プロジェクトマネージャー(PM)とは?仕事内容、年収、PLとの違いまで徹底解説!
エンジニアでキャリアアップする方法は2つあります。1つは開発現場で使える技術をとことん磨き上げてスペシャリストになること。そして、もう1つが今回紹介するプロジェクトマネージャー(PM)を目指すことです。
エンジニアを続けている方なら、名前は聞いたことがあるでしょう。
しかし、「名前は聞いたことがあるけど、やっていることはよくわからない」という方も多いのでは?
今回は仕事内容や収入、必要なスキルなどプロジェクトマネージャーに関するあらゆることを徹底解説します。また、よく混同されるプロジェクトリーダー(PL)との違いについてもお伝えします。
この記事を読み終える頃には、どうすればプロジェクトマネージャーになれるか、プロジェクトマネージャーになるために今できることが見えてくるはずです!
プロジェクトマネージャーの役割
まずプロジェクトマネージャーがプロジェクトにおいてどんな立ち位置にあるか説明しましょう。
プロジェクトマネージャーは簡単に言ってしまえばプロジェクトの管理者、責任者。プロジェクトが開始したらプロジェクトマネージャーが中心となり、スケジュールや予算、品質管理を担います。
プロジェクトマネージャーがプロジェクト運営においてどう振る舞うべきか、その指針とされているのがPMBOK(Project Management Body of Knowledge)です。
この本は1987年にアメリカで発売されたもので、プロジェクトマネジメントの手法を体系的にまとめたもの。プロジェクトマネージャーになるにあたって必要な知識として、先ほど挙げたスケジュール・品質・原価管理以外に、以下のマネジメントも必要だと定義しています。
コミュニケーション
リスク
タスクマネジメント
顧客や決裁者などステークホルダー管理
必要な製品の調達
人員
全体を見渡す統合管理
ただし人員管理については人事権をもっているわけではなく、あくまでプロジェクトを円滑に進めるための人員調整の役割が強いです。
これらの視点が絡まりあいつつ、プロジェクトを俯瞰し成功に導くのがプロジェクトマネージャーの役割。プロジェクトマネージャー自身が開発実務に携わることは少ないです。
プロジェクトマネージャーの仕事内容
では、実際の仕事としてどんなことをしているのか開発工程に分けながら説明します。
要件定義~設計
まずはプロジェクトの立ち上げ段階でもある上流工程で行うことです。
顧客の要望をまとめ、どんなシステムを開発すべきか内容を決定します。予算や納期は顧客から要望が上がっていることがほとんどなので、要望どおりに開発が進められるよう、スケジュールを組み人員を確保。プロジェクトチームを作ります。
プロジェクトチームができ、開発プロダクトの大枠ができあがったら指示書を作成します。内容次第では文書フォーマットから指定する場合も出てくるかもしれません。顧客と密なコミュニケーションをとりながら要件定義書・設計書を埋め、開発実務に移れるようにしていきます。
プロダクト構築~テスト
プロダクトの構築が始まったら、スケジュール通りに進んでいるか管理します。スケジュールを決めてもその通りに進むことのほうが稀です。もし何かしら変更が必要な事態が発生したら、ただ変えるだけでなく他方面への影響も考えなければいけません。
「その変更によって予算がオーバーする可能性がないか?」
「影響が出る場合はどう調整すればいいか?」
といった観点で物事を考え、判断する必要が出てきます。必要に応じて顧客との納期調整も発生するでしょう。
また開発中はメンバーが自分の作業に集中しがちで情報連携も疎かになることがあります。メンバーに任せた仕事が順調に進んでいるか、常に情報を集めて把握しておきます。エンジニア以外がプロジェクトにかかわる場合は、他部署との連携や仲介といった業務も発生します。
移行作業
開発が終わり、テスト運用も終わったら移行フェーズに移ります。
移行作業はシステム導入の肝。問題なくシステム移行ができるように移行前に徹底した調整をし、進み具合を注視します。移行中にトラブルが起きたら顧客にすぐ共有しつつ、メンバーにも指示を出して被害が広がらないように心がけましょう。
移行フェースが無事終了したとしても、「システム移行が終わったし、一息つこう」とはいきません。プロジェクトの総括と新たに得た知識を文章化し、今後に活かせるよう残す作業が発生します。
保守・運用
