子どもと悪 河合隼雄

河合隼雄の子どもと悪という本を読んだ。
1997年に出版されている古い本だが、文章は読みやすかった。
1度読んだことがある本だし、内容は感覚的に理解していた事が多かったと思う。

悪とは何か

ヨーロッパの神学では、悪とは善の欠如だと考え出されたらしい。
私は悪とは善への反抗だと思っていたけど、確かにそういう側面もあると思った。他には、悪は存在や生命への否定という考えもあるらしい。

悪と創造性

悪と創造性が関連してるのは直感的に理解できる。
全ての思想や信念は、反発から生まれるとシオランは言った。
私は全ての創造は反発や逃避から生まれていると思う。
反発や逃避は悪だとみなされる場合が多いだろう。
だから、創造と悪は近いものだと思う。

悪と思春期

程度の差はあるだろうが、1度も悪いことをした事のない人は居ないだろう。理性に負けたり、仕方のない状況に追い込まれたりして、悪いことをしてしまう。しかし、人は悪いことをして、痛い目にあったり、後悔したりする経験を経て、真っ当になるという決意を固めて、善人になったりする。

つまり、成長の過程で人は必ず悪に触れる。
こういう経験は思春期に多いのではないだろうか。
人が成長するには、悪に触れる経験が必要があり、悪と思春期は密接に関係している。

まとめ

悪と人は切り離せないもので、ただ悪を排除すれば良いという単純なものでは無い。悪いことはもちろんしては駄目だが、悪には創造性や自立や成長の可能性も含んでいる。悪と向き合わなければ、成長できない。

悪について自分の見解

悪とは視点であり解釈だと思う。
人殺しは悪だけど、戦争で敵兵を殺すのは悪とはみなされない。
同じ人殺しでも、価値が変わるのは背景やストーリーによって、意味合いが変わってくるからだろう。
だから私は、悪とは解釈であり、物語であると思う。

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