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大学生マネジメントメンバーから見た、探究を成功させる組織運営の秘訣。探究学習プログラムの個と組織を育てるマネージングディレクターの裏側。

2022年度より高校の授業で必須科目となった「総合的な探究の時間」
これまでの学校教育のスタイルとは異なる、知識ではなく「考える力」を養う教育に変わりゆく中、一般社団法人BEAUは、「好奇心を今、追求しよう!」をテーマに掲げ、地域に密着した探究学習のオンラインプログラムを企画運営してきました。

果たして、探究学習において大切なことは何なのでしょうか。
知識でしょうか?それともコミュニケーション能力でしょうか?

変化の激しい社会において、自ら問いを立て、自分なりの答えを自ら見つけていく力が求められています。そこには主体性・興味・関心が欠かせません。しかし、教員自身も探究学習が初めてだったり、どのように授業を進めていいのか悩まれるのではないでしょうか。


BEAU LABOでは探究学習において必要な役割を、大学生パートナーが中心となって、担っております。そこで、今回はBEAU LABOに携わる大学生パートナーの中でも、探究学習プログラムの組織マネジメントに携わる大学生の皆さんに、探究学習において必要なことについて、体験を元に話していただきました。

MD=マネージングディレクター

◾️BEAU LABOの仕組み

BEAU LABOは、大きく3つの役割で組織されています。

事務局:事業企画、高校生募集の広報、渉外や運営統括を行い、プログラム全体を管理します。

マネージングディレクター(以下、MD):複数のラボディレクターの伴走を行い、3か月間自分の担当するディレクターが各々のラボ活動を円滑に進められるようにする役割です。

ラボディレクター:高校生5〜8名からなる1つのラボ活動のディレクションを担当します。ラボの高校生たちと共に学びを深めあいながら、活動の進捗管理や学びの環境をつくる役割です。また、提携している専門家や企業とのやり取りも担います。

10個の分野のラボがあり、高校生は希望のラボに参加します。

今回ご紹介するのは、ラボ活動が充実するためにディレクターの伴走をする「マネージングディレクター(MD)」です。
MDは直接プログラムに参加するラボ生と関わるのではなく、いかにディレクターと一緒に協力しながら進めていけるかが重要になります。


◾️探究学習におけるディレクターの役割

ー ディレクターの役割について教えてください。

彩葉さん:
私自身、高校生の時に探究活動に取り組んでいました。疑問に対して追求していける学びがあってこそ、社会の複雑さや関心を深めることができたと思います。BEAU LABOのディレクターやMDとしてサポートする立場になってから、伴走者の必要性を強く感じました。ディレクターがいることで、高校生は自身の探究に集中でき、一人一人に合わせたサポートによって探究の質を高めることができると思っています。


ー 一人一人に合わせたサポートとは具体的にどのようなサポートですか?

彩葉さん:
自らの意思でBEAU LABOに参加する方が多いものの、初めて探究学習に取り組む子や、やりたいことや関心あることがまだわかっていない子もいます。そうすると既に学校で探究学習に取り組んだ経験があったり、学外の活動に積極的に関わってきた子とは、考えることや必要なサポートが変わってくるのでしっかりとヒアリングをしたり、毎週1on1をして状況を把握すること、思考の整理をするために壁打ちをする時間を設けています。


ー ディレクターがしっかりラボ生と向き合っていることが伝わりますね。その上でMDはどのような役割なのでしょうか。

菜々子さん:
ディレクターの時は、高校生と一緒に自分も楽しみながら探究することを大切にしていました。その点を評価いただき、ディレクターにとってのモチベーター(やる気を引き出す人)に一歩近づけるのではと思い、MDに挑戦しました。ディレクターはラボ生に一番寄り添う立場であるが故に、役に立っているのか自信を失くしたり、どうしたら円滑に進むのかなど様々な課題に直面します。何に困っているのか、ラボがどんな状況なのか聞きながら、物事の優先度を一緒に考えたりとディレクター自身のモチベーションをあげることがMDの重要な役割だと認識しています。


ー ディレクターを通してラボに影響を与えていく重要な役割ですね。MDがいることでディレクターも安心かと思いますが、関わる中で大変なことはありますか?

菜々子さん:
「MUST」と「WANT」のバランスを取ることの難しさを学びました。ディレクターを焦らせたくない、楽しみを感じる前に不安を抱いて欲しくないと思う一方で、ラボが充実し、円滑に進められるようにサポートしたいという気持ちが常に葛藤していました。事務的な関わりではなく、同じ仲間であることが伝わるように接していたことで「菜々子さんがモチベーションあげてくれるから頑張れる」と言ってもらえたことはとても嬉しかったです。


◾️マネージングディレクター(MD)としての関わり方

ー MDを通して経験できてよかったことを教えてください。

駿介さん:
正直、ディレクターと異なり、直接ラボ生と関わらずにどうしたらラボがうまくいくのか考えるのは大変ですし、自分の役割を見失いそうになることもあります。ディレクターの時は、提携先企業の社員さんと高校生が話す中で徐々にやってみたいことや関心が生まれて成長する姿を見ることがやりがいにも繋がっていました。

一方でMDになって気づいたことも沢山あります。
ディレクターをしているとラボ生のために、という想いが大きくなり、他のことが見えなくなりがちです。例えばラボ生がこんな人に会ってみたいとなった時、すぐに紹介できる人脈づくりや企業の方にアプローチできる行動力が必要になります。MDとしてディレクターよりも広い視野で、一つ高い視座で物事をみた経験を活かして、もう一度ディレクターとして現場に立ちたいと思いました。


ー MDは大学生にとってもいい経験ですね!何か身についたことはありますか?