プロジェクトによっては、移行後の保守・運用も含めてプロジェクトを組閣する場合があります。開発〜移行と保守・運用ではプロジェクトマネージャーに求められる仕事が大きく変わります。
保守・運用はルールを守りながら日々の業務をこなすことが多いです。決められたルールを遵守させるためのプロセスづくりや、ルール違反が起きた際の再発防止策の策定もプロジェクトマネージャーの仕事。安定稼働を目指してメンバーマネジメントをします。
そして、保守・運用において避けられないのが障害対応です。この時プロジェクトマネージャーはメンバーへの指示出しと顧客対応の両方を行わなければいけません。顧客に対しては回復のめどや他システムへの影響を、メンバーには障害回復に向けて指示を出します。
大規模障害の場合はなかなか解決できず心が折れてしまうかもしれません。そこで諦めずに解決の糸口を探すのもプロジェクトマネージャーの役割です。
エンジニア、プロジェクトリーダー、プロダクトマネージャーとの違い
ここまでプロジェクトマネージャーの仕事について解説してきましたが、今やっている仕事との具体的な違いは何でしょうか?エンジニア、プロジェクトリーダー(PL)、プロダクトマネージャー(PdM)それぞれについて解説します。
エンジニアとの違い
エンジニアはプロジェクト現場での開発実務をします。エンジニアとプロジェクトマネージャーの大きな違いは開発実務で手を動かすかどうか。プロジェクトマネージャーはプロジェクト全体を見渡す存在で、プロジェクト規模にもよりますが実際に開発をすることは少ないです。
プロジェクトマネージャーとエンジニアでは要件定義などいわゆる上流工程にどのくらい関与するかにも差が出ています。PMが作業内容の方向性を決め、実際に手を動かすのはエンジニアという風にとらえれば問題ないでしょう。
プロジェクトリーダー(PL)との違い
プロジェクトリーダーとプロジェクトマネージャーの担う役割で最も大きな違いは開発現場でのリーダーシップの有無です。
プロジェクトマネージャーは組織をまとめるマネジメント力が問われる仕事で、開発現場に行くことはあっても現場管理を積極的に行う立場ではありません。
一方、プロジェクトリーダーは開発現場を取りまとめる存在です。開発メンバーへ指示を出し、必要に応じメンバーへの説得などリーダーシップを発揮する場面が多いです。行動力の高さが問われる仕事です。
「プロジェクトリーダーを経験してからプロジェクトマネージャーへ」と考えがちですが、本人の素質次第ではPLのままのほうが合う場合もあれば、PL経験なしにプロジェクトマネージャーになったほうが良い場合もあります。
プロダクトマネージャー(PdM)との違い
プロジェクトマネージャーと混同されがちな役職がプロダクトマネージャー(PdM)。プロダクトマネージャーは新しく開発するプロダクトを成功させるため、マーケティングの観点からプロダクトの企画を行います。
プロジェクトマネージャーもプロダクトの企画を行うこともありますが、あくまで主目的は開発プロジェクトを円滑に進めること。プロダクトマネージャーが立てた方針をもとに開発工程を共に考えることが多いです。
プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーの違いについて、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
プロジェクトマネージャーの平均年収
「マネジメント業務が発生するなら、給料は上がるはず!」そう思っている方も多いでしょう。実際のところはどうなのか、厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査をもとに年収額を見ていきましょう。
プロジェクトマネージャーの平均年収は約660万円。年齢別でみると、45歳〜49歳の平均年収額が最も高く、およそ760万円もらっています。一方でエンジニアの平均年収は約550万円。約100万円の開きがあります。
これはプロジェクトマネージャーの年齢層が影響しているといえるでしょう。エンジニアは勤務している年齢層の偏りが大きくないのが特徴。ボリュームゾーンである20代でも全体の10%に達していません。一方プロジェクトマネージャーの年齢層は40歳〜44歳が全体の16%を占めており、エンジニアより年齢に偏りがあります。
プロジェクトマネージャーはある程度の経験がないとできない仕事です。その経験と責任に応じて年収が高くなっているといえます。
