【社会起業家取材レポ #20】 浜通りの小さな町から挑戦の花を咲かせ、日本全国に挑戦の種をまく。
SIACの学生が東北で活動する社会起業家の想い・取り組みを取材する「社会起業家取材レポ」。今回は、SIA2021卒業生の大場美奈さんにお話を伺いました!
1. 大場美奈さんについて
福島県いわき市出身。救急救命士になるために東京の専門学校へ通った後、福島県広野町の役場職員に。その後、一度広野町を離れ、山形県南陽市の地域おこし協力隊として2年間活動したのち、起業型地域おこし協力隊として広野町に戻る。起業型地域おこし協力隊として活動する中、「町外から人を呼ぶよりまずは町民同士の交流の場を作る必要がある」という町民の声をうけ、地域の人の交流の中心となる場「ぷらっとあっと」の立ち上げに携わる。2022年3月の地域おこし協力隊の任期満了と共に「ぷらっとあっと」の運営から卒業。現在は、暮らしを身近に感じチャレンジを生み出す滞在型体験事業やゲストハウス事業を手掛ける拠点「クラシノガッコウ 月とみかん」を作るために空き家だった古民家を改装中。
▷クラシノガッコウ 月とみかんInstagram:https://www.instagram.com/moon_orange2022/
▷SIA2021最終pitch動画:
2. 取り組んでいる社会課題
大場さんが取り組む社会課題は「広野町の魅力の発信」です。
大場さんは、暮らしの温度感が"素の自分”と一緒で、背伸びせずに等身大でいられる広野町に”恋”をしました。そんな大場さんは、大好きな広野町で長く暮らしていくために、暮らしを丁寧に身近に感じながら生きていくことが必要だと考えたそうです。
広野町は震災後、全町避難を経験しました。およそ1年後に避難指示が解除されると、町民のうち約9割の方が帰還します。これは同じ状況に置かれた他の双葉郡市町村と比べると圧倒的に高い帰還率でした。元の暮らしと近い状態に戻ったというのはもちろん良いことではありますが、だからこそ、周りと比べて復興の加速度が遅くなっていることが課題だと大場さんは感じています。
元々ある資源を長く使っていくことも、今までの暮らしを守っていくことも大切ですが、それを続けていては生産年齢人口や地域の子供、町外からの移住者の減少が懸念されます。特に広野町には移住者向けのコンテンツが不足しているため、大場さんは町外の人が移住してくる際の目印(機会・きっかけ)となるような拠点を作ることを目指しています。
暮らしが一回無くなった場所だからこそ暮らしを大切にしていき、広野町での丁寧な暮らしを発信していくために、交流を持てる拠点「クラシノガッコウ 月とみかん」を創ろうと考えました。
3. インタビュー:これまでの歩み&今後の展望
Q. 大きな決断をするときに大切にしていることはありますか?
A. 自分がどうしたいかをいつも問いかけ、最初に出てきた気持ちが答えだと考えています。
Q. SIAプログラムの同期との交流は今でもありますか?
A. めっっっっっちゃあります。
Q. 「クラシノガッコウ 月とみかん」でやりたいことはなんですか?
A. 広野町の魅力が詰まった暮らしを体験してもらい、そこで感じたものを掘り下げたり、気づきを持ってもらえるようなガッコウを作りたいです。
Q. 「クラシノガッコウ 月とみかんの将来像はどのようなものですか?
A. 自分のやりたいことや自分の気持ちに気づいてチャレンジする人を輩出したいです。
4. 編集後記
大場さんとお話しさせていただき、とてもエネルギーに満ち溢れている方だなという印象を受けました。大きな決断をたくさんしていらっしゃり、その源泉にとても興味を持って伺ったので、自分の直感に従って決断しているという判断軸を聞けて大変参考になりました。
町の人とのコミュニケーションで大切にしていることについて尋ねたところ、とにかく話を聞くことだと仰っていました。相手の緊張をほぐし自分への信頼を高めるためにも、傾聴することが必要だと改めて感じましたし、今後新しい環境に身を置く時に自分も傾聴を実践してみようと思いました。
大場さんとの会話の中でたくさん「暮らし」というキーワードが出てきました。それまで私自身あまり意識していませんでしたが、生きていく上でとても重要なことだなと感じ、取材後、意識して生活しています。食事、家事、睡眠など私たちを創っている多くのことが「暮らし」の中から生まれたものだなと気づくことができました。
大場美奈さん、ありがとうございました。
取材・執筆担当:有住龍星(東北大学 4年)
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