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#創作
『いつものやつで』 # たいらとショートショート
「先にお飲み物お伺いしましょうか」
そんな感じじゃないんだよなあ。
そんな店でもないし。
いつもなら、
「ビールでいいでしょ」とさっさと持ってきてくれるのに。
そして、こっちは、
「あと、いつものやつで」
となるのに。
なのに、こっちまでかしこばっちゃって、
「え、ああ、ビールでお願いします」
だなんて。
どうして、こうなったんだろうなあ。
そもそもは、僕の転勤の話からだ。
昨日、急に辞令が出た
【SS】会いたいから #たいらとショートショート
「先にお飲み物お伺いしましょうか?」
「いや、まだ連れが来てないんで、もうちょっと待ってもいいですか」
「もちろんです。ではまた後ほどお伺いに来ます」
路地裏にある見落としそうな古い喫茶店。四席のカウンターと四席の四人がけの席がある小さな喫茶店だが、四人がけの席は全て一人で来ている客で埋まっている。カウンターに座っている客はいない。なんとかなく活気を感じられない喫茶店で BGMも流れていない。
通り雨【たいらとショートショート】
「先にお飲み物お伺いしましょうか?」
と店員に声をかけられた瞬間、目を見開いた。
この声…。
ハッとして目を伏せると、メニューも見ずにカフェラテ、と言った。聞こえるかどうかわからないくらい小さな声だったにも関わらず、彼女はニコリと注文を繰り返し店の奥に消えた。
雨粒が無数に降り注ぐ窓の向こう側では、せわしなく人々が行き交い通り過ぎていく。ランチをとっくに過ぎた時間、客はまばら。店内は雨音ひ
【ショートショート】サイゼリヤ〇〇店#たいらとショートショート
「先にお飲み物お伺いしましょうか?」
つるりとした銀色の頭がこちらを振り返り、通訳してくれる。
僕は確か、駅からの帰り道をとぼとぼと歩いていたはずだ。それが突然、空から強い光に照らされ、次に目を開けた時には宇宙人らしき生物に歓待されていた。いや、歓待というか、レストランなのか?
こちらを見ている生物は、触角らしきものをウネウネと動かしながらも僕から目を離さない。
どうしよう。何か頼