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POP/ROCK新譜レビュー【2020.2 144】

2020年2月20日発刊のintoxicate 144、お茶の間レビュー掲載のPOP/ROCKの新譜7枚をご紹介!

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intoxicate 144


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①【COUNTRY&BLUES】【CD/LP】
Family Songbook

The Haden Triplets
[Trimeter Records TTMR389652(CD)64421623906(LP)] 〈輸入盤〉

チャーリー・ヘイデンの三つ子の娘、ターニャ、ペトラ、レイチェル。それぞれで活動しつつ、3人でヘイデン・トリプレッツとしてライ・クーダーなどを迎えた初作は話題になった。そして6年ぶりのセカンド。採り上げられたのは讃美歌や世界恐慌時代の楽曲などのアメリカーナ・クラシックから幅広くカニエ・ウェストまで、兄ジョッシュの楽曲もありつつ最も注目すべきは祖父であるカール・E・ヘイデン作の4曲であろう。それはタイトルが表す通りヘイデン家の歴史を巡る旅、別格のハーモニーはどこかシリアスに冴え渡り、音の深遠さにも磨きがかかる。ビル・フリゼールやドイル・ブラムホールも参加。(渋谷店 片切真吾)

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②【JAZZ】【CD/LP】
ノー・ビギニング・ノー・エンド 2

Jose James
[ユニバーサルミュージック UCCU-1621]
[Rainbow Blonde/Ingrooves BLONDE022V(LP)]

ディアンジェロの《Voodoo》('00)に呪いをかけられた2000年代のアーティストたちの行く末を、グルーヴやサウンドのパースペクティヴの変化に求め批評家たちはこの20年ずっと耳を凝らしてきた。ジャズでは特にロバート・グラスパーやミシェル・ンデゲオチェロ、そしてこのホセ・ジェイムズの音楽に関心が集まっていたように思う。『Black magic』('10)では、タイトルそのものがVoodooに由来していたし、それは『No Beginning No End』('13)まで持続した。'15年のジャズへ回帰をへて、再び'20年ホセがポップをシェイクする。(高見一樹)

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③【JAZZ】【CD/LP】
Rachael & Vilray

Rachael & Vilray
[Nonesuch 7559792418(CD)7559792417(LP)] 〈輸入盤〉

古くて恐縮。一聴、なんとなくフェアグラウンド・アトラクションを思い出した。モノクロのジャケもアーウィットのあの甘いジャケを思い出させた。それぞれのソロ活動を経てこれがデビュー・アルバムとなる米人デュオ。モノラルかと思わせる造形に仕上げたサウンドが秀逸。ドライな空間をジャズ・エイジの幸福でグルーミーな音楽が濡らす。ハワイを経由して回帰したオールディーズというと妙か、ウエスタン・スウィング的なスタイルも聴こえてくる。アルゴリズム的にはMoonChildも関連アーティストらしい。Punch Brothersに続きNonesuchが仕掛ける注目のポップ・デュオ。 (高見一樹)

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④【BOOK】
スティーリー・ダン大事典

アンソニー・ロブステリ/著
丸山京子/訳
シンコーミュージック
ISBN:9784401647927

誰にも真似できない高い音楽性と独特なサウンド・マジックゆえ、その人気が衰えることがないロック・グループ、スティーリー・ダン。ドナルド・フェイゲン、ウォルター・ベッカーの2人がどのようにして、グループ結成に至り、音楽ビジネスの世界で成功を手にしたかが克明に記され、各アルバム、ソロ作の詳細な解説、裏話もたっぷり。参加ミュージシャンに関しても、参加の経緯など興味深いエピソードも盛り沢山。特に名曲《エイジャ》で、スティーヴ・ガッドがあのドラミングを、楽譜を初見の上ワンテイクで決めてしまったという話は驚愕以外の何ものでもない。本書は現時点でのグループの総括的な一冊。 (馬場雅之)

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⑤【NEW AGE】
THE TWIN PIANOS

RIQUO(vo, p) 阿部紀彦(p)
[KUU MUSIC KUUM-0001]

シンガーソングライターのRIQUO(リコ)とジャスピアニストの阿部紀彦の2人によるヴォーカル+2台ピアノによるユニット〈TH E T WIN PIANOS〉(2017年結成)のファーストアルバム。“出会い”が軸となっているRIQUOのオリジナルに加え、アルバム中盤に並ぶカッチーニのアヴェ・マリア、阿部の手がけた 《Heart Break Rag》(ユーモラスかつワサビもきいた佳品)、RI QUOが詞をつけた澁谷盛良の《Aço (アソ)》が素敵なアクセントになっています。ほぼ一発録りのセッションによる収録のためか、ピアノの雄弁さ、臨場感のある音の動きが際立ち、ヴォーカルとの丁々発止にドキドキします。この先の可能性を想像したくなる1枚。 (渋谷店 中川直)

ジャケ画像_加藤登紀子_愛はすべてを赦す_PROT_1272

⑥【J-POP】
愛はすべてを赦す<タワーレコード限定>

加藤登紀子 (vo) 坂本龍一 (p, synth,prog, g, ds ) 稲葉国光 (b)
[Tower to the People / 40TH ANNIVERSARY TOWER RECORDS  PROT-1272]

加藤登紀子は、YMOブームの渦中の坂本龍一をプロデュースにむかえたアルバムを数枚発売しているが、本作品は戦前のキャバレー・ソングのカヴァー曲を中心としたアルバムの再発。選曲は、ブレヒト原作、クルト・ワイル作曲の『三文オペラ』から《バルバラソング》など全4曲、映画『愛の嵐』、『会議は踊る』『HEIMAT』からそれぞれ1曲。また、北川フラム訳の《愛はすべてを赦す》、加藤登紀子訳による《今日は帰れない~パルチザンの唄~》など…多彩な内容だ。坂本龍一のピアノ、シンセサイザー、稲葉国光のベースというシンプルな構成によって戦前のヨーロッパを見事に描いた傑作。(荻原慎介)

虹色のファンファーレpcd20420

⑦【J-POP】
虹色のファンファーレ

Jagatara2020
[P-VINE PCD-20420]

江戸アケミ没後30年の節目にリリースされた 『虹色のファンファーレ』!JAGATARファンにとっては、奇跡の復活となる作品である。2019年3月のTokyo Soy SourceにおけるLiveパフォーマンス等から新曲を期待されていたが、江戸アケミの命日にあたる2020年1月27日渋谷クラブクアトロでのライヴに合わせた形でついに新曲がリリースされた。作品内容は、新曲2曲と貴重な88年/89年の未発表ライヴ音源2曲、93年のリリースされたアルバム収録曲《 ナンノこっちゃい音頭》を《へいせいナンノこっちゃい音頭》として再収録、さらにカラオケ2曲と充実満点。彼ら独特のグルーブ感を新しい世代のリスナーにも是非体験して貰いたい。(水谷允久)

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CINEMA(Blu-ray/DVD/O.S.T)新作レビュー【2020.2 144】


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