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Student Bridge Report Vol.1「エン・ジャパン株式会社(企業研究)」

SBRのご紹介

SBR(Student Bridge Report)とは株式会社インベストメントブリッジのインターン生が執筆する、大学生による大学生のための企業研究レポートです。
普段から業務で「IR情報(企業の投資家向け広報)」を見慣れているインターン生だからこそできる、IR情報を使って就活生をサポートする簡易的なレポートです。
Vol.0「他の就活生に差をつけられる『IR』って何?」はこちらよりご覧頂けます。

本レポートはPDFでもダウンロード(無料)頂けます。

Key Points

Ⅰ)そもそもエン・ジャパンとは?
Corporate Overview
設立:2000年
従業員数:連結3,351名 単体1,506名
事業内容:求人サイト運営・人材紹介・海外事業・その他
ホームページ:https://corp.en-japan.com

Vision
基本理念:「人間成長」の実現
事業理念:「人」、そして「企業」の縁を考える

Ⅱ)事業環境について

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(エン・ジャパン決算説明資料より)

マーケット:全般的に人材採用サービスの需要は伸びる
競合比較:国内求人サイト登録者数と若さに強み

Ⅲ)成長戦略

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(エン・ジャパン決算説明資料より)

HR-Tech事業のサービス、「engage」に注目。
engageは求人掲載・自社採用ページ作成などができる採用支援ツール。
HR-Techの活用を強みとし国内トップのシェアを有するengageが成長の鍵か。

Ⅳ)募集職種
◆総合職
人材に関する課題解決の提案を顧客企業にするコース、Webコンテンツの企画運営をするコースなど。

◆イントラプレナー職
新規事業に携わることができるコース、社内起業し事業責任者となるコースが存在。

◆専門職
自社転職サイトに掲載する広告を制作する。

はじめに

このレポートを読む上で意識してもらいたいことがあります。

それは、
ただ企業の事業内容を分析するだけでなく、このレポートを読みながら「その会社でどう活躍できそうか」や「自分のやりたい仕事に携わることができそうか」考えてみる。
ということです。

ただ漠然とレポートを読むのではなく、その企業に対して自分なりの意見を持つことが非常に大切です。
さらにいえば、このレポートの分析を足がかりにして、もっと深く分析してみてください。
自分で情報を集め、深い分析をし、未来に向けた提案をできる人材を企業は求めています!

各章末に「Q○での考察」というスペースを設けているので、必ず「考えながら」読むようにしましょう!
メモを書くスペースもあるので、自分の考察をメモしておくと、より効果的です。

Q1. そもそもエン・ジャパンとは
(a) 何をやっている会社?

→エン転職をはじめとした求人サイト運営、人材紹介、海外事業を主に行っており、国内求人サイト運営事業が収益柱です。

実際にHPなどで確認してみると、非常に多くの事業を行っていることが分かります。エン・ジャパンでは、それらを大きく4つのセグメントに分けています。それぞれの事業規模は下の円グラフの通りです。

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(エン・ジャパンIR資料より作成)

求人サイトによる売上が6割を超えており、人材紹介、海外事業、その他が続きます。
では、それぞれどのような事業なのでしょうか。

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それぞれの事業の売上高の推移は下のグラフの通りです。
求人サイト事業が全体の売上高成長に大きく貢献していることが分かります。

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(エン・ジャパンIR資料より作成)

では、それぞれの利益はどうでしょうか。新しいセグメント区分が始まるのは今期からなので、セグメントごとの営業利益 は予想のみ公表されています。
直近の予想を見ると、営業利益のほとんどは国内求人サイトが占めていることが分かります。

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(エン・ジャパンIR資料より作成)

以上より、エン・ジャパンは国内求人サイト事業が収益の柱となっている企業であることが分かります。

(b) 何を目指している会社?

→多くの「『人間成長』の実現」のために、「『人』、そして『企業』の縁を考える」事業をしています。

エン・ジャパンでは、基本理念として「『人間成長』の実現」を掲げ、事業理念を「『人』、そして『企業』の縁を考える」としています。

創業者である越智代表取締役会長がなぜこの二つの理念を掲げるようになったのかを、創業の経緯から探ってみましょう。まず、越智会長の経営者としての原点はその生まれにあります。越智会長が生まれた家系では、起業家が非常に多く、起業するのが当たり前の環境だったそうです。越智会長は起業に興味を持ちつつも、新卒でサラリーマンとしてアパレルメーカーに入社した後、成長を求めてお兄さんが経営する食品メーカーに転職しました。そこでお兄さんが社員教育に非常に熱心だったのを見て、社員教育に興味を持つようになったそうです。
その後、教育コンサルティング会社への転職を経て、エン・ジャパンの前身を起業しました。そのため、多くの「『人間成長』の実現」を目指したいという考えは、越智会長のお兄さんの影響で持つようになったと言えそうです。そして、自身の転職を通した成長経験から、「『人』、そして『企業』の縁を考える」という事業理念を掲げるようになったと考えられます。

