見出し画像

独学でデザイナーになった文系大学生の就活振り返り記録 【後編: デザインの勉強開始から内定まで】

前回の記事「前編: デザインに出会うまで」では、デザインを始めるまで英語やプログラミングなどを学び、興味を広げていったことをご紹介しました。

この記事ではデザインを始めた頃から内定をいただくまで何をしていたかを振り返ります。




独学タイムラインの図(後編)

独学タイムラインの図(後編)
前編では緑の矢印の地点まで書きました


①フロントエンドからデザインにシフトする


①-1 長期インターン

「はじめてのUIデザイン」表紙カバー
インターン先のデザイナーさんに質問して教えてもらった最初のデザイン本

そんなモヤモヤもあり、デザインやってみたいかも?という気持ちが強くなりました。その時ちょうどデザイナーインターンの募集をWantedly(だった気がする)で見つけ面接に行き、きちんとしたポートフォリオもなかったのですが、プログラミングもできるということで採用いただけました。

2023年7月から2024年3月までインターンとして参加させていただきました。

画像の「はじめてのUIデザイン」はインターン先のデザイナーさんに、「デザインの勉強を始めるのにおすすめの本はなんですか?」と質問して教えてもらった私にとって最初のデザインの本です。

(著者の中に宇野さんがいらっしゃったことに気づかず、前にイベントでお会いしたことがあるのですが、その時にCDOとも存じ上げずに(ばか野郎!)noteの編集機能やブログサービスとしてのデザインの独自性、通知の時刻などについて質問しまくってしまったなあ〜と猛烈反省しています…。)


インターンの業務で携わらせていただいたことは、デザイン面ではコンポーネント単位のデザインの改善案をFigmaで作成することやサイトのデザイン改善案の共有などです。

他にも機能のテストをしたり、以下のようなこともやりました。

リサーチツールの使い方

GA4やUser Insightなどのアナリティクスツールの使い方、データの読み解き方などのリサーチの仕方を学びました。同じデータの掲示でも表現が少し違うだけで印象が大きく変わることや、自分が欲しいデータの探索の複雑さなど、混乱することが多くありました。ぱぱっと調べられたことなんてほとんどない気がします。

競合調査

競合との比較をさまざまな粒度で行いました。以下は当時を振り返ってみて思い浮かんだ観点の一部です。

  • サイトデザイン

    • 全体の印象

    • 同じ役割(プロダクトのシングルビューなど)のコンポーネントのプロパティの違い、配置、サイズ

    • UIテキスト

    • ユーザーフロー

  • ビジネスの位置付け

    • 収益モデル

    • ミッション

    • バリュー

    • ターゲットユーザー層

    • メディア戦略 などなど…

少しだけプログラミングも

あとプログラミング関連でいうと、本当に掠っている程度ですがDockerを初めて使いました。

なんでかというと、会社のサイト開発で使用しているBootstrapのバージョンアップを行い、それに伴って発生したデザイン崩れをリストアップする作業を行ったからです。ローカルに最新のBootstrapのサイトを構築して、現状のパブリックのサイトと比較しました。

環境構築はエンジニアさんの教えのままに従うのみだったのでエラー地獄にはならないと思っていたのですが、インストールしたフォルダの名前やパスの設定など私のローカル環境にカスタマイズする必要があり(当たり前)、苦労しました。

一つ残念だったのがデザイン崩れを全て手動で確認していったことです。

自動でリストアップしてくれるフレームワークなどがあれば導入したかったのですが、サイトのクラス名の中にBootstrap用のクラス名にオリジナルのCSSを当てていることなどがあり複雑になっていたため、そして私の技術力は皆無なので断念しました…。😢


①-2 短期インターン×2

長期インターンを始めて1ヶ月ちょっと経った頃、約3ヶ月前から申し込んでいた以下の短期インターン2つに参加しました。あまり人とのコラボレーションを通じてプロジェクトに取り組んだことがなかったのでかなり新鮮な経験になりました。

  1. 複数領域で事業を展開する大手企業の3日間のインターン

  2. 初心者エンジニアのための3日間の個人開発インターン


1.複数領域で事業を展開する大手企業の3日間のインターン

その企業の事業を組み合わせて、ユーザー数とエンゲージメント率を上げるビジネスアイデアを考えるというお題で、最終的に英語でプレゼンテーションするというインターンでした。

