[導入事例:学校法人三幸学園 飛鳥未来高等学校・飛鳥未来きずな高等学校] 通信制高校ならではのオンライン活用で、枠を超えた交流を生み、生徒の可能性を広げる
今回は、学校法人三幸学園 飛鳥未来高等学校・飛鳥未来きずな高等学校でのInspire High活用事例をご紹介します。同校は、生徒が自分にあった通学スタイルを選ぶことができ、全国各地にキャンパスがある通信制・単位制の高校です。2023年度はネットスタイルという通学コースで、HRや課外活動にてInspire Highを活用いただきました。
通信制高校ならではのInspire Highの活用方法や気付きを、三幸学園高校教育推進室の藤森さま、飛鳥未来高等学校横浜関内キャンパス(2023年度当時)の長谷川先生、飛鳥未来きずな高等学校高崎キャンパスの藤倉先生と岩崎先生にお聞きしました。
1. 三幸学園「飛鳥未来高等学校・飛鳥未来きずな高等学校」のネットスタイルについて
ーーまずは、飛鳥未来高等学校・飛鳥未来きずな高等学校のネットスタイルについて教えてください。
長谷川先生:ネットスタイルは、自宅学習と対面学習の両者の良さを取り入れた「ハイブリッド型」の通学スタイルです。自宅で学習しながら、通学時に限らずオンラインの場でも人との関わりを大事にしています。
岩崎先生:例えば北海道から沖縄まで、日本各地の離れた場所で暮らす生徒が、オンラインで簡単に意見交換できるなど、対面とオンラインのハイブリッドだからこそ、生徒に届けられる価値があると思っています。
地域が違うことによって考え方が異なることもありますし、「そういう地域もあるんだ」、「そういう考えを持つ生徒がいるんだ」という気づきを得られる機会が、他の通学スタイルに比べ、ネットスタイルの方が多くなるはずです。対面では実現できないことも、オンラインだからこそ手軽に実現できる点は魅力だと考えています。
2. Inspire High導入の背景・授業での活用方法
ーーそんなネットスタイルで、Inspire Highを導入した背景を教えてください。
藤森さん:大きく3つの狙いから導入しました。1つ目は、オンラインを中心とした学習環境を活かし、所属キャンパスの枠を超えた生徒同士の交流を生むこと。2つ目は、Inspire Highを通して多様な価値観に触れることで、自分の生き方に自信を持ち、一人ひとりの可能性を広げること。3つ目は、自己表現が得意でない生徒が、Inspire Highのアウトプットを通して自身の考えを言葉にし、伝えることに慣れてほしいという点です。
これらの様々な観点が、生徒の自己肯定感の向上につながるのではないかと考え、導入に至りました。
ーー実際に授業ではどのような活用をしていますか?
藤森さん:全国のネットスタイルの生徒が参加するオンラインHRと、年間15回のオンライン課外活動で活用しました。HRでは、「個性ってなんだろう?」「幸せってなんだろう?」といった抽象度の高いテーマを設定し、複数セッションのショート動画で幅広い考えに触れると同時に、「自分の個性の原点を探る」「自分・他者・社会にとっての幸せを考える」など、自己を深く見つめるようなワークを実施しました。
一方課外活動は、セッションの視聴とそれに関連したワークを行う、2コマ連続の100分構成で実施しました。例えば、働く様々な大人のセッションを見た後に、自分の大切な価値観を見つけるワークを実施したり、起業家のセッションの後に、「自分のMission・Vision・Value」を考えたり等、ひとつのテーマについて、より多角的に、じっくりと向き合えるような設計にしました。
任意参加のため、気軽に参加し、安心して自身の考えを表現できるような空間作りを重視しながら、参加者同士の協働的なワークを実施しました。全国のキャンパスにいる教員が、交代でファシリテーションを担当するのも特徴です。
3. 授業で活用してみた感想・気づき
ーー実際にInspire Highを授業で活用してみて、どのように感じましたか?
長谷川先生:実際にInspire Highを通して、生徒のアウトプットが非常に創造的だったことに驚きました。生徒たちはきっとこれを機に、自分の言葉で発信することの大切さに気づいてくれたのではないかと思います。そして私自身も生徒から刺激をもらったので、お互いに成長し合える時間になったと感じています。
藤倉先生:授業をどのように作っていくかによって、生徒の反応は大きく変わります。私が担当したクラスでも、想像以上に沢山の意見が出ました。「こんなに沢山アイデアが出て、自分の考えを表現することができるんだ」という生徒の新たな面を知ることができ、非常に興味深かったです。
ーー特に印象に残っている生徒の反応はありますか?