駿介さん:
そうですね。組織をつくる立場に関われることに関心を持っていました。MDになると事務局との関わりが増えるので、組織の方針やプログラムの全体像などを見ることができたのはとてもいい経験です。BEAU LABOは自由度が高く、自分が関わる余地があることが魅力でした。まだ大学2年生で組織づくりに関わる経験がなかったので、根本的な課題と向き合えたことが今後の身になってくるのかなと思います。


ー 一葉さんはMDの中でもプログラムの基盤作りにも携わってるとのことですが、どんな関わりをしていますか?

一葉さん:
ディレクターをする中で、こんなサポートしてほしい、これがあったらいいのになと出てきた課題を解決していくことで、よりプログラムが運営しやすくなるのではないかと考えMDになりました。具体的にはコミュニケーションツール「Slack」の管理や書類関連など事務的なことをしています。またMDになると相談相手が限られてくるので、MDの相談にも乗れるような関わりを心掛けてきました。今ではBEAU以外でも会ったりするような関係づくりができているように思います。


ー サポート側にたった今だからこそ、ディレクターの存在意義についてどう考えていますか?

一葉さん:
探究学習においてディレクターは学校での学びと外での学びを繋げてあげる役割だと考えています。ラボ生がやりたいことや興味あることをBEAU LABOで引き出してあげて、学校でどんな学びや実践ができるのかと繋げていく橋渡しができるのが存在意義だと思っています。

MDをする大学生にとっても色んな学びがあることがわかりました。MDはディレクターにとってもいなくてはならない大切な伴走者ですね。


◾️MDが考える探究学習におけるマネジメントとリーダーシップ

ー ディレクターやMDといったリーダー的な立場で求められることは何ですか?

一葉さん:
探究学習において物事を円滑に進め、より良い方向へ推進するためには様々な視点を持ち合わせ管理するマネジメント力が必要になります。しかし、自らが牽引するといったリーダーシップはいらないのではないかと考えています。リーダーシップの定義はそれぞれですが、指導力・統率力など目標を定めて組織を率いるような能力だとしたら必要ないのではないでしょうか。探究学習では同じ目線に立って、一緒に楽しく探究することが求められ、もしリーダーシップが必要だとしたら自らを未来へ率いるセルフリーダーシップなのかもしれません。


ーディレクターとMDでの視点の違いは何ですか?

彩葉さん:
ディレクターの時はラボ生とコミュニケーションが取れますが、MDはディレクターからの報告しか情報がありません。その中でこの先困りそうなことや起こり得るリスクなど、いかに限られた情報の中で想像しながら仮説を立ててディレクターに伝えていくかが重要です。ミーティングの頻度やタイミングなど全体像が見えるようになったからこそ、最適を考えられるようになったと思います。


ー先ほどモチベーターと言ってましたが、菜々子さんならではのマネジメントの定義を教えてください。

菜々子さん:
正直、マネジメントという言葉はMD経験前も現在もあまり好きではありません。マネジメントは人に管理される印象が強いため、逐一報告しなければならない、指示を受けなければならないという捉え方にもなります。むしろ、マネジメントより「モチベート」という名前の方が私自身しっくりきます。最終ゴールを一緒に設定し、プロセスを評価し、着実な一歩を踏めるように試行錯誤を共にする。「この人が一緒にやってくれたら自分も頑張れそう」とディレクターに思ってもらえるということ、自然と相談したいな、情報共有したら次に進めそうと思ってもらうことが何より大切で、私の中での「マネジメント=モチベート」の真髄だと思っています。


最後に

駿介さん:
探究学習の本質は「どうやったら自分の心がときめく瞬間を作れるかな‥‥?」「ワクワクする場所を作れるかな‥‥?」という遊び心。自分自身も楽しんで取り組んでいきたいと思います。

彩葉さん:
MDといわれ最初は変なプライドのようなものを持っていたのですが、自分が間違ったこと、うまくいってないことから逃げずに向きあい、わからないときはわからないという、助けて欲しい時は、助けてと言ってみるということができるようになったと思います。リーダーらしさよりも自分らしさを優位に捉えられるようになったのは、大きな成長だと思います。
そんな経験をしてみたい方はぜひ一緒にBEAU LABOの学生パートナーに挑戦してみませんか?



\BEAU LABO学生パートナーについてもっと知りたい!/

BEAU LABOでは大学生が高校生の探究活動をサポートする学生パートナーを募集しています。ラボディレクターは、3ヶ月間1つのラボを担当するため、マネジメント力やヒアリング力などチームづくりに大切な経験をすることができます。学生同士の交流もあり、仲間を作ることもできるので興味ある方はまずカジュアル面談でお話しましょう!


あなたもBEAUのパートナーとして、地域の教育格差や日本の教育の未来に一緒に取り組んでいきませんか?