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事業会社のIT部門(情シス)の組織と役割

 こんにちは、すけです。
 この度は本ページをご覧頂きまして誠にありがとうございます。
 今回は事業会社のIT部門がどんな組織体になっているか、また本当にざっくりではありますが、どのような役割を担っているのかというお話しです。私は現在3社目で、1社目が国際物流、2社目はメーカー、そして3社目である現在は飲食系の企業に在籍していますが、どこのIT部門も同じような組織体をしていましたので、どのようなチーム構成で業務を回しているかはわかります。タイトルにある情シスというのは情報システムの略で、だいたいの事業会社のIT部門はこう呼ばれることが多いです。従って、本ページでも情シスというワードでIT部門のことを表現することとします。普段事業会社に在籍していて情シスってぶっちゃけ何やってるんだろうと疑問や興味をお持ちの方、また現時点でそもそもキャリアの選択肢に入っていない方も是非ご参考にして頂ければと存じます。もちろん、事業会社に総合職で入社予定で、予想に反して情シス配属になる可能性がある方にも参考になれば幸いです。(まさに私がその目に遭いましたので 笑)

 早速ですが、広義で分けると以下の3チーム構成になっているケースが多いのではないかと思います。(部署内管理系は除きます)

A.ヘルプデスク
B.アプリケーション
C.インフラ
 
 感覚ですが人口比は圧倒的にBが多く、A : B : C = 1 : 6 : 3(1 : 7 : 2でもおかしくない)くらいの印象です。私はAとBは経験したことはありますがCはありませんので、Cはにわかになってしまうかもしれませんが、何卒ご容赦下さい。

1.ヘルプデスク

 これは問合せ窓口です。サービスデスクという言い方もあります。社内から「システムが動かないけど何が起こっているのか?」、「エラーが出て処理が進められない」、「将来的にこういうことがXXシステムでしたいんだけどどうすればいいか?」など社内からの問合せ全般の一次窓口の機能を果たしています。予めFAQ(よく来る問い合わせ集)を用意し、簡単な応対ですむケースであればヘルプデスクで完結する場合もありますが、受付のみ行い別にいる主担当に繋ぐだけという場合もあります。
 ちなみにですが、進んでいる事業会社はこの辺りをチャットボットやAIで代替しています。ただ、多くの事業会社は全て人で賄っていることでしょう。複雑な話になるとまだまだ人のケアが必要ですからね。人が雨あられのように来る電話に出て、さらっと回答して電話を切るか、誰かに繋ぐかをひたすら繰り返すのです。メールも似たようなものなので、総じてそこまで業務の難度が高くないゆえ、電話応対やメールのトレーニング、社内や情シスの人を覚える、扱っているアプリケーションを把握するといった目的で新入社員や異動してきた新人が最初に配属される傾向があります。
 とは言ってもヘルプデスクは無くすに越したことないよね?と思われた人も多いでしょう。私もそう思います。問合せ自体コストでしかないので、する人もそれを受ける人間やAIも無くせるなら無くした方が良い決まっていますが、なかなかゼロにはできません。先述の通り、教育目的で一時的に自社の社員をヘルプデスクに置くことはあるものの、だいたいは外注しているはずです。逆にここを外注していない場合はさすがに遅れていると言わざるを得ないでしょうね。
 繰り返しになりますが、業界や職種に関わらず問合せはそれ自体がコストです。従ってヘルプデスクのやるべきことは、ただ寄せられた問合せを捌くだけでなく、問合せを減らすために何ができるかを考えてアクションを起こすことです。そのためには記録を録り、どこからどのような問合せが多いか等のデータ分析を行い、出した結論とそれに付随するアクションを全うすることがやりがいを見出せる部分ではないかと思います。ただ電話を取る、メールを返すだけではさすがにしんどいでしょうしね。

2.アプリケーション

 事業会社では営業や事務等の営業部門はもちろん、経理や人事等の管理部門もシステムすなわちアプリケーションを使用して、関係箇所に指示を出したり、帳票を出力したり、データを管理したりして業務を回しています。誤解を生まないように先に言っておきますと、ここでいうアプリケーションとは自社で全て開発、もしくは外部のIT系企業に全てまたは一部を発注をして開発したアプリケーションのことです。箇所によってはExcel等のOfficeツールや、別のIT系企業が開発したソフトを購入して利用している場合もよくありますが、世に出回るの社外のツールに関しては情シスでは基本サポート対象外です。前置きが長くなりましたが、このアプリケーションのチームは、さらに運用と開発の2チームにだいたい分かれます。


●運用
・ヘルプデスクで対応できない、または回ってきた問合せや依頼に対応する
・検知できるエラーや不具合に対し事前にアクションを取る
・システム障害が発生した場合に率先してリカバリーを行う
・数ヶ月に一度、定期メンテナンスを行う

●開発
・社内のユーザの要望に基づき新アプリケーションについて要件を決める(要件定義)
・IT系企業またはエンジニアに設計書の作成、その内容に基づき開発を依頼する
・開発してもらった新アプリケーションが正しく動作するか確認する
(テスト)
・実際に利用するユーザに教育を行う(トレーニング)
・テストが完了した新アプリケーションをユーザに開放し、サポートを行う(リリース、サポート)