藤倉先生:「幸せ」について考える授業を実施した際に、生徒がアウトプットする「幸せの形」が、こちらが想定していた以上に多種多様で、一人ひとりが自分らしく表現していたことに驚きました。
また、数名の発表が終わった後、発表が苦手な生徒が「発表できなかったことが悔しかった」と教えてくれたんですが、「悔しい」という感情を持ってくれたことがとても嬉しかったですね。次の発表の機会では、その生徒も発表に挑戦でき、成長を実感しました。
全国の同世代の様々な意見を聞き、「正解はない」「自分の意見も受け入れてもらえる」と感じられたことで、「勇気を出して発表したい」という気持ちになれたのかと思います。
岩崎先生:Inspire Highを通して、生徒が自分の考えを整理し、最終的には「社会」まで視点を広げて考える姿を見ることができて、非常に嬉しかったです。また発表した生徒に対し、「あの子すごいな」だけで終わらず、「私もあの子みたいに発表したい」という、ポジティブな感情に結びついていることが、印象に残っています。
ーーInspire Highのどんな部分に価値を感じていただけているか、ぜひ教えてください。
岩崎先生:Inspire Highは新しい風を吹かせてくれる存在です。自分たちだけでは到底考えられなかったようなことを、外から取り入れられるのは、私たち教員にとっても、生徒にとっても、非常に良いことだと思っています。
今まで出来なかった新しい経験を増やしていけることが、Inspire Highの価値だと感じます。
長谷川先生:ファシリテーターを通して生徒の変化にも気づけましたし、新しい発見や気づきを通して教員自身の成長にも繋がっていく、そんな一石二鳥の経験ができました。
4. 今後の展望・目指す未来
ーー最後に、今後の展望や目指す未来について教えてください。
岩崎先生:生徒と一緒に、教員も成長していくことが重要だと思います。Inspire Highを通して加速した生徒の成長に、教員もしっかり付いていって、生徒の可能性を潰さないようにしなければと考えています。
教員が、生徒と一緒に走って、背中を押してあげられるような存在になることが、生徒の成長に必要不可欠だと感じました。
藤倉先生:Inspire Highを使った授業では、教員が引っ張るよりも、生徒が自由に取り組んだ結果が大切だと感じます。こちらが想定するゴールではなく、生徒がのびのびと自由に学べるように、教員側もリミットを設けないことを意識したいと思っています。
また、生徒にはやってみないとわからないことに挑戦し、沢山のことを体験して欲しいです。例えばInspire Highを通して考えたような「幸せってなんだろう」という問いは、大人でも改めて言葉にするのは難しいテーマです。そういった問いを学校で改めて考える機会をつくることは大事にしたいですね。
長谷川先生:生徒がデジタルリテラシーと情報分析力を用いて、自分で考え抜く力や自己管理能力を身に付け、社会で活躍できる人材へと成長していくためにも、学校が時代の流れとともに変化し、新しいことをタイムリーに取り入れていくことが重要です。
Inspire Highのセッションを通して生徒から気づかされることが沢山あったように、生徒と教員がお互いに向上しあえる関係を作っていきたいです。
5. 生徒の声・変化
高校1年生 Kさん
Inspire Highはガイドの話を聞くだけでなく、アウトプットを通して自分の気持ちを表現したり、他の人のアウトプットを見たりすることが楽しいです。自分のアウトプットに対し、共感やポジティブなフィードバックが来ると嬉しいので、私もそういった言葉を送るようにしています。
また、自分の考えを書くことを繰り返しているうちに、自然と表現が広がったような気がします。最初は思っていることを言葉にするのが難しかったのですが、だんだん出来るようになってきました。自分の考えを表現することに対して抵抗が少なくなったと感じています。
高校3年生 Mさん
Inspire Highに参加すると、自分にはない考え方や感性に触れることができるので毎回良い刺激をもらえています。
最初のうちは、自分と違った考えを持つ人になんとなく苦手意識を感じていましたが、毎回色々な考え方に触れるうちに、「色々な考え方があっていい」、「それぞれの考え方に正解/不正解も、良い/悪いもない」と考えられるようになりました。自分の思考の幅が広がっているのを実感できて嬉しいです。
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オンラインで生徒をつなぎInspire Highを活用することで、所属キャンパスの枠を超えた生徒同士の交流を実現している、飛鳥未来高等学校・飛鳥未来きずな高等学校のネットスタイル。通信制高校ならではの工夫で、生徒の視野を広げ、自己理解/表現力を育む授業を実践しています。Inspire Highの活用事例として、ぜひ参考にしてください。