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する話、しない話

とっておきの話って、あるでしょうか。

僕は最近もう一度ネット上で視聴できるようになったとっても好きな、話し始めるとマニアックな話になってしまうようなドラマがあるんですが、その話はごくごく少数の周りの人とむちゃくちゃ話しています。で、そんなに好きならここにも書けばいいかというと...、そうでもない気がしました。打ち切りになってしまったドラマです。

やはり、不特定多数の人と話すことと、限られた人たちと話すことって、違ってていいし、違っている方がいいと思います。やっぱり「あの人ってよくこの話ししてる」という認知よりも、分別が効いている大人(?)で在りたいなと思ったりします。(SNSでも、会っているときも、トランプ大統領の話ばかり聞かされたらうんざりするでしょう)

僕は学生時代、恋愛ものの映画が大好きで、「好きな映画は?」、と聞かれると決まって「これとこれと、あとこれとかですかね」と真面目に答えていましたが、海外では暗黙の了解で「男性が聴くべき曲、観るべき映画、持つべき趣味」といったものがあって、「キミ、男ならそんな "chick flick"(女の子の見る映画の意)観ない方が良いよ」、と良く笑われていました。ちなみにそれで思い出したんですが、スミノフっていうお酒、ありますよね。あれも"bitch beer" と呼ばれていて、女の子が飲むお酒だから男性は飲んだら笑われる、ということがあります(美味しいと思うけどな)。

でも結局僕はその後そういう恋愛映画の延長でメディアの教鞭をとるようになり、男女の関係性なんかの創作に関して話すことで報酬を受け取ってきたわけですし、一般的に言って女の子向けだろうが、そうでなかろうがそれはそれで構わないんです。でも、「世間一般には」それよりはアクションだとか、犯罪系の映画が好きな方が男性としては体裁がいいとされるようです。だから僕はそれ以降、そういった質問に対しては質問者が理解できたり納得できるであろう範囲で回答するようになりました。最近は飲みにも出かけないですが、やっぱり「クラフトビールの美味しいお店があるんだ」と友人が誘ってきたら、一応、自分の好きなカクテルじゃなくてクラフトビールを楽しむようにしています。 共通で楽しめることを優先することは無理矢理でさえなければ僕はいいと思います。

ひねくれた人には、ネタがなくなるから話題の出し惜しみをしているんだろうと思われるかもしれませんが、話題に選択肢があるということ自体は引き出しが多いことときっと同じです。また、大人になって知恵がついてきたと思えるのも、そういった何がこの場で適切かというチョイスを意識してできることでもあると思います。(もちろん、いつも発言は一緒。「ブレない」を貫かれてもいいと僕は思います)

それでも一度、変な失敗を経験したことがあります。僕の大学の専攻は performing arts学部で、日本でこれに該当するものとしては演劇学科があるかと思います。でも正直なところ日本の演劇学科とは勉強することが別物です。あるとき、これはもうずいぶん前ですが、井の頭公園をある知り合いの女性と歩きながら話をしていました。そこで彼女の方から「学部はなんでしたか」と聞かれ、先の話ではないですが、「まぁこの人が理解できるように...」と思い、日本でいう「メディア学科」を表す「communication学部」といったところですかねと答えました。するとその女性に「そうですか。どうりであなたはお話が上手だと思いました」と言われ、「そういうことじゃないんだけどな」と首を傾げてしまって一人でげんなりした記憶があります。

まぁ彼女の言ったように、異性と公園を歩く際に効果的なコミュニケーションの練習ができる授業がもし大学に本当に存在するなら、ちょっとのぞいてみたい気もしますけどね。中谷彰宏先生の本以外に、そういうのってあるんでしょうかね(笑)

( ぶん・しゃしん / にしざわいおり )

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