 だいぶざっくりになりますが、ほぼ文字通りですね。運用は既存サービスの維持、開発は新規サービスの導入に努めます。運用は業務を止めないように何かあったらすぐに対応できるよう見守ること、開発は新たなアプリケーションの導入や既存のアプリケーションに機能を追加したりすることが主な職務です。全部盛り込むとかなり長くなるので、各々の詳細はまた別途企画して綴りたいと思います。
 ヘルプデスクはまだ社内のユーザ側に近い立場なのでそこまで難しい用語は出てきませんが、このチームになると技術的な用語がそれなりに飛び交うことになります。運用では何やら難しそうなエラーを見たりすると、開発元のIT系企業の担当やエンジニアに深い調査を依頼するケースもあります。この担当やエンジニアからの調査結果が当然ながら専門用語満載になるので、解釈するのに技術的な用語を理解できるようにしとかなければいけなかったりするのです。
 開発はもっと技術色が強くなります。都度イベント発生時の運用よりも、IT系企業の担当やエンジニアとのコミュニケーションが求められる頻度が多いので、知見がないと話についていけなくなることもあります。ただ、ここは勉強しながらついていけるようになれば大丈夫です。
 あと参考までにですが、開発と聞くとコーディング(プログラミング)は自らしないのかと思われる方もいるかもしれませんが、それは恐らくほぼないと言っていいでしょう
 何故なら事業会社の情シス社員の最優先事項は事業そのものを盛り立てていくことです。最終的にコーディングはあくまでそのための手段の一つでしかありません。それに習得や教育に時間のかかるコーディングは外注してしまうケースが多いです。もし仮に事業会社でも、IT専門の技術系職種の採用があるのであれば、コーディングもできるかもしれませんが、そのようなケースは聞いたことがありません。従って、バリバリとコードを書きたいのであれば、純粋にフロントエンドなりバックエンドのようなエンジニア採用のある企業やその道のフリーランスに進むことをお勧めしますが、そういう外部のエンジニアのような方々をコントロールして、事業の発展に寄与したいという方であれば、やりがいを感じることができるでしょう。そういう意味ではプログラミングのスキルはあっても全く損にはなりません。

3.インフラ

 まずここは私自身所属したことがないので、完全に聞いた話ベースになってしまうことをどうかお許し下さい。私達の生活でいうインフラというのは、電気・水道・ガス・交通のような生活基盤を指しますが、ここでいうインフラは主に次の項目のことを指し、このチームではその運用及び台帳管理を担っています。

・パソコン、プリンター、電話、その他オフィス機器
・ネットワーク
・サーバ関連(アプリケーション、データベース、メール等)

※物によっては総務の管轄になることもあるかもしれません。

 多くの事業会社はその事業を効率的に展開すべくアプリケーションを駆使しますが、このチームはそもそもアプリケーションを動かす為に必要な物(サーバ関連やネットワーク)、その他業務上なくては困るであろう機器(パソコンやプリンター)を見ているということになります。
 想像つく方も多いかと存じますが、ネットワークやサーバ関連は障害が発生すると全面的に業務が止まる可能性が上がるので、とにかく影響が大きいんですよね。本当に私生活で言う電気・水道・ガスが止まるくらいのショックが起こり得ます。ただ社内のユーザは普段このインフラに関して、アプリケーション程関心がない(動いて当たり前と思っているし、そもそも興味がない)、さらには内容がかなり技術的と言うこともあり、このチームはほとんどビジネスサイドと絡む機会がありません。アプリケーションのコーディングの部分と同様に、外注するケースがほとんどかと思われます。ただし、これらの管理対象もその会社の資産にあたるので最終的な管理責任はその事業会社にあり、数人の社員は主にマネージャー的なポジションでアサインされるケースが多いように見受けられます。従って新入社員や異動で来た新人がこのチームに配属になることはほぼ無いと言って差し支えありません。
 このチームは直接事業に絡むことはあまり無い為、帰属意識は薄れるかもしれません。しかし、管理対象が事業に対し裏で相当なインパクトを持っているので何気に裁量が大きい、実務でサーバ関連やネットワークなどの他の環境でも活かせる知識やノウハウが得られる等のポジティブな要素もあります。


 ここまでお読み頂きありがとうございました。最後に経験則から情シスという組織と役割に関して、一番言いたかったことを以下に纏めて、本ページの結びとさせて頂きます。参考になれば幸いです。

・事業会社におけるITは、利益を効率的にそして安定的に得やすくする為の手段の一つに過ぎない。
・その手段に溺れることなく、展開している事業を深く理解し、業務の最適化を図ることが情シスの職務。
・情シスにとっての顧客は社内のユーザ全員が対象。外部の顧客と直接的に関わる機会は少ないかもしれないが、社内のユーザの先には外部の顧客がいることを忘れてはならない。

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