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数学(2022/6/1):キューネン本2冊についての記事_X.記事再編のお詫び

1.そもそもこの記事は何のためだったか

(2022/6/5 15:00頃)2022/6/1予告通り大改訂済
(2022/6/11 18:00頃)選択公理関連で改訂済

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今まで、ケネス・キューネン『キューネン数学基礎論講義』『集合論』それぞれI章のみの紹介を、これまでしておりました。
より正確には、紹介の前段階として、数学全般基礎を構築するのに必要な数学ジャンル、『集合論』デファクトスタンダードとなる理論『ZFC集合論』について、実際に簡単な概念から高度な概念を構築しながら紹介していたのでした。
(これらの本のそれぞれI章は、主にZFC集合論についての章なのでした)

2.これまでのあらすじ

さて、当面の目標は、「基数としての自然数全体の集合」“aleph-0“ です。
自然数全体の集合なので、についてよく言われるように、順序数基数両方の性質を持ちます。
基数順序数によって定義できるので、「基数としての自然数全体の集合」、"aleph-0" を定義できれば、自然数全体の集合そのもの定義しきれたのと同じ意味になります。

3.とにかく記事が長くなりすぎる。これでは数学寄りでない方に読んでもらえない

実は、そこまでたどり着くのに、膨大な概念を構築しつつ、新しい公理(「これをとりあえず真なる主張と仮定して議論を進める」始まりの文の一つ)を導入しつつ、ということをしなければなりません。
結果として、とてつもなく長くなることが、今の時点で既に分かっています。

***

今までロードマップを仮に示して、それに従って記事を進めておりましたが、書いていくうちに

「この記事はあまりにも巨大になりすぎる。
ただでさえこの記事はどれもこれもかなり長いのだ。
数学寄りでない方に数学を説明する記事だろう。
ふつう、そういう記事だったら、長すぎたら読みたくなくなるよな」

「それに、今書いている記事をよくよく吟味したら、先行の記事、あの内容ではマズイのでは?」

「それと、先行の記事、あの順番で書いてるけど、整理したらあれより相応しい順序があるよな?」

などなど、にっちもさっちもいかなくなってきました。

4.非常手段

ということで、私の中で、もうどうにもならないので、

・今までの記事を直す
・これからの記事を、予告していた区切りよりはるかに細かくする

ということをやらざるを得なくなりました。

5.これまで書いてきた記事の再編

また、前回まで書いていた記事は

  1. 『(集合論的な)関係』まで

  2. 『自然数』まで

  3. 『論理学』まで

  4. 『自然数全体の集合』まで

という流れになっていたのでした。

しかし、主に論理学について、

  1. 最初からあるものとしての変数等、それを適正に組み合わせて作れる論理式、さらにそれを適正に羅列することで作れる演繹による、『論理学』の世界

  2. 演繹のルール(推論規則)の制約によるいくつかの種類の『論理体系』の世界

  3. これらを自然数等に対応させる(番号を振る)ことで、集合論の世界論理学事実上模倣できる上に、元々の論理学の諸性質についても研究が容易になる『記号論理学』の世界

  4. その上で、論理学の諸概念が問題なく構築できることによって、論理学を使っても本当に問題ないことが証明された『証明によって正当化された各種概念』の世界

このくらいに細分化しないとマズイ、という考えに至りました。

そして、これにより、記事の順番や構成自体が変わってしまいます。
可読性も考慮して、直す場合、こうなります。

  1. 『演繹』まで(『論理学』の世界)

  2. 『直観主義論理』まで(『論理体系』の世界の前半)

  3. 初歩的な『集合』まで

  4. 『(集合論的な)関係』まで

  5. 『整列可能集合』まで

  6. 「順序数としての自然数」まで

  7. 「基数としての自然数」『有限基数』または『個数』と呼ばれるものまで

  8. 『論理体系』の世界の後半『古典論理』を使って)「基数としての自然数全体の集合」"aleph-0" と呼ばれるものまで

記事の構成が、だいぶ違ってしまうので、これまで記事を読んで下さっていた方々には、かなり申し訳ないことになります。

6.これから書く記事についての前回の予告との齟齬

それと同じく、マズイことですが、"aleph-0" に至るまでのロードマップとして当初予告していた

  1. 特に順序数における基数

  2. 集まり一般における基数

  3. 基数としての自然数、有限基数または個数と呼ばれるもの

  4. 基数としての自然数全体の集合、aleph-0またはomega-0と呼ばれるもの

についての話が、さらに細かくなってしまいました。

6_1.『特に順序数における基数』までの記事を『基数としての自然数』までの記事に吸収合併する

そもそも、当初は自然数等基数とは別の構成をする予定だったのでした。

しかし、ある種の世間的には、とは順序数基数の性質を併せ持つものなのでした。
だったら、自然数の話も、順序数としての自然数と、基数としての自然数の話をした後で行うべきです。

それどころか、基数の構成には順序数用いるのでした。
だから、実質的には基数としての自然数の話まですれば、自然数そのものの話をしたのと同じ意味になります。

基数としての自然数を構成するために、別建てで作っていたはずの、「特に順序数における基数」の話が、そのまま使えます。
ですので、「特に順序数における基数」のくだりを、そのまま自然数そのものの構成のために配置換えします。

6_2.『集まり一般における基数』まで(詳細)