プロジェクトマネージャーに必要な3つのスキル
では、プロジェクトマネージャーに必要なスキルについて3つの観点から説明していきます。
1.ソフトスキル
まずは性格や特性の部分、ソフトスキルの観点から3つ取り上げます。
1つ目はリーダーシップ力。プロジェクトメンバーに対して目標やプロジェクトの方向性を示し、プロジェクト完遂という目標達成に向けて導いていきます。マネジメントの観点とは異なり、メンバー一人ひとりに向けた指針を示すのが重要。PLほどは求められませんが、ある程度のリーダーシップは必要です。
2つ目はコミュニケーション力。PMは社内外多くの人と関わります。プロジェクトメンバーに限らず、顧客や決裁者などのステークホルダーとの円滑な情報共有や意見交換するためには欠かせないスキルです。
3つ目は問題解決力。プロジェクト進行において様々な課題が出てくるはずです。その問題点を洗い出し、論理的思考や分析力を用いて解決に導く力も欠かせません。
2.ハードスキル
続いて知識面、ハードスキルとして必要なものについてです。こちらは2つあります。
1つ目がマネジメントに関する知識と経験。先ほど紹介したリーダーシップとは異なり、マネジメントは組織としてまとめるためのスキルです。マネジメントの基礎基本からプロジェクトマネジメントの観点で必要な知識すべてを指します。そして、学んだ知識を実践したことがあるかも非常に重要です。
2つ目が計画・予算管理能力。プロジェクトマネージャー業務の肝といえるプロジェクト管理に必要なスキルです。目標設定、スケジュール作成、人員・予算管理などあらゆるものの管理をしなければいけません。
3.テクニカルスキル
最後に専門知識、テクニカルスキルです。ここで必要になるのは2つあります。
1つ目は業界知識。プロジェクトに関連する知識全般を指しています。業界のトレンドや規則、法律、業界用語も覚える必要があります。顧客とスムーズにやり取りするには欠かせません。
2つ目はテクノロジー知識。これはプロジェクト内で用いられる技術面の知識を指します。開発言語に限らず、フレームワークやデータベースに関する知識も求められます。
プロジェクトマネージャーに必要な資格
プロジェクトマネージャーになるために必ず資格が必要というわけではありません。しかし、持っておけば知識や実力を客観的に証明してくれるので、将来プロジェクトマネージャーを目指したい人は一度チャレンジしてみてもよいでしょう。
特に役立つ資格を情報処理推進機構(IPA)が実施しているものから3つ紹介します。
プロジェクトマネージャ試験
1つ目はプロジェクトマネージャ試験です。プロジェクト立ち上げから計画・実行・管理すべてに至る知識を問うもので、解答は基本的に記述・論述式。合格率が12〜15%という難関試験です。
この資格を持っておくと転職の際に高く評価されます。また大手メーカーでは資格取得が昇給の条件とされている場合もあります。
ITストラテジスト試験
2つ目はITストラテジスト試験です。こちらはIT技術を生かした製品・サービス創出のための知識を問う試験です。
プロジェクトマネージャ試験はプロジェクトマネージャー業務そのものを問う内容ですが、ITストラテジスト試験では経営戦略に応じたシステム構想・計画立案などに関する問題も出されます。プロジェクトマネージャーに限らずITコンサルタントを視野に入れている人におすすめです。
応用情報技術者試験
3つ目は応用情報技術者試験です。こちらはテクニカルスキルを極めるためにおすすめな試験です。
システム開発から運用にまつわる一通りのスキルだけでなく、経営に関する知識も問われるのが基礎情報技術者試験とは異なる部分。上記2つの試験より難易度は低いものの、転職市場では喜ばれる資格です。
プロジェクトマネージャーに向いている人
ここまでは仕事で身に着けられるスキルや知識に焦点を当ててきましたが、ここではプロジェクトマネージャーに向いている素質について説明しましょう。
物事を客観的に見られる
1つ目はプロジェクトを客観視できる力です。プロジェクト完遂には全体を見渡しながら管理する必要があります。仮に課題が発生してもその課題にだけ集中するのではなく、物事を俯瞰して見られる人は適性があります。
顧客目線を持っている
2つ目は顧客目線の有無です。プロダクトマネージャー(PdM)がプロジェクトに参画している場合はPdMが担う場合もあります。しかしプロジェクトの規模によってはプロジェクトマネージャーがプロダクト設計をする場合もあるでしょう。顧客と市場のニーズを的確にくみ取り、顧客が求めるシステムとは何かを考える力はあっても困りません。
