AIに“服のおしゃれ”とは何か聞いてみた。
ファッションにおける“おしゃれ”は様々文脈で語られることが多く、一義的に定義することが難しい。
ファッションには“トレンド”があるため当然といえば当然だが「おしゃれ=〇〇」と簡単な形で表現できれば、楽におしゃれができるのに…と何度思ったことか。
そこで筆者は、21世紀の人類が生み出した“文明の力”を用いることにした。
そう、それこそが“生成AI”である。
昨年話題となった生成AI「Chat GPT(チャットGPT)」。人間が入力した質問に対し、インターネット上の膨大な情報をもとに回答を出すことで、自然な会話が成立する仕組みだ。
この記事では、Chat GPT(チャットGPT)を用いることで、AIが考える「ファッションの“おしゃれ”とは何か?」に迫っていきたい。
そこには人智を超えた“おしゃれの正解”が眠っているかもしれない。
「おしゃれとは何か?」 -AIによる回答-
筆者はChat GPTに対し、
「What is fashionable in fashion?(ファッション文脈におけるおしゃれとは何ですか?)」と質問。
回答については執筆時点(2024年3月30日)に出力されたものであり、日進月歩で更新されている可能性は十分にある。
以下では、Chat GPTによる回答をそのまま掲載している。
【翻訳文】
ファッショントレンドは、季節、地域、文化的影響によって大きく異なります。しかし、持続可能なファッション、オーバーサイズのシルエット、ヴィンテージ風のアイテム、大胆なプリントなど、時代を超えたトレンドは、依然として人気を保っています。さらに、ファッション業界では、包括性、多様性、ボディポジティブがますます重視されるようになっています。
(Google 翻訳による)
-人間によってAIの回答の意図を読み取る-
この回答を見た第一印象は「上手に誤魔化された」という感じ。
さすがは、Chat GPT。下手な返しはしてこない。
まず注目したいのは第1文目。
これがまさに“おしゃれ”の定義づけを難しくしている原因たるもの。
「ファッショントレンド=流行が一定不変ではなく、時代や土地・文化的側面に影響され、絶えず移り変わっているものだ。」という前置きだろう。
「vary greatly depending on」という表現からも「〜によってかなり差がある」ことが強調されているように思える。
ファッションを考える上で、重要な視点を捉えているように思える。
続く2文目。
「しかし」から始まる2文目では、「ファッショントレンドは変化するものである」とした1文目に対し、そんな中でも近年トレンドとなっている、あるいはトレンドを超えて、もはや定番となりつつあるファッショントレンドについて言及している。
改めて記載すると、
①持続可能なファッション ②オーバーサイズのシルエット
③ヴィンテージ風のアイテム ④大胆なプリント
の4つのキーワードだ。
説明不要のものばかりだが、順にかいつまんで言及する。
①持続可能なファッションは、アパレルの中で「エコ」「ロハス」「サスティナブル」などのワードとともに昨今、特に注目されているといえよう。
アパレル産業が環境破壊を進める産業の一つであると位置付けられていることから、業界の内部からも持続可能なファッションを実現するために様々な働きかけがなされている。
古着が再び注目を集めるようになったきっかけの一つといえる。
これは単なるトレンドワードとして消費されないことを願う。
②オーバーサイズのシルエットは、読者の皆さんも買い物の場面で気づいている方が多いのではないだろうか。
ネットショッピングの普及による洋服の買い方の変化、SNSの普及による着こなしの変化がオーバーサイズを定着させた要因と指摘されることが多い。
③ヴィンテージ風のアイテムは、古着ブームによるところが多いと考える。今や、ファストファッションのブランドからも古着風の洋服がリリースされる時代。
ヴィンテージのアイテムは、どの時代にも愛されるものであり、AIが“時代を超えたトレンド”として指摘するにたるものだろう。
④大胆なプリントは、ストリートの文脈では定番であり、特に数年前まではラグジュアリーストリートが一大トレンドだったため大胆なプリントが施されたアイテムが広く受け入れられることになった。
と、①〜④の要素をほんの少し摘んだに過ぎないが、どれもたしかに「時代を超えたトレンド」であり、盛り上がりに差はあるものの「依然として人気を保っている」と言って差し支えない。
では、最後の文章。
「さらに」という強調的な言葉から始まる3文目では、現在ファッション業界のみならず社会全体で重要視されるようになった3つのキーワードについて触れられている。
ここでAIは「包括性、多様性、ボディポジティブ」とあえて3つの言葉で紹介しているが、どれも隣接する概念といえる。
ファッション的に捉えれば「あらゆる境界線(垣根)が薄れている」現状を指摘しているように思える。
「男性だからこの格好をするべき」「女性らしい服装とは」
「体型にあったサイズ」「違うジャンルのアイテムは合わない」など…
これまでどこかタブーとされるような雰囲気が漂っていた着こなしが、むしろ“おしゃれである”と評価される時代になった。
この傾向もAIの言うように“ますます重視されるようになっていく”だろう。
AIの回答からわかったこと。 -おしゃれとは-
ここまでAIの回答を文章ごとに解釈してきたが、筆者が期待したような「おしゃれ=〇〇」と簡単な形式で表現するには至らなかった。
しかし、それがまさにファッションにおける“おしゃれ”の本質なのだろう。
おしゃれとは「相対的な評価にすぎず、季節(時代)、地域、文化的影響などの諸要因によって、絶えず変化するもの」なのだ。
ただ、実は筆者が昨年2023年7月にChat GPTに対し、全く同じ質問をした際には“おしゃれ”に対するとある具体的な回答を行なっていた。
その回答は極めて長く、複雑なものだったため、また別の機会に追って紹介することにしたい。
気になる方は、ぜひフォローしてお待ちください。
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