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最近読んだ本『ある男』

友人2人とnoteの話題になり、良い機会だし自分の頭の整理として少し書いてみようと思った。こういう風に文章を書くのは久しぶりなので短くなっちゃったらゴメンネ。

今回は、最近読んだ「ある男」という本について。作者は平野啓一郎さん。今秋、映画化されるらしく、話題の書として本屋さんに平積みされているところをよく見かける。

私が惹かれた表紙(アントニーゴームリーの「Big Yield」という彫刻作品らしい)

経緯

仕事帰りにはほぼ毎日駅の本屋さんの前を通り過ぎるのだが、そこで目についたこの一冊。なんだか表紙がシンプルでとても心惹かれた。裏表紙のあらすじを読んでみる。

以下、あらすじ。


愛したはずの夫は、まったくの別人であった。
「マチネの終わりに」から2年。平野啓一郎の新たなる代表作!

弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。
宮崎に住んでいる里枝には、2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった。長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚して、新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。ある日突然、「大祐」は、事故で命を落とす。悲しみにうちひしがれた一家に「大祐」が全くの別人だったという衝撃の事実がもたらされる……。
里枝が頼れるのは、弁護士の城戸だけだった。

人はなぜ人を愛するのか。幼少期に深い傷を背負っても、人は愛にたどりつけるのか。
「大祐」の人生を探るうちに、過去を変えて生きる男たちの姿が浮かびあがる。
人間存在の根源と、この世界の真実に触れる文学作品。

ある男 平野啓一郎 文藝春秋社

うぉー、めっちゃ良さそう。正直、初見で「これ読もう!」となる本には中々出会えないのでとても興奮した。ただ、当時別で読んでいる本があったことに加え、前もって買うと積読してしまうタチなので、一週間ほど経ってから購入。

感想

結論から言うと、かなり良かった!!(かなりと言いつつ、ブクログの評価では星5/5)
衝撃作と言うわけではないけれど、読みながら色々と思考し、読後、心にしっかり残ってくれる作品。

ミステリー的なストーリーラインでの面白さはもちろんある。ただ、個人的に好きだったのは主人公城戸が「大祐」を調査をしながら「大祐」の気持ちや自身の出自に思いを馳せる流れ。一人の人の死はその人だけの死だけど、「大祐」になり代わっていたXは誰の死を死んだのか……

この作品のテーマの一つは「過去」だと思う。もちろんその人自身の行いの積み重ねとしての「過去」もあれば、どんな場所・家庭で生まれるかという「過去」もある。私は今までの人生に満足をしているが、いまもし誰かになり代わって生きていくとしたらどんな思いで生きていくのだろうか。捨てることになる、現在の私が生きている人生をどんな気持ちで見つめるのだろうか。

この先、また数年後に読み返したくなるだろうなと思う作品。今度は平野啓一郎さんの代表作「マチネの終わりに」も読んでみたいと思う。

はじめてのnote、それでは👋

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