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マルフォイを嫌いになれない

今怒涛の勢いで、ハリーポッターの映画シリーズを見ているのだが、さすが世界で一番売れたファンタジーというだけあって、やはり面白い。これまでよくもまぁ僕は、これを見ずに生きてきたもんだと思う。人生半分損していた。

そこまでハリーポッターを知らない僕からすると、魔法の世界のファンタジーものというくらいしか、印象がなかった。しかしそこに、各キャラクターの過去や謎、クラスメイトが成長していく様子が加わり、唯一無二の作品になっているのだと、見始めてわかった。

そんなハリーポッターの世界の中に、マルフォイというキャラクターがいる。金髪、オールバックで、ハリーの所属するグリフィンドールと敵対する、スリザリンというグループのリーダー的存在だ。マルフォイは常に、ハリーや周りの友達に意地悪をしてくる。

ハリーの友達の、ハーマイオニーという女の子には「マグルの子」と言って、人間の間から生まれた事をバカにするし、ハリーに対しても「両親がいない」なんてからかったりする。常にハリーを目の敵にしていて、モラルもへったくれもない、罵詈雑言を存分にハリーに浴びせてくるのである。

常に悪者として描かれていて、視聴者を腹立たせるヒールの役割をするマルフォイであるが、僕は見ていて全然嫌いになれないのだ。そりゃ、ハリーってなんか腹立つよな。と思って仕方がないのである。

マルフォイは確かにずっと、ハリーに対して心無いひどいことを言い続けている。とにかくすべてのことに対してハリーの逆の勢力に付き、邪魔ばかりしてくるということに間違いはない。ただ、思う。もし自分がマルフォイと同じ立場だったら、ハリーってとてつもなくウザくないか?と。

マルフォイは、魔法使いの一家から生まれて、エリートとして育ってきた。ひねくれてはいるが、お金もあり成績も悪くない。能力としては、ヒーローになってもおかしくないスペックを持っているわけだ。

もちろんそこには才能もあるだろうが、見えないところで努力もしてきたのだと思う。お金持ちだからこそ、小さなころから塾へ行ったり、ステータスを維持するための親からのプレッシャーだって、幼少期からあったであろう。

そんなところに、ハリーがポッと出てくるのだ。伝説の悪党であるヴォルデモートを倒した少年として、様々な事件を勇気で解決したヒーローとして、学校からも勇者のような扱いを受ける同級生として。


そりゃ、いじめたくもなると思うのだ。

大体ホグワーツは、ハリーに対して甘すぎる。


大体ハリーは、正義のためとか言って、バンバン校則を破る。夜普通に出歩くし、やるなと言われてることは、大体やってる。一方マルフォイは、校則は破らない。破らせるような嫌なことはしても、実際に校則を破ることはない。

でも大体最後に校長は「ハリーの勇気をたたえて、罰則はなし!」とか、大声で言っている。大体、先の先ことまで見通して助言をしたりする校長なんだったら、生徒が暴走する前に何とかするべきだ。そう考えると、泳がせたうえで、校則違反だといった上で、わざわざそれを伝えて帳消しにして盛り上げる学校も、なかなかやべぇとも思う。

その不公平を一番感じるであろうマルフォイを、僕は嫌いになれないのだ。確かにひどいことを言ってはいるが、学校のハリーひいきがすごすぎて、ひねくれたんじゃね?とも思えるくらい、無茶苦茶なように僕は思えて仕方がないのである。


マルフォイは大していいエピソードがあるわけでもない、しっかり悪役なのにもかかわらず、主人公の絶対的ヒーロー感のせいでむしろ嫌いになれない、裏を感じてしまうキャラクターである。

クィディッチとならんで、作品の方向性と同じ方向を向けないなぁと思う、ハリーポッターの要素である。


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