顧客の「『人間成長』の実現」を目指すためにはエン・ジャパン内でも「人間成長」を実現する必要があると考えており、採用ページでも「インナーコーリング(自分の人間性の向上のために働くこと)」と「ワークハード」(IW理論)について記されています。

越智会長はエン・ジャパンの最大株主でもあり、同社への影響力も非常に大きいため、この二つの理念は今後も変わらず残り続けるでしょう。
また、(株)インベストメントブリッジが開催した投資家向けIRセミナー「読売ブリッジサロン」では、越智会長に実際に会社説明をして頂いたことがあります。
その際の参加者アンケートでは、越智会長の熱意、誠実さ、強い自信を感じたというコメントが多くありました。
そのため、一度越智会長の動画を見たり、本を読んだりすると、エン・ジャパンの理念をより深く理解できるのではないでしょうか。

<参考資料>
ニッポンの社長

Q1での考察

✔ 携わりたい事業はあるか?
✔ 自分が活躍できそうな事業はあるか?なぜそう思うのか?
✔ エン・ジャパンの理念に100%共感できるか?

これがクリアになれば、次章の内容をよりあなたの就活に活かすことができます。

Q2. 事業環境について
(a) マーケットは伸びますか?

→全体的には人材採用サービスの需要は伸びると考えられます。ただ、業種によって需要の伸びに差がでることが見込まれます。

下の図は、パーソルが推計した2030年の労働市場の予測です。この図をみると、市場全体として長期的に人手不足の傾向にあることが分かります。サービス業や医療系分野での人手不足が特に大きく、これらの分野では人材派遣サービスが利用される可能性も高いです。ただ、それ以外の多くの分野でも人手不足になることには変わりないので、転職サイトや人材紹介サービスに対する需要は高まると考えられます。

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(「労働市場の未来推計」,パーソル総合研究所、中央大学より)

下の図は、エン・ジャパンが決算説明資料で出している生産年齢人口と転職者数のグラフです。
生産年齢人口が減る一方で転職者は増加傾向にあり、同社にとっては追い風であることが分かります。
しかしながら、転職者数は景気動向に左右されやすいため、不透明な要素が多い市場であるとも言えます。

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(エン・ジャパン決算説明資料より)

以上の情報は労働市場全体の動向です。
ミドルクラスやハイクラス人材の労働市場に関するデータはあまりないため、実際に現場で働く方の話を聞く必要があると言えそうです。

(b) 他社と比べた強みは?

→国内求人サイト事業での登録者の多さと若さが強みです。

国内求人サイト事業について、競合と比較して強みを探ってみましょう。

①国内求人サイト事業の強み
エン・ジャパンの国内求人サイト事業の強みは登録者数の多さと若さです。主力の転職サイトと比較してみましょう。
大規模な転職求人サイトを運営している企業は主に以下の4社です。

ⅰ.4社の基本情報

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※時価総額は2020年4月2日終値、売上等は2019年度業績参照

求人を出す企業の目線で考えてみると、求人掲載を依頼するサイトは、掲載価格、登録者数、登録者の質で決まると思います。求人掲載料に関してはInter Gear Solutionの比較を見る限り、エン転職はやや安い印象を受けますが、だいたい他社と同じような価格帯であるといえます。そのため、登録者数と登録者の性質についてより詳しく比較していきたいと思います。

ii. 転職求人サイト登録者数の比較

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※売上等は2019年度業績参照

この表の登録者数を見ると、エン転職の登録者数が非常に多く、首位のリクナビネクストに次ぐ規模であることが分かります。企業規模では他社に劣るものの、登録者数の規模は業界2番目であることが分かります。エン転職以外のサービスでもこのデータベースを活かせることも考えると、やはり会員数の多さは強みと言えます。

一方で、エン転職の掲載企業数は他社と比較して非常に少ないことが分かります。このことは、ターゲット(恐らく単価が高い掲載企業)を絞った営業をするというエン・ジャパンの国内求人サイト事業の方針に合致しています。
ただ、競合が多くいる中でターゲットを絞った営業をするには着実な営業力が求められるとも言えるでしょう。

(c) それぞれの事業の戦略は?

→国内求人サイト事業は安定的利益成長、国内人材紹介事業は成長セグメント、海外事業ではインドとベトナムを強化、HR-Tech事業ではengageの普及を目指しています。M&A や出資も積極的に行う計画です。

① 国内求人サイト事業
・AMBI以外は規模拡大フェーズから利益成長のフェーズに
・顧客・エリアは集中させる

② 国内人材紹介事業
・人員増強で売上高成長を目指す
・求人サイトのデータベースを活用

③ 海外事業
・人口増加が見込まれるベトナムとインドに注力。
・ベトナムではナビゴスの圧倒的シェアを活かす。特にハイクラス向け強化。ナビゴスは2013年に約22億円で買収。
・インドでは2014年に子会社化した「NEW ERA社」と2019年に約12.6億円で買収した「Future Focus Infotech社」を軸としてIT関連で人材サービスを提供。
・シンガポール(2011年設立)と中国(2004年設立)の事業の閉鎖・売却検討。

