【論考】文法から他言語を学ばせる日本の教育方法は間違っている

　2022年7月12日（火）。あまり暑くない。酷暑はどこへ行ったのだろうか。
　どうでもいいことを書いたら、後で後悔する。後で後悔するという日本語は合っているのだろうか。

　昨日ツイッターで

　「関連性妄想障害は私が造語なんでわかるはずがないんです」という意味不明な日本語を書いたが、最初に書いていたのは、

　「関連性妄想障害は私が造った造語なんでわかるはずがないんです」だった。造ったが二重に重なり、日本語として正しいのか分からず、「関連性妄想障害は私が造語なんでわかるはずがないんです」と書いてもっと日本語がめちゃくちゃになった。二重に重なるというのも日本語としていかがなものか、日本語は難しい。日本語を英語やフランス語のように教えられても分かるはずが無いと思った。日本人で五段活用を意識しながら喋っている日本人はどれだけいるだろうか。

　なんとなく、深掘りしたくなってきた。英文法から英語を学ばせる日本の教育方法はやっぱり間違っているのではないかと結論付けられる気がした。

　日本人で五段活用を意識して話している人間などまずいないだろう。助詞のてにをはを意識すれば大概の日本語は通じる。最近日本語が通じない、と個人的に感じる瞬間は、あるもの、に対してポピュラーな単語が思いつかず、──例をあげるならば、道や公園によくある、赤と白の色の塗られた柵のようなもの、あれを「柵」と呼んで会話を続けていて、果たしてどれだけの日本人にあの、赤と白の色の塗られた柵のようなもの、を言葉で概念化し会話を続けることができるだろうか──といった感じで、言語によるコミュニケーションで一番大事なのは文法ではなく単語であり、《《実は英文法の用法そのものは、単語が持つ特別な意味を以てして、英文法などは成り立っている。》》to不定詞とか、現在形とか、分詞構文とか、過去形とか、単語に対して意味を拡張することによって成り立っている。意味が分からないと思うが例を出してみると、仮定法でなぜ過去形や、過去完了形を使うのか、それは、過去形の「ed」という単語に、「過去だけでなく、本質的には現在に存在しない行動全般を指す」という意味を付帯させれば英文法だって単語だという意味も分かるだろう。英単語を覚えさせる前に、英文法を教えさせ、実は例外がこんなにあるんですよ、全部覚えてくださいね、では話せるわけがない。英語のように規則の少ない言語ですらこうなので、フランス語やドイツ語やラテン語、古代ギリシア語などの、数や主語、単語の男女の区別があり、それだけで文章全体が変わってしまう言語などには、日本人は到底太刀打ちできない。単語をまず教えずに文法だけを教えようとする文化が根強く残っているからだ。

　日本人の全ての赤ちゃんに聞いてみよう。「五段活用を覚えてから日本語を話すようになりましたか？」誰でも分かるがNOだ。残念ながら大人の私ですら五段活用など覚えていない。日本人の赤ちゃんは「あれなに」から始まり、大人が「あれはテレビって言うんだよ」「テレビ！　テレビ！」と言って単語を拡張していき、最終的には単語を組み合わせれば会話が通じるというレベルまで行く。その間に五段活用など覚える過程はどこにもない。言葉はこうやって修得されていく。

　大人の間の会話がちぐはぐになっている時の大体の原因は、先ほども書いたが、単語からイメージされるものが、互いの脳でちぐはぐになっていることから起こる。単語とものとを正確に一対一で覚えることが、会話でのすれ違いを防ぐ最大の予防となる。

　話がずれかけたが、日本人が英語、はまだしも、フランス語やドイツ語、ましてやラテン語などに弱いのは、単語とものとの一対一の組み合わせが出来ていないことから始まる。日本の教育では英文法から始まり、大学では、他言語の教育がなされるが、大学を卒業した途端に全く以って語学能力が落ちるのは、文法を覚えることばかりに気を使い、短期記憶だけを駆使し、テストが終わったら文法など全く忘れてしまうからだ。なぜか。単語を覚えていないからだ。他言語の単語集で日本語と一対一に対応している単語集、ないしは単語書籍、辞書は、英語に比べて格段に数が少なくなる。結局のところ、言語は単語の集まりであり、その単語をイメージさせる教育を行っていないために、何も修得できぬまま大人になり「フランス語は難しかったなー」などと考えてしまう。単語を教えることに主眼を置いた教育ではそうはならない。国際報道を聞いていても知っている単語が聞こえてくればなんとなく意味は分かる。そして文法を単語として理解すれば、文法が使われた意図がわかるようになる。

　単語から勉強する教育に変えることが出来れば、日本人のマルチリンガル化は大きく前進すると私は思っている。