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落合博満は、キャンプの6勤1休でサイクルを選手の体に覚え込ませた

落合博満は、キャンプの6勤1休でサイクルを選手の体に覚え込ませた

~ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたか 第57章~

ネットニュースを見ていると、今でも頻繁に、落合博満についての記事を目にする。
やはり打者としても、監督としても超一流の成績を残しただけに、話題に事欠かないようだ。

最近、私が興味をそそられたのは、横尾弘一さんの『【落合博満の視点vol.72】紙一重の勝負を制するために重視したい感覚とは』 という記事だ。

落合が時間

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ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第55章

ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第55章

監督落合が最も高く評価した新人 大島洋平2023年8月26日、大島洋平が通算2000本安打を達成した。
プロ14年目でのスピード達成である。

大島がドラフトで指名されたのは、落合が監督を務めていた2009年オフである。
当時、2007年に日本一になった外野のレギュラーは、全員いなくなっていた。
ライト:福留孝介、センター:李炳圭、レフト:森野将彦
福留は既に大リーグへ移籍しており、李は自由契約が

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ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第52章

ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第52章

 

自らが退場となることでチームを守った落合

先日の「【公式】落合博満のオレ流チャンネル」で、落合が退場回数歴代3位だったことを知った。

選手時代2回、監督時代6回の計8回。
選手時代の2回は、いずれも守備中、セーフの判定に抗議した結果だ。

落合は、選手・監督時代を通じて、審判とトラブルを起こしても何のメリットもない、という考えを持っていた。私は、選手時代に審判の判定に抗議しているのを見た

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ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第51章

ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第51章

勝つためにプロ野球の華を犠牲にした落合

落合は、就任1年目から勝つために様々な戦略を練り、他球団が思いつかないような作戦を実行に移した。

Numberの雑誌『なぜ今、読まれているのか 似て非なる名将 落合博満と野村克也。』でも、それらのいくつかが赤裸々に語られている。

私は、以前、落合がナゴヤドームで圧倒的に強いチームを作り上げるため、ナゴヤドームの使用球を飛ばないボールに変えた、という話を

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ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第48章

ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第48章

荒木・井端のコンバートの真意は、ヒットを防ぐためではなかった

落合野球の象徴とも言える荒木・井端のアライバコンビ。
二塁手荒木、遊撃手井端だった守備位置を落合は、2010年~2011年の2年間入れ替えた。

このコンバートは、物議を醸した。
なぜなら、肩に不調を抱えていた荒木が二塁手よりも一塁から遠い遊撃手になったことで、遊撃のエラー数が増えたからだ。

遊撃手
2008年 井端 106試合 8

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ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第47章

ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第47章

落合が32歳でたどり着いていた『負けない野球』

「投手を中心とした守りの野球」
言わずと知れた、落合が目指した野球だ。中日の監督に就任したとき、そう宣言した。

そして、落合は、実際にそれを8年間貫いて、圧倒的な実績を残した。

球史に残る大打者だった落合がいつからそんな考えを持つに至ったか。

私は、おそらく現役時代の晩年か、引退後なのではないかと想像していた。
しかし、最近、1986年の日本

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ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第46章

ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第46章

荒木の8年間の奮闘を救った落合の言葉

落合博満が監督8年間を総括して、野手の中で最も高く評価していたのが荒木雅博だ。

打者としてなら荒木より優れた選手は、数多くいる。
1番打者としての働きは素晴らしいが、早打ちやポップフライの多さを批判されることも少なくなかった。

2010年には二塁手から遊撃手にコンバートされ、広い守備範囲を生かしたプレーを見せてはいたものの、肩の不調に悩まされ、エラーが増

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ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第45章

ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第45章

 キャンプ初日紅白戦の意図は、選手を見極めるためではなかった

ここのところ、『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』(鈴木忠平著)に出てくる落合発言の所感を記してきた。

これまで明らかにされてこなかった落合の真意が多く語られていて、いくつもの驚きがあった。

今回、その最後として、監督退任前に落合がホテルの食事会場で荒木雅博に語った言葉を取り上げたい。

落合が選手に求めたのは、試合の

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ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第44章

ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第44章

ただ1人打ったからって勝てるものでもない

今年から落合は、YouTubeで『【公式】落合博満のオレ流チャンネル』を開設して、野球を様々な角度から語ってくれている。

これまで公表されていなかった現役時代のトレード話や監督時代の逸話が聞けてありがたい。
最近、ネット上に事実でない情報が数多く上がっているため、自らが事実を語ることにしたのだという。

その中で、私も、印象に残る言葉がいくつも出てきて

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ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第43章

ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第43章

 落合が『嫌われた監督』の著者にかけた衝撃の別れ言葉

『嫌われた監督』の著者鈴木忠平氏は、落合の監督退任と時を同じくして中日の担当記者を外れている。
鈴木が落合にそれを伝えに行ったとき、落合は、こんな言葉をかけたという。

鈴木は、そんな別れの言葉に衝撃を受ける。これまで「俺の話はしない方がいい」と言った取材対象者に出会ったことがなかったからだ。

きっと鈴木は、当時から今までもそんな取材対象者

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ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第42章

ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第42章

落合が監督就任時と監督退任時に残した全く同じ言葉

これは、落合が監督就任時に選手たちを前にして話した言葉だ。

そして、8年間の監督生活の最後、2011年日本シリーズ終了後に選手全員を前にして、落合は、こんな言葉を残している。

驚くべき一貫性である。
落合は、監督就任時、選手たちに個の成熟を求め、それが実を結んで退任するとき、その継続を求めたのだ。

そんな落合の理念を読みながら、私は、選手落

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ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第41章

ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第41章

第41章 情を捨て、理知を貫いた選手起用がもたらした栄光

これは、荒木雅博が落合に、使う選手と使わない選手をどう測っているか尋ねたときの答えだ。

落合が監督時代の8年間、掲げ続けた中日のスローガンは『ROAD TO VICTORY』。何があっても、一切変えようとしなかった。

情より理知。

リーグ優勝という栄光への道を歩むために、戦力として必要かどうか。それだけを基準に、選手を起用し続けたの

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『ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第40章』

『ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第40章』

第40章「自分から右打ちなんてするな」

和田一浩は、2008年にFAで中日に移籍して、落合に打撃指導を請い、その結果として2010年に38歳という高齢でシーズンMVPを獲得した。

その後、さらなる打撃指導を受けて高みを目指したが、飛ばない統一球の影響もあって、2011年は逆に成績を落としてしまう。

それでも2012年以降もまずまずの成績を残し、2015年には79試合出場ながら打率.298、5

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『ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第39章』

『ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたのか 第39章』

第39章 「監督の仕事ってのは、選手のクビを切ることだ」

『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』(鈴木忠平著)には、印象に残る落合の言葉がいくつもある。

 その中の1つが2004年のシーズン最終戦の前日、戦力外通告を受けた川崎憲次郎が思い出したという言葉だ。

 この言葉は、2011年の落合退任後、谷繁元信が8年間を振り返ったときにも話していたから記憶に残っていた。

 落合は、監督

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