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佐々木は速かった、八幡平は遠かった…

 2018年9月。秋の岩手県大会を観るために行った、八幡平市総合運動公園野球場は遠かった。

 仙台のちょっと先くらいだったっけか…くらいの、ものすごくテキトーでいい加減(単なる無知? 無理解?)な距離感覚のまま、車で横浜市内の自宅を深夜に出て…もちろん途中休み休み、着くまでに12時間以上もかかり、行くだけで疲れてしまった――

 佐々木朗希がエースの大船渡高校は大会2回戦のこの日、盛岡三に快勝。

 しかし準決勝で盛岡大付、3位決定戦でも専大北上に敗れて東北大会進出はならず、センバツにも出られないことになった。かなりの集客はあったけど、2年秋のこのときはまだ、翌年の最後の夏ほどは騒がしくもなく、ザワつきもしなかった。

 2021年3月12日。中日とのオープン戦で、プロ入り2年目にして初の実戦登板を果たした佐々木。

 1イニングのみではあったけど、打者3人と対戦し無失点に抑えたというニュース、録画しておいた試合の映像を見たりしながら、この2年半前の“旅”を思い出した。

 往路にかかった距離と時間は、復路でも同じ。翌日知人と会う用事があった栃木県内にその日は泊まったけれど、そこまで南下するのもまた、やはり遠い。

 日本はそれほど狭くない、そんな気がしたことも思い出した。


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