性が促進される行動等が共通理解されたぬくもりのある教室です。

 

 と述べられています。

 私たちはどうしても秩序は規律によって達成されると誤解してしまいますが、秩序は自分と他者を尊重するという理念から生まれてくることを理解する必要があるのです。


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