2021.8.12 東京には何かがあるはず
女性 23歳 写真家
「この企画は、Twitterでフォローしている方から流れてきて知りました。
東京にきて丸2年で、明日地元に帰ります。上京して始めは広告のスタジオに就職したんですけど、2週間で辞めました。朝早くから夜中3時まで働き詰めで、スタジオもすごく殺伐とした空気で。心が死んでしまって、いつもだったら撮りたいと思う瞬間に心が動かなくなって、それはちょっと嫌だと思って辞めたんです。親には辞めたと言えなくて。そこからバーテンダーとかのお酒を出す仕事で食い繋いで。半年くらい経った時に親に初めて言えました。上京して、最初からこけてしまって。
昔からすごく東京に憧れがあったんです。何かあるはずと思っていて。私は写真の専門学校を出ているんですけど、周りの人は「広告の仕事をしたいなら東京」と全員が言うから。学生の時からファッションの写真をずっと撮っていたからそれもあって東京に来たけど、自分があまり向いていないと思うようになって。でも、面白いことは落ちている。人もいろんな人がたくさんいるし。自分がマイノリティだと思っていたことを割とすんなりと受け入れてくれる街だなと思ったのはよかったです。
それと同時に、1人の男の人を撮り始めてからおかしくなっちゃって。撮らないと好きになれないんじゃないかと思うようになったんです。好きだったと思うんですけど、撮っていたから好きだったのか、撮っていなくても好きだったのかは分からない。1人の人にフォーカスして生活に密着して撮るということが初めてだったので。1年くらい撮っていたのかな。堕落も堕落で、精神的にもおかしくなって。ずっとお腹が痛い、とか吐いちゃう、とか。ずっとお金がなかったし、仕事にも行くけどままならない感じ。その人と一緒にいるには時間が大事だとその時は思っていたんですよ。バイトや仕事の時間を削ってその人を撮って、みたいな。
ある時、私のことを好きだと言ってくれる人がいたんです。その時は愛されるのが怖いとずっと思っていたんですよね。東京がきっかけなのか、撮っていた人がきっかけでそうなったのかはちょっと分からないですけど。好かれた分を返せないと思っていて。今のコロナの時期って、人とのつながりが大事だなと。本当に仲がいい人だけ残っていく。そんな中、自分が愛されている実感はあまり分からなくて。自分のことをあまり好きじゃないというのもありますけど。愛情を受けた時に、またそこに戸惑っておかしくなっちゃって。毎晩、お酒を飲んだら記憶を飛ばして訳の分からないことを言って泣き喚いたりしていたらしくて。その人は今の恋人なんですけど、そんな人もいるんだなーと。
私は今まで、ずっと男運が悪いと言われていて。男性を1人フォーカスして撮ったのも、自分が男性に憧れとかコンプレックスがあるからのような気がしています。羨ましいんですよね。男の人になりたいとか、セクシャリティに対することではなくて、漠然と女であることが嫌、とか。女である自分にコンプレックスがそもそもある、という。
東京にいることで気づきは多かったけど、亡くしたものも多かったです。思い出したくないことが多いんですよね。なりふり構わなかった。今だったらできひんけど、東京に来てからは突飛なことができていて。写真の活動もそれ以外も。今やったら多分、2週間で仕事辞めへんしなと思うし。
結局思ったのは、今のこの時点では、愛って偉大です。人生、愛情かもと思いました。今の彼と出会って、愛されているみたいなのが人生で初めてで。大きな愛情を持っている人なんです。私が割とちゃらんぽらんだけど全部受け止めてくれて、目をつむるところはつむってくれて。受け入れられたのが初めてで、返したいなと思うようになりました。その人とは東京で出会ったので、総括すれば、東京にいれて良かったと思います。
東京にいた時の笑える話は、学生の時から付き合っていた、今は別れた元彼の話。その人がTwitterで援助交際をしていて、それが私にばれて、別れる時に夜中4時の六本木の交差点で土下座されたという話です。DMで「3万円でどうですか?」とやっていた。その時はもう彼との関係は末期だったんですけど、その元彼が24歳で、そんなことまでしないとできないんだこの人、と思った。援交って大体はおじさんがやるイメージだったので、そういうレベルの人なんだと思って。むかつくからいろんなところで言いふらしてるんですよ。」
この記事はBE AT TOKYOのプロジェクト、【BE AT TOKYO DIARY】で制作しました。
※感染症等の対策を十分行った上で取材しています。
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