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アイデアとは如何なるものか ~◯◯的~

※2019.2.12のFB記事全文より #とは

彼の有名なレンブラントやバッハに匹敵する作品を生涯で創作できる者は、どれくらい存在するのであろうか。少なくとも、私には生涯で目指せる領域でない。

しかし、今やレンブラント的、バッハ的作品はAIによって容易くも創造され得る。

アイデアや創造性とは、現代においてどのような意味を持つのだろうか。

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ここ数十年の間、''アイデア''というと、例えば水野学の「アイデアの接着剤」にもあるように、組み合わせることで生まれるという見方が強かったように思う。
既存の他分野の欠片や、チームの中の個人の欠片の集合や組み合わせを起源とする、という発想である。
つまり、ブレインストーミングやKJ法、デザイン思考などの方法論で一般的に基本とされてきた考え方であろうと思う。

私自身、howto大好き人間でもあり、アイデア創出やそれにまつわる方法論の図書や情報を集め、特にM1のBE研究では大いに実践と反省を繰り返した思い出がある。

「バウハウスとはなにか」にて、デザインの歴史を省みながら、阿部は以下のような指摘をする。

◆『いまやアートは、自分が創造的に生み出すものではなくなり、考えるものになっている。アイデアさえあればよい、あとは技術がなんとかしてくれる。3Dプリンターやフォトショップなど、アイデアを具現化する最先端の技術が揃っているからだ。』(バウハウスとはなにか、本文より)

◆現代においては、『いかに他人と違うアイデアを持っているかが価値基準となる。』(同上)

事実、現在の、これまでの、コンサルティングやオープンイノベーション、クラウドソーシングの価値の基準はアイデアにあると言えるだろう。

その一方で、「OVER CROWDED(突破するデザイン)」(ベルガンティー)では、イノベーションに関して以下のような指摘をしている。

要約に要約を重ねると、つまりは、''これまでのイノベーション''(=問題解決のイノベーション=ユーザー中心のイノベーション)では、アイデアづくりを基盤とし、アイデアの数がよい解決をもたらしていた。そして、イノベーションは外から、つまりは、ユーザーや他者からやってくる、とされたきた。
しかしながら、現代において、『アイデアは十分にある。が、意味はあまりにも少ない。そしてビジネスでは、このまれなものの中に価値がある。』

従って、意味あるビジョンが1つあればよい。「Over Crowded」、つまり、アイデアに埋もれてしまうことで、モノゴトが曖昧になり、価値を破壊してしまうことこそが、問題であるというのである。

この指摘は、正しそうである。

◆『人工知能による創造性の問題は、「芸術は頭脳だけで表現できるか」という問題に他ならない。』(バウハウスとはなにか、本文より)

つまり、ある種の見方を持ってすると、今や、アイデアは人間の感性や創造性を越えて、頭脳だけで、あるいは人工知能にでも可能なものとも考えうる。まさに、アイデアのOver Crowded時代なのである。そして、ディープラーニングの重ねた人工知能は、一種、創造性を持ってしてアイデアを、人間よりも効率的に、そして大量に生産することとなる。

しりつぼみ感が拭えないが、、、
今回はアイデアとは如何なるものかを問うてみた。しかしながら、「アイデアそのもの自体に価値はないのではなかろうか」、というのが今の私の立場である。そして、アイデアの代替は「意味である」と考える。そして、「意味」とは何か、これが新たな、私が問うべき壮大なテーマとなっているのである。
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★レンブラントの「新作」
https://youtu.be/IuygOYZ1Ngo
https://japanese.engadget.com/2016/04/07/ai-3d-the-next-rembrandt/

★バッハの「作曲」、その他
https://data.wingarc.com/ai-and-music-composition-daichi-hayakawa-13046

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「眼があるから見えると言ってはいけない。眼があるにもかかわらず、人間は見えると言いなさい」(ベルクソン)

「私たちは見ているようで、見ていない。目を使っているが、視線は軽く、ものの表面しか見ていない。合図は見るが、その意味は見ていない。」「私たちが意図的に注意深く集中している時も、多くのことを見逃す。」(ホロウィッツ)

以上を今一度、省みたいと思う。
最後に、以下を今回の学びからの戒めとしたい。

「自分たちが望み、解釈できるものだけを解釈する」

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