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家事とおせちと

こんばんは。ワールドカップ等は結果を知るだけでいい派のサキです。
親愛なるけいこさんが「家事」について書かれていた。それについて私が考えたことと、おせちについて聞いていただいたので、こちらで回答させていただきます。

家政とは、家のまつりごと。確かに。政となると然るべき手順、一連の作法(例えば畳は繊維に向かって掃除機をかける)など、学問として学ぶというのは意味がある気がする。基本を抑えておくことは何事も大事だと思う。
それに対して「家事」とはまさに「家のこと」。家政を学んだからといって、家事ができるとは限らない。そして、家事にプラスアルファで例えば「愛」とか、「何か」が加わったものこそ家事であると。けいこさんの下記の解釈にすごく共感した。

家事をすること、生活を組み立てる基礎の営みの中で、自分の中で構築される何かがあり、満たされることもある。

例えば、家族が心地よく、毎日を過ごす姿から、人の基盤が家事にあると感じる時。
大変だと思っていた家事がいつの間にか負担でなく出来るようになっていることに気がついた時。
これは、家事を繰り返すことでだけ、感じられることがある気がしている。
他にも生み出されるものは、工夫であったり、発見であったりするかもしれない。
日々の営みを繰り返すなかで、自分自身がいつのまにか変化したり、成長していることを感じるのが〈家事〉である気がしている。

けいこさんnoteより

美しい解釈。流れるように読みました。
勝手に付け加えさせていただくのなら、私は「家事とは」その家に住まう「小人」を育てることなんじゃないかと思う。その「小人」は埃よりも小さく、小人というよりもはや微生物みたいなものかもしれない。大家族でも一人暮らしでも、そこに住む人の生活を日々感じられるところに、この小人達がいる気がしている。お酒を初めとした発酵食品をこよなく愛する私は、その蔵に住まう不思議な菌達によって、その蔵にしか生まれない固有の味わいをもたらすことを、理解しているつもりだから。

小人達は日々繰り返される生活音、例えば掃除機の音だったり、炊飯器やガスの音、洗い物の時の水の音、そういった音色を楽しみにしていて、その家にしかない独特の匂いを生み出すお手伝いをしてるのではないだろうか。
一人暮らしで、平日は夜遅く、土日にしか掃除洗濯できない、という場合でもその一定のリズムの音を小人達はちゃんと愛でていて、家人の健康を祈ってくれてるんじゃないかと思う。
家事とは日々繰り返されるものであり、無報酬であり、多くの人にとって楽しいものではない。嫌じゃなかったとしても、とりわけ楽しいものではない、という認識。ちなみに私は料理は負担じゃないけれど、掃除機をかける、洗濯をするといった家事全般は、好きじゃない。更に私の場合は「家族のために」と思うと、調子が悪くなると、「見返りがないのに、なんでこんなことをしなければいけないのか!!!」と攻撃に転じる気がするので、あまり「家族のために」という意識は持たないようにしてる。料理も私がその日食べたいもの・食べさせたいもので基本構成されている。

ルーティーンの一つと思いつつも、私自身の日々の、小さな、とっても小さな達成感が、きっと小人達を喜ばせるのではないかな。そして、やりたくない時は最低限だけして、家事を放棄する。そういったところを何も旦那に言われないことだけは、良かったと思う。我が家の小人はきっと食いしん坊で、割といい加減でいいやつだと思う。

コメント欄でけいこさんにおせちを褒めていただいて、「おせちは家事の集大成ですね」と言っていただいた。だが、日々の営みが「家事」と認識している私はおせちを家事だと思ってないと、気がついた。うちの家族はみんな私の作るおせちがすごく好きで、娘も小さい頃からくわいもお煮しめもなますもよく食べる。王道のメニューは一応押さえつつも、ローストビーフだったりチャーシューだったり、基本的に家族が好きなメニューで好きな味付けなので、当然といえば当然。いつも30日ぐらいから、黒豆やなますを作り始める。31日の朝は大量の出汁を取るところから始まり、午後もほとんどずっとキッチンに籠り、ワインを飲みながら、どんどん作っていく。夕方ぐらいから、クラッカーに乗せた生ハムとか適当につまめるものを娘と旦那に出し、ようやく旦那と飲む用にスパークリングを開ける。(当然この時点で私だけ酔ってる)。
そう考えたら、おせち作りはこの家の小人達との小さな宴会なのかもしれない。今年も無事におせちを作れた、乾杯!ってね。

【お問合せいただいたおせちについて】

2022 おせち


・黒豆(手前左)は黒豆1カップに果汁100%のグレープジュース(4カップぐらい。豆がちゃんと隠れるぐらいでキープする)とレーズンとプルーンで煮たものです。クックパッドで検索しました。真っ黒にはならないけど、フルーティーで娘の大好物。レーズンが黒豆ぐらいの大きさに膨れます。ただ好みがあるかもしれません。砂糖使わないので、煮汁も寒天で固めてゼリーとして食べるのが我が家流。
・だし巻きの手前の花形に切ったやつは甘酒で煮たさつまいもです。我が家の中では栗きんとんです。甘酒だけでこちらも砂糖は使いません。
・奥の市松模様のやつは、のし鶏。にんじんや蓮根の飾り切りで出た破片と鶏肉をフードプロセッサーにかけて、和風の味付けを少々して片栗粉で固めて焼く、和風ミートローフ的なやつです。美味しくてかつエコです。
・お雑煮は我が家はすまし派です。雑煮の汁は出汁をちゃんととって、鶏肉の脂で我が家では大人気ですが、お雑煮の餅は旦那も娘もあまり食べないので、雑煮は元旦の朝のみです。
・伊達巻は甘すぎて、みんな好きじゃないので、朝から私が出汁巻き卵を焼きます。普段よりしっかり漉して、ちょっぴり丁寧に焼くだけです。
・蓮根と蕪はビーツの汁に染めてます。藤野さんに教えてもらった、薔薇のように盛り付けるのは不器用な私は難しく、これが限界でした。今年はビーツがないから、困ったな。

黒豆しか聞かれてないのに、嬉々として色々と説明してしまった。。みなさんのおせちはどんな感じですか?出来合いのものでも、大丈夫。その家の小人達とのパーティーですから、家人が楽しそうに食べていたら、それでいいのですよ。

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