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「3人いる彼氏の合計年収は1億円超えです」セレブ婚のプロが語る、戦略と矜持。(シン・時事恋愛)【ドラマ「やまとなでしこ」復活記念】

20年ぶりにドラマ「やまとなでしこ」が復活すると、話題になっています。

愛よりお金を信条に掲げ、全力でかわいい女性になりきる主人公に松嶋菜々子。CAとして華やかな生活を満喫しているかに見える彼女の家の中が、思いの外狭く、洋服がぎちぎちにかかっているシーンをうっすらと覚えています(ほんとかな? 確かめてみよう)。

「愛とお金」は個人的にとても好きなテーマで、以前書いた短編小説「セレブとイケメン」も、未だによく読まれています。

内容としては、裕福さをこじらせた女性と端麗な容姿をもてあました男性が婚活パーティで出会うお話であって、決してセレブ男性とイケメン彼氏から同時に口説かれて困っちゃうお話ではないのですが、とにかくまあ、引きがあるタイトルらしく人気があります。

というわけで、今回はドラマ「やまとなでしこ」復活記念、気合いと根性でセレブ婚を手に入れた女性たちにまつわるコラムをお届けします。

10年前の取材ではありますが、明確なビジョンがあってぶれない彼女たちの言葉はからかいや揶揄抜きでかっこよかったことを、こちらはおぼろげではなくはっきりと覚えています。

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 みなさん、こんにちは! 働く女子たちの”恋愛の流儀”に迫る「時事恋愛」、今回のテーマは「したたか恋愛」です。

 恋の達人になって男性を手玉に取り、計算通りに年収が高い相手と結婚。何不自由ない安定した暮らしを手に入れるーー。そんな”したたかセレブ婚”に、恋と仕事に真面目な読者のみなさんも、一度ぐらいは憧れたことがありませんか?
 
 中には、「憧れるっていうか、私だってその気になったら、男の一人や二人、余裕で転がせるし。男が好きになる女を演じるなんて簡単。純情なフリして、バカを装って、とにかくキャピキャピしておけばいいんでしょ? やろうと思ったらできるけど、かっこ悪いからしないだけ」と、密かに自信を持っている方もいるかもしれませんね。
   
 どの世界にもプロフェッショナル、達人、匠と呼ばれる人はいます。そのずば抜けた技術と、まっすぐでひたむきな情熱は、見るものの心を揺り動かします。当然、”したたか婚”というジャンルにも「匠」と呼ぶにふさわしい女性たちがいて、彼女たちの研ぎ澄まされたパフォーマンスを目の当たりにすると、もし自分が女子だったら、正直この域には達せないだろうなと思わずにはいられないのですーー。
 
 この春、年収ウン千万円の企業弁護士と結婚を果たしたエリさん(26)は、小柄でハッキリとした顔立ちの才媛。会社経営の父、専業主婦の母の間のひとり娘として生まれ、小さいころからお嫁さんになるのが夢でした。
 
 うっかり頭が良かったせいで、望んでもいない高学歴をつけてしまった彼女は、大手損保会社の総合職に就職します。が、与えられる仕事にはみじんも興味を示さず夢へ向けて一直線。合コンとエステとメイクに心血を注ぎます。「私が会社員でいる理由はふたつ。ひとつはバッグや洋服、旅行のためのお小遣いが欲しいから。もうひとつは、家事手伝いでいるよりもいい縁談が来る可能性が高いから」と、公言してはばかりません。
 
 結婚直前に「恋と仕事のキャリアカフェ」に来てもらい、彼女の結婚観をチェックさせてもらったのですが、「男性は女性をリードするもの」「理想の相手は安定した生活をもたらしてくれる男性」などまったくブレがありませんでした。「一緒にいて落ち着ける人」「信頼できてお互いを高めあえる関係」といった価値観がまったく出てこなかったのには、軽い感動すら覚えました。
 
 この時代にセレブ婚をつかみ取るには、これぐらいムダをそぎ落とした強靱な精神力がないとダメなんだろうな、と静かに思ったのです。
 
 フラワーデザイナー見習いのマリさん(24)は、一つ年下の外資系金融マンと結婚の約束をしています。他にも3つ年上の商社マンと7つ年上の会計士という案件を、指一本触れさせないままにキープ。3人男性の年収合計は1億に達しようかという、潤沢なポートフォリオの持ち主です。
 
 本命の彼とは大学時代につきあい始めました。彼が3年生になると、上昇志向のないのんびりボーイだった彼に、金融業界への就職をすすめます。次第に興味を持ち始めた彼を、励ましながら毎日面接に送り出し、見事トップ年収を誇る企業に内定させました。
 
 すべては将来の自分の暮らしに直結する問題なので真剣そのもの。ですが、必死な雰囲気ををおくびにも出さず、にこやかにやんわりと方向づけていく手管は、お受験ママさながらの見事なものでした。
 
 ちなみにこちらも育ちのいいお嬢様である彼女のセレブ婚志向は開花が早く、ファッション誌も「CanCam」は高校で卒業、大学2年ですでに「VERY」や「STORY」を愛読しているという早熟ぶりだったそうです。
 
 持って生まれた才能を最大限に生かし、「仕事」だの「恋」だのといった要素は一切省き、「条件のいい結婚」という一点にのみ、ただひたすらに打ち込む彼女たち。”したたか婚”という世界に足を踏み入れようと思ったら、彼女たち「プロ」と渡り合う覚悟が必要です。生半可な気持ちで飛び込むのは大変危険ですし、あえて言うなら、失礼ですらあるでしょう。
 
 「これでも、中学のときは野球部だったんだよ〜」というおじさんが、メジャーリーグの打席に立ったら一球で腰を痛めるのがオチですし、「小さいころはよく、台所でお手伝いをしたんだけどな」という女子大生が、戦場的な忙しさのイタリア料理店の厨房に立ったなら、3分もしないうちに指を切ってしまうでしょう。プロの世界に身を置くとはそういうことです。
 
 いかがでしょう? みなさんはそれでもなお、”したたか婚”に憧れますか? 修羅の道を歩き出す覚悟はありますか? 僕にはありません・・・・・・。

●ヒキのあるタイトルをつける文章講座、本日20時〜、開講です。


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