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愛すべき麺類

⭐️⭐️⭐️
(星の数でこの記事のオススメ度を
5段階で評価しています)


最近ふと、今までのnoteでの
投稿記事を見直していて思ったことがある。



僕は投稿した本数に対する
麺類に関する記事の割合が多すぎる。



それらはもはや記事というよりも
生地といった方が正しいかもしれない。



今まで本当にたくさん書いてきた。


うどんから
ラーメンから
パスタまで




いつからこんなに
麺類が好きだったのだろう。




今までどんな変遷を辿ってきたのか
少し振り返ってみた。





小3の時に
家族3人で引っ越してきて
そこから高3までずっと住み続けた
今の僕の実家


そこから最も近い飲食店は
うどん屋だった。


許可など取ってないので
店名は仮に『石部屋』としよう。


僕の家族はこの石部屋の常連で
僕も2週間に1回以上のペースで
行っていたと思う。


おそらくその店のうどんが
僕が人生ではじめて
頻繁に食べるようになった麺類だ。



頼むメニューは大体決まっていて


カツカレーうどんと
ざるそばと
おにぎり



いやいやそれはさすがに多いやろ!
と思ってらっしゃる方もいるだろうが
全然そんなことないのだ。


単純に美味しいという理由がでかいが
カツとカレーという重いものコンビに
更にうどんという少し重いものをぶつける。
食べ盛りにとっては夢のような
この料理を食べた後に
ざるそばという
清涼感の塊のような物を食らう

そして仕上げに
蕎麦湯を飲みながら
おにぎりを食べるのだ。

海苔が巻いてあって
塩加減がちょうど良い。

これは完全にイメージになるが
おそらくラップなど使わず
素手で握っている


そんなおにぎり


当たり前だが腹はパンパンになる。




思えば、
蕎麦の美味しさに気がついたのも
この石部屋がはじめてかも知れない。



石部屋の蕎麦は少し特殊な色だった。



僕はズブの素人なので
はっきりした情報はわからないが
通常、蕎麦はグレーというか
黒っぽい色で出てくることが多いと思う。



しかし、石部屋の蕎麦は
濁りがなく、真っ白なのだ。
どちらかといえば色は
うどんに近いかも知れない。


この蕎麦について母はよく言っていた。


「私蕎麦って今まであんまり
好きじゃなかったんやけど
石部屋で好きになったわぁ」



確かに僕も小さい頃、
うどんは他の店でも食べることがあったが
蕎麦に関してはほとんどこの石部屋でしか
食べたことがなかった。

蕎麦そのものは
別に好きでは無かったのかもしれない。



そんな石部屋の蕎麦に
ある変化が訪れたことがあった。



あれは10年ほど前だろうか。



いつものように家族で
石部屋に行くと店内の壁に
ある報告が書いてあった。


内容はかいつまんで説明すると


「近くの蕎麦の達人的な人に
本格的に蕎麦を習いました!
うちの蕎麦変わります!」



こんな明るい感じの報告では無かったが
ニュアンスはこうだ。


石部屋の店主はそう若くは無かった。


僕は歳を重ねてもなお衰えることのない
その向上心に素直に感動するとともに
少しの寂しさを感じていた。



あの蕎麦が無くなってしまうのか。



次に僕たち家族が蕎麦を注文した時には
もう全てが変わってしまっていた。



一口すする。



やっぱりだ。

前の方がいい。


これはなんの特徴もない、
ただのどこにでもある蕎麦だ。

どこでも食べることができる。


家に帰る途中で母も言っていた。


「前の方が美味しかったのになぁ」


数週間後、

再び石部屋に訪れた。


家族が注文する。


皆が、揃いも揃って
明らかに蕎麦を避けるように注文していた。


もうみんな蕎麦を食べる気が
無いんだろうなぁ。


あの頃の蕎麦は
もう食べることが出来ないのか
気になって店主に尋ねた。


答えはこうだった。


「そうやね。
出したらあかんって言われてるんよ。」



禁止されてるのか。

達人にか?


なるほど

まあそれならしょうがない。


石部屋はうどんだって美味いし
どんぶりだって美味い

別に無理に蕎麦にこだわる
は必要はないのだ。





そしてまた数週間後

店に行くと店主が僕たちに言った。


「あのね、前の蕎麦
内緒で出していくことにしたんよ。

言うてくれたらそっちにするから」




え!!!


いけるのか?


隠れてそんなことして良いのか?



皆が揃って蕎麦を注文した。



もちろん前の形の蕎麦


当たり前だ。


数週間ぶりに食べるその蕎麦は
やっぱり美味しかった。


改善なってないやん全然

幼い僕にもバレていた。





それから数ヶ月経った。


久しぶりに石部屋に行った。


すると内装が大幅に変わっている。


店内には達人のたの字も無かった。



周りのお客さんを見ると
何事も無かったかのように
当たり前に真っ白な蕎麦を食べている。





完全に戻ってるやん。



なんじゃそりゃ




気づいたんかい!
結局最初のやつが一番いいって



あれに似ていた。

芸人がネタについていろんな人に相談して
アドバイスをもらい、
どんどん内容を変えていき
最終的に
あれ?前の方が良いなってなって
結局、元に戻すあの現象に





僕はこれからの人生で
あと何回、実家に帰り
この店に行くことができるのだろうか。


3ヶ月ほど前、
久しぶりにこの店に訪れた時
当時と同じように
ざるそばとカツカレーうどん、
おにぎりを頼んだ。


僕の胃袋は大幅に縮んでしまっている。


食べきれないと思った。




しかし、予想に反して
ぺろっと食べてしまった。




いつまでこの3メニューを
完食することができるのだろうか。




この店が閉店するまで
胃袋だけはスタンバイしておこう。


そんなことを考えながら
僕は今日も麺を啜るのであった。

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