星野源『ストーブ』/火葬場での歌
源さんが書く歌詞が好きな私。
前回は『兄弟』という曲の歌詞についてまとめました。
今回はアルバム『エピソード』の中の『ストーブ』という曲の歌詞について書きたいな、と思います。
===========================================
そろそろストーブをつける頃 小窓のあなたも煙になる
泣くだけ従妹は手伝わぬ 別れの言葉は喉の中
瞳閉じたままの 額に口づけ
通夜で寝てた馬鹿も 声をあげるよ
これは火葬場での歌だ。大人になると、誰もが1度は経験したことがあるであろう、あの痛み。
「最後のお別れです」の言葉。待って欲しいのに、もう抗えない。
長く続く日々の景色が変わるよ 見えぬ明日 足がすくみ うつむけば
見覚えのある気配が手を引くよ
今までこの世にいた人が、目の前からいなくなるということ。
いたはずの人がいない場所や景色は、他の何かで埋められるものではない。
そんな時に、思い出すのは温かい記憶。残された者たちはそのぬくもりを抱えて、日々を紡いでいく。
固く閉じた扉 開いて おはよう
残る君のかけら そっと拾うよ
もう触れることのできない身体、残された骨を拾いながら、人生の最後を思う。
あとひと月半はデートもしまくり
胸に残る声が浮かび うつむけば 変な顔の面影 笑わすよ
細く伸びる煙 両手を合わせて 君のいれものに
またね さよなら
49日間、魂はこの世に残っているという。別れはとても辛く悲しいけれど、あなたとの想い出までが悲しいものになる訳ではない。
最後に夢でも良いから、お別れにきてね。
もう会えないけど、いつかきっと会えるから。
===========================================
“火葬場の歌”と聞くと、少し驚くというか、ぎょっとする人もいると思います。しかし『ストーブ』は、あくまで日常の延長線上にある出来事として火葬場を描く、さりげなさがあります。
源さんの歌は、日常や生活を思わせるものが多い。この歌も、源さんが優しく、淡々と語るように歌う、素敵な曲です。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?