最初は同じチームになったメンバーの方々が高学歴すぎて怖気付いていました。しかしずっと悩んでいてもストレスがかかりっぱなしなので、「私は彼らと意見をぶつけ合うのではなく、彼らの不足している点について疑問を投げかける形で意見を伝えていこう」というマインドセットで話し合いに参加していました。

このインターンではチームワークによる達成感も大いに味わうことができましたが、以下の2点が個人的にやったぜ!と思ったのを鮮明に覚えています。

  • FigJamの導入を提案し、チームメンバーの意見を書き起こしすことで、各メンバーの自己理解と他者理解をしやすくした

  • 最終プレゼンテーションで私が作成したスライドがわかりやすいと褒めてもらえた

上記2点の経験により、デザインでプロジェクトをわかりやすくするってこういうことなんだ!と感じることができました。


2.初心者エンジニアのための3日間の個人開発インターン

エンジニアに興味のある初心者レベルの学生のための3日間インターンに参加し、GASで従業員管理のアプリケーションを個人開発する課題に取り組みました。

GASはこのインターンのために基礎を知っておこうと1時間のYouTube動画を観ていましたが、実際作るとなるとわからないことが出てきたり、3日間しかないので機能の選定やアプリケーションの独自性といった開発の前段階でより難しさを感じました。

加えて開発している際に躓くことが多く、楽しいと思えなかったことが積み重なっていきました。
成果物の発表の際には、グループメンバーとのレベルの違いを感じ、やっぱり自分はエンジニアは無理だとより強く思うようになりました。

この時の感情はエンジニア就活という道から視点を変えてみるきっかけになったのかなと思います。



①-3 デザインの勉強

はじめてのUIデザインが読み終わった後は、普段使うアプリやWebサイトを見る視点が変わり、使っているだけで発見があるのでデザイナーさんは普段こう考えているのかなあと疑似体験気取りを始めました。

それからYouTubeで国内外の色々な動画を漁るようになり、プログラミングを勉強していた頃とは違うデザイナー個人や企業それぞれの思想も知るようになりました。

私の今までのデザインの勉強の中で最も実践的と感じるのがこちらの1冊です。

オブジェクト指向UIデザイン──使いやすいソフトウェアの原理 (WEB+DB PRESS plusシリーズ)

オブジェクト指向UIデザイン──使いやすいソフトウェアの原理 (WEB+DB PRESS plusシリーズ)
オブジェクト指向UIデザイン──使いやすいソフトウェアの原理 (WEB+DB PRESS plusシリーズ)

うろ覚えですが、Amazonでレビュー数が物凄い多くてしかも質の高いコメントばかりでなんかわからないけどすごそうだから買ってみよう!という感じで購入しました。

この決断が大正解で、本を半分読み終えたあたりからデザインの構造がどう設計されているのか見えるフィルターを手に入れた感じでデザインを捉える感覚をゲットしました。(まだトレーニング中ですが)


本の前半はオブジェクト指向UIの理論について、概要、歴史、手法、思想など様々な観点から語られています。

後半には、「オブジェクト指向UI設計の実践」というタイトルで、実際にオブジェクト指向UIをデザインするワークアウトが用意されています。
基礎編がレベル1~9、応用編がレベル10~18まであります。

私はデザイン界隈の英単語や英語での表現の勉強も含めて、応用編の9つのワークアウトを1つずつMediumで記事にしました。

最初のレベル10の記事:

レベルが上がるにつれてデザインのパラメータが増えていき、ユーザーのステータス(編集権限など)やプロセスのどの地点にいるのかなど考慮しなければいけない点が複雑化していきました。


次第に難しくなるので、毎度怯えながら各ワークアウトの開始のページを開いていましたが、やっていくうちにそれらのパラメータは読者の習熟度を上手く配慮して綺麗に設計されているな〜と思いました。

現実のプロジェクトでは、きっと本という安全で確立された世界とは異なる、カオスな環境でデザインしていく必要があるのだろうと感じました。



②デザインプロジェクトをお願いされる

そんなこんなで色々なリソースを調べながらデザインの勉強を進めている時に、知り合いの友人の方からビジネスのアイデアをデザインにして欲しいというお願いを受けました。

その依頼者さんは大学4年生で、企業にビジネスアイデアピッチのような形でプレゼンをしたいと聞いたのでスライドに載せるスクショのような完成形をイメージしていました。しかし、最終的にはオンボーディングからメイン機能のフローまでかなり多くのスクリーン数を作ることになりました。

