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「て」

「て」を観た記録。

祖母の認知症をきっかけに再集合した家族が、過去の関係を清算しきれずに大爆発する様子を描いた。岩井自身の体験を描いた私演劇。ハイバイではお馴染みとなった、母を男優が、祖母を女優が演じる形を取りつつ、新たな試みをして「同じ場面を視点を変えて2周する」劇的構造が作品テーマと見事に相乗効果を産み、演劇界に大きな話題を呼んだ名作。


同じ場面を視点を変えて2周する。
単純に、違う視点にフォーカスされることにより解明されるおもしろさがあるし、
描かれる視点が増えることで、人物をより俯瞰で見られるようになって、
最後の方は特に、なんていうか、あたたかく、落ち着いて、安心して観ていられた。

今まで観た作品と同じく、お母さんは男性が演じていて。
強くて弱くてチャーミングなお母さんは、やっぱりかわいい。

今回はおばあちゃんも登場して、おばあちゃんの年齢より若い女性が演じていた。
実際の年齢の人が演じるよりも、気楽に、でも少し残酷にも見えた。

登場した人たちはみんな、登場した人たちだった。当たり前だけど。なにも過剰じゃなくて、みんな心が、その人たちのものだと思った。

お母さんが見た新しい家族は、確か、おもしろい謎の動きと、すっごくおもしろい登場の前。
夢とか現実とか、期待とか。
入り混じって見えた家族の姿は、(お兄ちゃんの陽な姿に萌えたけどそれは置いておいて)
すっごく光っていて。でも私たちは現実を知っていた。
自分に絶望してしまうのを思い出す。

親子で同じ動きをしているのも、こっそりおもしろかったな。

再集合で大爆発。
家族ってそう簡単には切れなくて、私は苦しかった。
今では大分落ち着いたけど、どうやったら自分はここから居なくなれるか、
消えられるか、ずっと考えていた時期があった。
結局、一人暮らしにしては異常な物の量に負けた。
そこから更に切れなくなる。実家に帰されて。
ずっと寝っ転がっていたなぁ。
そのうち外に出て、ずっとやりたかったことを始めて、
人に会って、絵を描いて、服をつくって。

お風呂はほぼ毎日、母と一緒。
もう26歳。
昨日はお風呂の中で、岩井さんの生い立ちを語った。
多分いろいろ間違えていたと思うけど、それは置いておく。
語りつつ、母が出ようとしたので、追って語りながら私も出る。
リビングでテレビを見ながら髪を乾かそうとする母。
に、岩井さんの本、やっかいな男の帯を読ませる。
自己紹介を読み始めたので、しめしめと思う。
また今度読ませて、と予約を承る。
そして、思い出す。
あ…アダルトビデオの話とか、
ちんちんの話とか、
書きまくってあるの忘れてた…

まだ序盤しか読んでないのに、既にその割合多く。
ラブホテルのことを、変なホテルと言う母は
耐えられるだろうか、、、

と、そんなことも思い出すが、つまり、
私の、家族との(私の勝手な)再出発は、
結構ふわーーーーっと、
グラデーションで、どっかから始まっていて。

この家族たちとの比較はしないけど、
なんか、どっちもおもしろいかもな、
と、思うのでした。

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