④ HR-tech事業
・2021年に黒字化、2022年に高収益モデル確立を目指す
・地方を中心にマネタイズのトライアル(恐らく有料オプション)を開始

M&Aに関しては、テック関連企業、またはベトナム/インド強化につながる企業に出資する計画で、2022年までに200億円の出資枠を設けています。


Q2での考察

✔ Q1で考えた「携わりたい事業」「自分が活躍できそうな事業」についての理解は深まったか?
✔ 事業環境や事業戦略を理解した上で、自分の意志は変わらないか/強まったか?
✔ どうして「エン・ジャパン」で働きたいのかを、同社の強みや特徴を理解した上で説明できるか?
✔ 上記で書ききれていない事業環境/成長戦略を自分で調べる。

以上を考察した上で、同社の成長の核となる「HR-Tech」について次章で・・・

続きは、PDF(無料)でご覧ください!

2020/04/27発行
2020年1月~4月上旬のデータ/社会情勢を参考に作成しています。

SBR発行に至った背景

二つの経緯があります。

一つ目は、当社が様々な企業のIR支援をしてきたこと。
従来、IR活動は企業の投資家への適切な情報提供を目的として行われてきました。
当社は、ブリッジレポート(アナリストレポート)の発行やブリッジサロン(投資家向けIRセミナー)の開催などを通して、IR活動を支援してきました。
しかし、当社はIR情報を単なる「投資家向けの情報」としては捉えておらず、全てのステークホルダー(利害関係者)に対して共有すべき大切な情報であると捉えてきました。同時に、人財は企業価値向上にとって重要であるとも伝えてきました。
そのため、クライアント企業にはブリッジレポートやブリッジサロンといったコンテンツをIR活動だけではなく、社員へのビジョン・戦略の理解促進や、人材採用でも活用してほしいと常に説いてきました。

二つ目は、いち早く長期インターン生の採用に取り組んだこと。
当社の事業を通して金融/経済や企業家の考え方に触れてもらうことで、他社にはない長期インターン経験を学生に提供してきました。
現在、数十名のインターン卒業生が様々な業界で活躍しています。
このレポートも当社のインターン生が独自に調査/執筆しているため、長期インターンを経験している大学生、専門性を持つ人材のポテンシャルの高さが垣間見えるかと思います。

これらの経緯から私たちは「IR×就活」の可能性に気付きました。
そして、多様な企業のIR支援をしてきた実績と、長期インターン生を採用/育成した経験という優位性を活かして、人財ビジネスに進出することとしました。

私たちが始めるのは、「部門別新卒採用サービス」で、2020年中旬以降のローンチを目指しています。
これは、経営/ファイナンス/新規事業等の部門単位で新卒採用したい企業と、自分の得意分野で働きたい就活生を配属リスクなくマッチングするサービスです。

学年関係なく特定分野(ファイナンス、新規事業など)に特化した学生、年功序列ではない企業が対象です。
また、学生によるグループプレゼン形式でのスキルアピールや、長期インターンを挟むことで企業/学生 双方にとってミスマッチのない新卒採用を実現します。

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これからの日本はもはや「売り手市場」ではなくなり、一括採用も崩れていきます。
就活生に求められるのは、「専門性」×「考える力」です。

SBRでは、様々な企業や業界などのトピックをIR資料から分析します。
SBRを読むことで、IR資料の活用方法や企業分析の方法、様々な企業のビジネスモデルを知ることができます。
あなた自身が就職したい企業を分析する際にも役立ちますし、IRに絡む専門性(ファイナンス/経営/新規事業)をブラッシュアップすることもできます。

SBRを、部門別採用(ジョブ型採用)の時代の一つのツールとして活用してください。

時代は刻一刻と変化しており、従来の『横並び一括採用』では企業にとって本当に必要な人材、変化に対応できる人材を採用することは難しくなっています。
その中で、インベストメントブリッジの部門別新卒採用サービスを利用することで、本当に必要な人材を新卒で迎え入れることができます。

関連リンク

Student Bridge Report一覧
https://note.com/investmentbridge/m/m285be3f30bc3

投資家向けIR情報サイト ブリッジサロン
https://www.bridge-salon.jp/

スマホ時代の金融教育メディア いろはに投資
https://www.bridge-salon.jp/toushi/

株式会社インベストメントブリッジ 会社概要
https://www.bridge-salon.jp/company/

部門別採用に興味のある企業様、学生様(全学年対象)はサービス開始次第ご連絡を差し上げますので、 https://forms.gle/ZrX7zKBNbsH2SAzZ8 にてお問合せ下さい。

本レポートは情報提供を目的としたものであり、該当企業への就職を勧めるものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポート内の見解や引用においては最大限の配慮のもと作成しておりますが、認識の違いや問題等ございましたら salon@cyber-ir.co.jp までご連絡下さい。
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