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PhrasePlus!企画 2

⭐️⭐️⭐️⭐️
(星の数でこの記事のオススメ度を
5段階で評価しています)

今回は先々週、記事の中でもお知らせした
ショートショート企画第2弾です。

ちなみにその時の記事がこちら
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僕のスマホに入っている
アプリを使って出てきた
この世には存在しない言葉で
何かしらの物語を考えると言う企画です。


ちなみにこんな感じで出てきます。
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最初はその単語をそのまま
記事のタイトルにして
投稿しようと考えていたのですが

隠して投稿し
最後にその単語を発表した方が
いいのではないかと考え、
その方式を採用させていただくことにしました。

ほとんど何も調べず、
完全に僕の知識と偏見、イメージだけで
書いていくので

何言うてんねんそんなんあり得へんやろ

などのご意見は一切受け付けません


それではスタートです




緊張するなぁ

雅樹は周りをジロジロと眺めた。

今日は15年ぶりの
中学校の同窓会の日だ。

少し早めに着いた雅樹は
何人かと軽い挨拶を済ませると
部屋の端っこに腰を下ろした。


再び、周りにいる人々を見る。



これはまずいことになるかもしれない。

雅樹はあることを危惧していた。

先ほど挨拶した何人かは
卒業後も何度か遊びに行ったり
顔を合わせており、
名前はもちろんわかるし
思い出も共有しているが
他の同級生の中の何人かの名前が
全くわからないのだ。

もし話しかけられて
名前を思い出せなかったらどうしよう。

こんなに申し訳ないことはない。

頼むから話しかけないでくれ


もしくは向こうから名乗ってくれ


祈る雅樹だったが
その思いも通じるかどうかわからない。

しばらくすると会がはじまった。


「さあ、皆さん
グラスの方はお持ちでしょうか!」

クラスの学級委員だった野上が
グラスを持って立ち上がると
メガネをクイっとあげて皆に呼び掛けた。


相変わらずのその真面目そうな見た目に
周りの人間から少し笑いが起きる。


「では皆さん
今日は羽目を外さないように
思い出話に
花を咲かせていただければと思います
決して羽目は外さないように
あの頃に戻った気持ちで…」


野上が立ち上がったまま
話していると
クラスのお調子者だった山本も立ち上がり

「も〜う、長いよ!
早く始めようぜ!
乾杯!」


再び笑いが起き、皆が一斉にグラスを
宙に掲げた。


あの頃と何も変わらない。

そんな同窓会がはじまった

かに思えたが
雅樹の心中はやはり穏やかではなかった。

現に今も
立ち上がったのが野上と山本という
クラスの中心人物だったため、
はやめに思い出すことができたが
これがもし他の人物だったら
どうなっていたかわからない。

どうしよう

なんとか向こうから
名乗らせる方法はないだろうか

グラスに注がれたビールを
口に含みながら考えていると
誰かが話しかけてきた。

「おぉ〜!雅樹じゃねぇーか!
久しぶりだなおい!」


誰だ?


全く思い出せない。

俺が所属していたクラスに
こんな男はいただろうか。


「あれ?覚えてない?
俺だよ俺!酒本だよ!」


「あ!あぁ〜酒本か!」


危ねぇ〜


危なかった。


ここで名乗ってくれなかったら
絶対に酒本には辿り着かなかっただろう。

それにしても

クラスに酒本という男が
いたような気は微かにしているが
こんな見た目をしていただろうか


「俺めっちゃ痩せたからなぁ。
身長も結構伸びただろ?」


わかるわけがない。


「昔お前に
給食でエビフライ貰った時あっただろ?
あの時はありがとうな!
嬉しかったなぁあの時」


いつの話をしているんだ?


覚えているわけがない。


酒本のことを覚えていたとしても
そんな
日常の1ページの1文にもならないような
出来事、記憶の片隅にもあるわけがない。


「あれ?雅樹じゃん!元気?」


次に、同級生にしては
あまりにも妖艶な雰囲気を漂わせた
1人の女性が話しかけてきた。

こいつも誰なんだ?

同級生にこんなやついたか?

卒業してから垢抜けたのだろうか
こんな美人がいたなら
絶対に覚えているはずである。

「ん、ん?お、おう!久しぶり!」

思わず少し声が上ずってしまった。


「覚えてる?
私さ、今だから言えるけど…
雅樹のこと結構好きだったんだよね」

え?

なぜ今言うんだ?

「まあ…
また後でゆっくり話そうよ!
ちょっとあっちで話してくるね!」


ちょっと

ちょっとちょっと

せめてお名前だけでも…


誰なのか全くわからなかった。


あまりにも色々なことが起きすぎている。


自分はもしかしたら
全く関係のない同窓会に
参加してしまったのではないだろうかと
錯覚するほど困惑していた。


まずこんな展開は序盤に起こるものなのか?

もっと終盤で起こるイベントではないのか?

先ほど話した同級生を目で追う。


すると女性4人ほどで話している
グループに加わった。


「あれ?かなじゃん!久しぶり!」


なるほど

あの女性は『かな』と言うのか

もはや思い出はリセットしており、
新たな情報としてあの女性を記憶した。


「おいおいおい!
もしかして雅樹?雅樹じゃん!
覚えてる?」


どうしてこうも
知らないやつばかりが
話しかけてくるのだろう。

もしかして自分には仲の良い人など
いなかったのではないかと言う
自分自身への疑いすら感じはじめた。


「ん?」


もうどうでも良くなってきた。


もう正直、覚えてないとバレても
そこまで申し訳ないと思わない。


「ごめん、ホントに申し訳ないんだけど
覚えてないわ。」


「えーマジかよ!
隣の席だったじゃん!」


隣の席だった?

「でさでさ、
物の貸し借りとかしあったじゃん?」


そりゃ隣なら物の貸し借りは
普通にするだろうが
そんなことをいちいち覚えているわけがない。

「特に貸し借りしたのがさ、
ホッチキスの針だよな?」


ホッチキスの針?


そんな物を貸し借りしていたのか?


「いやぁでも昔は俺の方が
よく借りてた気がするなぁ。
今度絶対返すよ!ごめんな!」

いらない


そんな物、貸していた記憶すらない。

「でさでさ、ホッチキスの針がさ…」


こいつまだホッチキスの針の話をするのか


早く知ってるやつ話しかけてきてくれ


もっと俺は誰かと思い出を共有したいんだ


雅樹の思いは通じず、
その後も数分間にわたって
ホッチキスの針の話は続いた。


(完)


タイトル
『ホッチキスの針仲間』

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