6_2_1.『選択公理』本体

さて、『特に順序数における基数』から『集まり一般における基数』を作るために、かなり長い寄り道をせねばなりません。
具体的には、ここでZFC集合論の公理の1つ『選択公理』『基礎公理』を出すことになります。
(また、その等価である命題も、様々なバリエーションのものを使います)

***

選択公理については、話を

  • 『選択公理』本体

  • 『選択公理』バリエーション『整列可能定理』

  • 『選択公理』と等価である命題

の3つに分けます。

なぜこんなことをするのかというと、『集まり一般における濃度』を作るためには、『選択公理』本体『整列可能定理』しか使わないからです。

『選択公理』と等価である命題については、今から構築する集まり一般における濃度使うことはないため、特に循環定義的な問題は生じません。

この記事では『選択公理』と等価である命題を定義して、これを使って濃度を構成します。
ただし、本質的にはその一環である『整列可能定理』を使っているに過ぎない、ということに注意して下さい。

***

基礎公理については、話を

  • 『基礎公理』本体

  • 『基礎公理』バリエーション『万有クラス上の超限再帰』と呼ばれるもの

  • 『基礎公理』バリエーション『数学上は万有クラスが整礎的集合一般全体の真クラスに等しいとする主張』

  • 『基礎公理』と等価である命題

の4つに分けます。

なぜこんなことをするのかというと、『集まり一般における基数』を作るためには、『数学上は万有クラスが整礎的集合一般全体の真クラスに等しいとする主張』のみが必要だからです。

『基礎公理』と等価である命題については『基礎公理』によって構築可能な概念を使っているものがあるのです。
が、そこで今から構築する集まり一般における基数使うことはないため、特に問題は生じません。

この記事では『基礎公理』と等価である命題を定義して、これを使って濃度を構成します。
ただし、本質的にはその一環である『数学上は万有クラスが整礎的集合一般全体の真クラスに等しいとする主張』を使っているに過ぎない、ということに注意して下さい。

そして、『基礎公理』バリエーション『万有クラス上の超限再帰』と呼ばれるものの構築のために、かなり膨大な下準備が要ります。
具体的には「記号論理学の世界」『形式言語』が、ここで要請されます。

6_2_2.集まり一般における濃度

ですので、ロードマップは、以下のようになります。

  • 選択公理(とそのバリエーション、『整列可能定理』と、『選択公理』と等価である命題全般)

  • 『記号論理学』の世界

  • 基礎公理(とそのバリエーション、『数学上は万有クラスが整礎的集合一般全体の真クラスに等しいとする主張』と、『基礎公理』と等価である命題全般)

  • 集合一般における濃度

6_2_3.濃度における超過

『特に順序数における基数』と、『集まり一般における濃度』には、広義全順序関係(以上以下)狭義全順序関係(超過未満)の概念があります。

実は、集まり一般における基数を定義するには、「より大きい濃度」『濃度における超過』の概念が必要になります。
(これは、基数としての自然数全体の集合を定義するために、『有限基数より大きい基数』自然数全体の集合自然数より大きいので、基数においてもこれを保証しなければなりません)や、そのための『基数における超過』の概念が必要であるのとは、また別の話として要ります

ところが、これを保証するのが、実は並大抵のことではなかったりします。

そして、ここでまた『記号論理学』の世界が出てくるのです。
『記号論理学』の世界の概念を使うことで、結果的には「自身に自身の定義を含む入れ子めいた函数」『帰納的函数』の定義ができるようになります。
そして、『集まり一般における濃度』『帰納的函数』によって、結果的には『濃度における超過』が定義できるようになるのです。

ですので、ロードマップは、以下のようになります。

  1. 『記号論理学』の世界以降の展開(帰納的函数など)

  2. 濃度における超過

6_2_4.集まり一般における基数

ここまでの長い道のりを突破すれば、『集まり一般における基数』説明は、比較的短く終えられます。

(実はこの後もまた長い箇所があるのですが、後で説明します)

6_3.基数としての自然数全体の集合、"aleph-0" と呼ばれるものまで(詳細)

『集まり一般における基数』と、あといろいろを使うと、ようやく基数としての自然数全体の集合"aleph-0"または"omega-0"と呼ばれるものが構築できるようになります。

ここでは"aleph-0"の構築に必要な、その他のいろいろな概念の構築を行い、これらを用いて"aleph-0"が構築されることを見ていきます。
長いですが、これが終われば、ようやく当面の目標、「基数としての自然数全体の集合」“aleph-0“に到達します。
本当に長かった。

7.それから先のことは

それから先のことは、粗々と、以下のようなロードマップになります。

  1. 無限基数

  2. 無限基数回目のある整礎的集合一般

  3. 遺伝的集合一般

  4. 遺伝的有限集合全体の集合

  5. 証明によって正当化された遺伝的有限集合全体の集合

  6. 証明によって正当化されたZFC

  7. モデル理論

  8. 数学全般

それぞれどういうものであるかの説明は、それぞれの記事の冒頭あたりで行います。
ちなみに、しばらく放置していた『証明によって正当化された各種概念』の世界は、ここでいう5.で扱います。

8.この記事をもってお詫びに代えさせて戴きます

全体としてはこのような予告になります。
今度は大きく変わらなければ良いのですが、「大きく変わらなければ良いなあ」程度のことしか、今は言えないのが正直なところです。

読者の皆様には大変ご迷惑をおかけします。申し訳ありません。

その上で、ご期待ください。

(続く)

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