最初は1週間くらいで終わると思っていましたが、2023年11月に始まり約1ヶ月半かかりました。


以下がそのプロジェクトの詳細です。


このプロジェクトのおかげで初めて何もない状態からのデザインや、要件定義などプロジェクトの上流に取り組むとはどういうことなのか体験できました。

依頼者さんもデザインをお願いするのは初めてだったらしく、プロダクトの価値や最低限必要な機能などお互いの考えに数多くの認識の違いがありました。

コミュニケーションツールやコンテクストを言語化する度合いなど、お互いの意見を円滑に伝える環境をデザインすることもチームで行うプロジェクトにおいては必須だと痛感しました。


プロジェクトの途中では、「なんでこんなコンサル&デザインみたいなことやってるんだろう?」など思っていましたが、ポートフォリオに載せてOKだったのでそのために取り組んでいました。

このプロジェクトで得た人と作る経験は面接で多くの面接官の方々に注目してもらうことができ、自分はデザインだけでなくコミュニケーションもできます!という証明になり結果オーライでした。😊



③就活開始

前述のデザインプロジェクトが終わり、ポートフォリオを整理・改善していると2024年になっていました。ポートフォリオに関して自信はあまり強く持っていませんでしたが、キリが良くなったのでこのタイミングでデザイナー募集をしている企業様に応募しました。

確認したら合計5社に応募していました。全てReDesigner for Studentsに募集を掲載していた企業です。

通過率は以下の通りです。

書類選考落ち:2社
二次面接落ち: 2社
内定:1社

なんだか数字で見ると全然応募してないですね…。よく就活体験記で何十社に応募しました。みたいなのを見かけるのですが、よくそんなエネルギーがあるなあと尊敬の念が湧き出てきます。

一般的な就活・面接対策がどんなものなのかわかりませんが、私は応募する前にその企業の情報に触れて疑問点や共感したところをNotionにデータベースとして溜めていました。

具体的には主に以下のリソースを使って調べていました。

  • ポッドキャスト

  • noteや自社メディアなどの記事

  • YouTube

  • X(企業アカウントと興味を持ったデザイナーさんのアカウント)

  • 公開されているデザインシステム

  • 気になるデザイナーさんのLinkedIn

  • 気になるデザイナーさんの個人ウェブサイト

  • Openworkなどの口コミサイト

特にデザイナーさんは個人でnote発信をされている方が多いので、noteをよく読んで同じ企業内でもそれぞれのデザイナーさんによって思想や嗜好などの特徴が異なることを知っていきました。


このように事前に面接官の方について調べていたので、特に逆質問の時間はワクワクしており時間が足りねえええといつも思っていました。

面接の醍醐味である自分のことを話す時でも、事前にポートフォリオをお渡ししているので、頭が真っ白になるようなレベルでは緊張しませんでした。


しかしながら、私はプレゼンテーションや即興での受け答えがうまい人間ではなく、作品についての詳細な説明や私が考えるデザイン論について聞かれた時は、十分な返答ができませんでした。

改めて自分の話し方とポイントを伝えるのが下手だと痛感しました。



終わりに

私は大学の友達でデザインに興味がある子がいないので、周りの友人とは一切就活の情報を共有せずに就活というものを進めました。

よくYouTubeで、就活の面接はこう答えろなどと説かれている方がいらっしゃいますが、 その教えを大切にしつつも、その方たちの意見を100%信じ切ったり従順したりするのはメンタルヘルス的にあまりよろしくないのでは無いのかなあと思うようになりました。

自分なりの考えを持って、批判的思考を持ちながら、参考にする程度のマインドセットで観るのが良いのだと思います。

私は就活絶対成功してやるぞおおおと言うような燃えている感じで就活に挑んだ訳ではなく、募集の公開時期が来たのでそれに合わせて自分のポートフォリオを調整して応募してお話しして…と言うような(当たり前なのですが)流れに乗ってやっていました。

就活に自分の感情をコントロールされてしまうのは良くないので、なるべくニュートラルに考えていました。

それでもやはりネガティブに考える事は避けられないので、もし今お読みくださっているあなたが就活生の場合は、心の平穏を保ってご自愛なさってください。

お読みいただきありがとうございました!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?