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コーヒー先生

⭐️⭐️
(星の数でこの記事のオススメ度を
5段階で評価しています)

世の中には色々な先生がいると思う。

真面目な先生
不真面目な先生

優しい先生
厳しい先生

僕には
この様々なジャンルの中で
いまだにどこにも
カテゴライズする事ができない
先生がいる。


僕が高校生の頃

他の科目と違い、
数学の授業だけは
クラス毎ではなく
習熟度毎で分けられていた。

僕のクラスは15人ほどで
担当は新しく僕の通っていた学校に
赴任してきた30代くらいの
気の強そうな女性教師だった。

口調がいかにも
ドラマなどに出てくる教師のようで
かなり癖がある。

授業内容はしっかりとしていて
少しでもサボっていると怒られる。

いかにも完璧主義といった感じで
隙がないというのが当時の
その先生のイメージだった。

僕はこの頃、結構勉強を頑張っていた。


授業レベルなら余裕でついていけたし
テストでもいい点数がとれていた。

なので
テスト返しの時間が割と楽しみだった。


いい点数だと
その先生は素直に褒めてくれる。

そんな楽しいはずの行事が
ある出来事によって台無しになるとは
当時の僕は思いもしなかった。


高校2年生のある日

その日は
テスト返しが行われた。

僕は「髙橋」なので
中盤くらいで呼ばれる。

ドキドキしながら待っていた。

「じゃあ次、髙橋ー」

少しきつめの口調で名前を呼ばれる。


どんな先生にも僕は「いっぽ」と呼ばれていた。

苗字呼びの時点で厳しいことがうかがわれる。

「今回は髙橋すごい!98点!」

確かにその時のテストは
かなり自信があったが、
まさかそこまで取れているとは。

しかもその2点は
➕と➖の書き間違えでの減点だった。

つまり、ほぼ100点だ。

「おめでとう」

このプライバシーの時代に
みんなに点数を堂々と公表するのは
正直いかがなものかと思ったが
まあ許すことにしよう。

答案を受け取る。


え?



そこには点数よりも
衝撃的なものがあった。



答案用紙に
ベットリと
コーヒーを大量に溢した跡がついており
更にそれをドライヤー的なもので乾かした、
あの独特の濡れた紙が乾いた状態の
パリパリ感がこびりついていたのだ。



マジか!!!

かんっぜんにコーヒー溢してるやん?

「はい、じゃあ次!」



え?


そのまま次行くの?

コーヒーの件は?

ごめんとかないの?

僕は呆然としていた。

98点とかどうでもいい。

この教師はコーヒーを溢しておいて
一切謝らないのか

別に採点中にコーヒーを飲むのは構わない。


ただもっと安全な場所に
最悪コップを倒しても
重要な物が濡れない場所に置いて欲しかった。

なぜ謝らないのだろう

もしかしてこれはコーヒーの跡ではないのか?

その先生のあまりの毅然とした態度に
僕は少し不安になり
友達に尋ねることにした。

席に戻り、
隣の席の友達に答案を見せて確認する。

「なあなあ、
この答案さ、かんっぜんに
コーヒー溢してるよな?」

友達はホンマやなと言い
爆笑していた。

なにわろとんねん。

なんなんだ

あの先生は完璧主義を貫いていたから
一つのミスを謝るのが
しんどくなってしまったのだろうか

しかもその行動が
おっちょこちょいすぎて
より謝りづらくなってしまったのだろうか


茶色く染まった答案用紙を睨みつける。

遠くから見たら
わら半紙に見えるだろうか



ここから卒業まで
一度も謝られることはなかった。

どんな些細なことでも
人に迷惑をかけてしまったら謝るべきだ。

そんな当たり前な事実を
こんな出来事で痛感するとは思わなかった。

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