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「信頼関係で築かれている生協」畠山正昭さんインタビュー記事(いわて生活協同組合 人事部)

いわて生活協同組合
畠山正昭さん
職種:人事・教育部 部長
 

いわて生活協同組合で働く方にお話を聞きました。
畠山さんはメーカーで製造や営業職を経験。その後いわて生協で働き始めたそうです。宅配事業などを経験し、現在は人事・教育部長として人材の採用と教育を行っています。 

畠山さんにお聞きしました!

――畠山さんのキャリアについて教えてください。
もともとメーカーに就職して、製造の方で商品を作る仕事をずっとやっていました。そこではやることが決められていて、機械のように働いているような感じでした。興味がある仕事だからと思ってがんばったんだけど、休みも多かったし、なんかつまんなかった。その後営業職も経験しましたが、この仕事って何のためにあるのかなって考えるようになって。大きい有名な会社で働くのが自分のやりたいことなのかなとか、給料がいっぱいもらえるところの方がいいのかなとか悩んだ結果、実際そうではないことに気づいたんです。職を転々としたのち、20代後半からいわて生協で働きはじめました。

――いわて生協で仕事をしていて、どんな時にやりがいを感じますか? 
宅配事業配属の時の経験ですが、お金を出して買ってくれる組合員さんの方から「ありがとうね」って言ってくれるんです。前職の営業だと自分が「契約してくれてありがとうございます」っていう立場だった分、お金を出して買ってくれる組合員さんの方から感謝される瞬間はやっぱり嬉しいものです。地域の人たちから「畠山さんが担当でよかった」って言われることが宅配事業で働く醍醐味なのかなと思います。

――入社してから大変だったことを教えてください。
一番きつかったのは2008年に起こった餃子事件ですね。中国の冷凍餃子の工場で農薬を混入させたっていう事件があって、体調を崩す事例が日本全国で出たんです。生協の組合員さんの中では「コープ商品=安全安心」というのがすごく浸透している。いわて生協に限らず、生協全体の大きな問題になって、組合員さんからの信頼を失ってしまいました。
生協の場合、誰がいつ何を購入したかという履歴が残っているので、すぐに電話かけをして「まだ手元にあったらそれは食べないで廃棄してください」と伝えて、返金対応に応じました。それでも組合員さんがどんどん辞めちゃって、訪問したときに玄関先で1時間ぐらい面と向かって批判されることもありました。
実際にはこの事故が中国の工場での事件だったと分かって、一時期は辞めていた組合員さんが戻ってきてくれました。一人ひとりに電話をかけて、お詫びすることができたっていうのは大きかったかなって思います。信頼関係で築かれているのがやっぱり生協なのだなぁと感じましたね。 

――震災当時のマリンコープDORAの様子について教えてください
震災当初、安全性の面から店内には組合員さんを入れず、店頭に商品を出して販売していました。ほとんどのスーパーが閉まっている中だったので、相当感謝されましたね。生協がすぐに販売を開始できた理由としては、単純に組合員さんのことを思っているからかなと感じます。
本部から指示したわけではないんだけども、店長が自ら判断して動いて、地域の方々に不便させないように取り組んだ結果でした。
数日後には物資は無くなってしまったけど、内陸からの車両に商品を積んで優先的に沿岸に持ってきてもらったり、全国の生協からトラックで物資を運んでもらったりして助けてもらいました。このような全国的な繋がりは他のスーパーと比べ物にならないくらい強いですね。

――新型コロナウイルスによる事業への影響はありましたか?
コロナ感染者が全国で報告されはじめた当初、岩手県だけずっとゼロが続いていて、逆に岩手県民にとってみればプレッシャーでした。外に出ちゃ駄目と言われていたこともあり、宅配利用者もかなり増えましたね。
今はもうコロナ需要はなくて、配達を利用している方の年代は60歳以上が多いです。ただこれは岩手県が高齢化が進んでいるので当たり前のことなんです。一方で、若者が少ないかっていうとそんなこともなくて。今は若者の組合加入を増やすための取り組みとして、子育て支援の取り組みを行っています。例えば岩手に生まれた赤ちゃんをお持ちの方に、メモリアルボックスを無料でプレゼントして、そこから若い世代の方に生協のことについて知ってもらう。知ってもらう機会を作ることで、生協に興味を持ってもらって加入に結びつくケースも増えてきました。だから今後高齢化が進んでいくのだけども、若い世代の方の加入も増やしていくっていうのが、課題かなと思います。 

――畠山さんの今後の展望について教えてください!
いわて生協の人事制度の中に自己申告制度っていうのがあって、私は3年目ぐらいから人事部への配属を希望していたんです。他の会社での経験を通して、生協の中でいい点もあれば、まだ弱い点があるなということに気づいてきたのが理由でした。時間管理がルーズだったりとか、年功序列の関係性がまだ残っていたりとか。人事部をずっと希望していて10年経ってようやく人事部配属になれました。いわて生協に残る悪い点を、制度作りから変えていきたいという思いがあります。

――生協で働くことの魅力って何ですか?
やっぱり組合の組織なので、組合員さんに喜んでもらうことが仕事をしていて最大の魅力ですね。組合員さんの声を事業や活動として実現していくので、それが目に見えて実現されたってなれば感謝の気持ちが組合員さんから直に伝わってくるんです。

 ――今後、宮古での就職を考える学生が増えてほしいと思いますか?
今までは岩手県内の学生や岩手県出身の学生を対象にいわて生協に入社してもらうっていうのが主な考え方だったけど、それだけではなかなか採用が厳しくなってきていることもあり、スカウト型の採用を取り入れるようになりました。岩手に縁もゆかりもない方にもスカウトできる。今まで関わることのなかった学生がネット上で生協のことを見つけて初めて興味を持ってくれるっていうケースが、この1年で増えてきています。これからもっと増えていけばいいなという思いはありますね。

宮古センターを案内してもらいました
いわて生協宮古センターの様子

■取材を終えて
畠山さんはとても気さくな方で、すべての質問に明るく答えてくださいました。畠山さんのお話の中でも特に、宅配事業に携わっていた時の組合員さんとの直接的なやり取りのお話が印象的で、組合員さんとのやり取りの一つ一つの積み重ねがいわて生協に対する信頼に繋がっているのだなと感じました。どの現場に行っても、社員さんと楽しそうに話されている姿も印象的で、皆さんに愛されている理由が分かった気がします。 

取材、ご協力いただきありがとうございました! 

取材・記事執筆:本吉 あみ
取材日:9月12日


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