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あらゆる学問の入門書として。『世界でいちばんやさしい 教養の教科書』

一般教養というと、大学時代の最初の頃に受けた講義を思い出します。授業を受けて単位を取った記憶はありますが、そのほとんどの知識は忘れてしまっているのではないでしょうか? そこで教養科目を総ざらいできる本を紹介したいと思います。

その名も『世界でいちばんやさしい教養の教科書』。雑学系の本は数多ありますが、この本は図や絵を多用しており、わかりやすいです。さっそく中を見ていきましょう。

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まずは基礎の基礎から。世界史を4つの時代に分け、それぞれ3コマで説明しています。このページで、時代の流れをざっくりと把握することができます。このほか、日本史を辿るページもありました。

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例えば「近代合理主義」のページを見てみます。デカルトをきっかけにして世界は精神と物質に分けられ、ニュートンをきっかけにして科学が神や精神を抜きにした物質の法則を研究対象とした、ということがわかります。

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各章ごとに出てきたキーワードを解説するページもあります。その結果、社会にどのような影響が出たのかまで書かれており親切です。

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ケインズ主義経済」も図入りでわかりやすくなっています。世界恐慌をきっかけとして、資本主義経済に国家による関与(公共事業)の必要性が生まれたことが理解できます。

本書では、歴史、哲学、言語、心理、文化、経済、社会、日本、芸術といった科目を扱っています。個人的には「日本」というチャプターがあるのが面白いと感じています。西欧的な近代的自我を得られない明治時代の日本人の苦悩や、バブル経済から東日本大震災を経て変化した日本人のアイデンティティなどにも焦点を当てており、なかなか読みごたえがありました。

教養というものを広く浅く知るために本書は有効ではありますが、より深く知るためには、やはり専門書を読むべきです。ですので、本書は入門書として読むとか、かつて勉強した一般教養の復習として読むといった目的で利用するのが良さそうです。

教養は先の見えない現代を生き抜くためにも必要だ、と主張する専門家もいるくらいですから、学んでおいて損はないと思います。ぜひ秋の夜長に読んでみてはいかがでしょうか?


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