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〈JAZZロングレビュー〉デイヴ・ダグラス(Dave Douglas)『Dizzy Atmosphere : Dizzy Gillespie at Zero Gravity』【2020.6 146】

■この記事は…
2020年6月20日発刊のintoxicate 146〈お茶の間レヴュー JAZZ〉掲載記事。2020年5月1日に発売されたデイヴ・ダグラス(Dave Douglas)『Dizzy Atmosphere : Dizzy Gillespie at Zero Gravity』をレビューした記事です。

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intoxicate 146


中堅、新鋭アーティストとプレイする、デイヴ・ダグラスの宇宙時代のビバップ(常盤武彦)

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【JAZZ】
Dizzy Atmosphere : Dizzy Gillespie at Zero Gravity

Dave Douglas, Dave Adewumi(tp)Matt Stevens(g)Fabian Almazan(p)Carmen Rothwel(lb)Joey Baron(ds)
[Greenleaf GRE-CD-1076]〈輸入盤〉

 自らのレーベル、グリーンリーフを拠点に精力的にアルバムをリリースしているデイヴ・ダグラス(tp)。現在まで、ウェイン・ショーター(ts,ss)ら多彩なアーティストに、現代の視点からオリジナリティ溢れるトリビュートを捧げてきたダグラスだが、ディジー・ガレスピー(tp,vo)へのトリビュートは、あまりに大きな影響を受けたがゆえに、長い逡巡があった。2018年に、ジャズ・アット・リンカーン・センターでのコンサートで初めてガレスピー・トリビュートに、ダグラスは着手した。アンブローズ・アキンムシーレ(tp)、ビル・フリゼール(g)、リンダ・メイ・ハン・オウ(b)らを迎えた、このコンサートで確かな手応えを感じたダグラスは、レコーディングを決意する。しかし、このメンバーを再結集するには、スケジュール調整が難しく、ドラムスのジョーイ・バロン以外のメンバーは、マシュー・スティーヴンス(g)、ファビアン・アルマザン(p)ら注目のアーティストと、かつてガレスピーが積極的に若手を抜擢したことに倣い、新鋭のデイヴ・アデウミ(tp)とカーメン・ロースウェル(b)を起用し、さらにこのプロジェクトを深化させた。


 ストレートなカヴァーは、アフロ・キューバン・ジャズのクラッシックで、バロンとロースウェルが激しいリズムを応酬する 《Manteca》と、ガレスピーがキャブ・キャロウェイ楽団時代に作曲した《Pickin' the Cabbage》のみ。オープニング・チューンの《Mondrian》は、ガレスピーの代表曲《Bebop》と画家のピエト・モンドリアンのビバップ勃興期の作品『Broadway Boogie Woogie』にインスパイアされた作品だ。2トランペットの編成が、競い合うだけでなく、補完しあいながらスリリングなアンサンブルを構築し、浮遊感のあるスティーヴンスと、ソリッドなアルマザンのコード・ワークが、絶妙なコントラストを描く。まさに無重力の宇宙の視点の、21世紀のビバップが完成した。

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Dave Douglas @ his home, 2014 Ⓒ Takehiko Tokiwa


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