人間関係構築が得意
3つ目は人間関係の構築が得意かどうかです。プロジェクトマネージャーはステークホルダーや開発メンバーなど、多くの人とかかわり、調整役として立ち回ることが多いです。そのため関わる人が納得できる道を探すための交渉力や調整力が重要です。
人間関係が良好だとトラブルが発生してもスムーズに解決でき、関わる人からの信頼も得やすくなります。こうした調整力はプロジェクトを円滑に進めるには欠かせません。
変化に柔軟に対応できる
4つ目は柔軟な対応ができるかどうかです。プロジェクトは当初決めたスケジュール通りに進むとは言い切れません。トラブルが発生した際に状況に応じた対策が作れる柔軟性が必須です。
ストレス耐性がある
5つ目はストレス耐性の有無です。関わる人間が多く、調整役として立ち回ることが多いプロジェクトマネージャー。この調整役としての振る舞いにストレスを感じる人は少なくありません。
様々な意見を聞き、調整することが苦痛に感じないかどうかが重要です。
プロジェクトマネージャーになるための道筋
では、プロジェクトマネージャーになるための一般的なキャリアパスを紹介します。
まず開発実務の経験がないことには話になりません。エンジニアもしくはプログラマーとして実務経験を積み、まずはPLを目指すことを目標にする方が多いです。
PLを経験することでリーダーシップやマネジメントスキルを身に着け、新規プロジェクト立ち上げの際にプロジェクトマネージャーになるというのが一般的です。
ただし、PL経験なしにプロジェクトマネージャーになる人もいますし、PLを経験してもプロジェクトマネージャーにならない人もいます。自分にプロジェクトマネージャーの適性があるかどうか、やってみる前にプロのアドバイスをもらってもよいかもしれません。
2024年夏オープン予定のインテントキャリアではプロジェクトマネージャーの求人を取り扱い、転職エージェントによる転職支援も実施予定。ご自身の適性を見極めてからプロジェクトマネージャーを目指すかどうかを決めてもよいでしょう。
プロジェクトマネージャーになった後のキャリアパス
最後にプロジェクトマネージャーになった後、どんなキャリアを目指せるかお伝えしましょう。
プロジェクトマネージャーになった後の選択肢は2つあります。
1つ目はスペシャリストとして開発現場に戻ることです。上流工程を経てから現場に戻り、プロジェクトマネージャー経験で得たことを活用してより良い開発環境を整えることが可能。「やっぱり手を動かしていたい」とプロジェクトマネージャーから現場に戻るエンジニアも少なくありません。
2つ目はさらなる高みを目指すことです。プロジェクトマネージャーを経験するとITコンサルタントとして活躍できます。ITコンサルタントとは、企業の経営課題をITの知見を活かして解決するいわばITと経営のプロ。プロジェクトマネージャー以上の収入を得ることも夢ではありません。
プロジェクトマネージャーに限らず、ITコンサルタントも今後求められる仕事です。どんな労働条件を出されることが多いかは、2024年夏リリース予定のインテントキャリアで掲載予定の求人をご覧ください。
さいごに
エンジニアとして現場にいれば耳にしたことがあるであろうプロジェクトマネージャー。「とりあえず偉い人」と認識している方も多いのではないでしょうか?
プロジェクトマネージャーは開発プロジェクトが滞りなく進むよう各種調整をする存在です。要件定義や設計書作成といった上流工程に始まり、開発メンバーの選定や予算・進捗を管理します。時には顧客や決裁者などステークホルダーとの交渉を担い、メンバーの能力が最大限発揮できるようにします。
開発現場で必要な知識に限らず、業界や顧客に関する知識やマネジメントスキルも必要不可欠。プロジェクトマネージャーで役立つ資格もありますが、必須ではありません。
エンジニア経験がある程度あればプロジェクトマネージャーを目指せる可能性は十分あります。プロジェクトマネージャーの仕事でどれくらい収入アップが狙えるか、自分の経験が活かせるのか実際の求人を見て検討してみてはいかがでしょうか?
インテントキャリア: https://intent-career.com/
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