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ドヴェルグの弟子(無料版)

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全ての日本人は、ドヴェルグの弟子だ。【ドラ○エおじさん向け】【更新ペース:月1〜2話】※サブエピソードやムフフな場面は個別に、有料記事で書き下ろす予定です。
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はじめての方へ

はじめての方へ


イントロダクション夢渡る蝶たちよ、異世界へ行きたいか?

強大な夢のチカラを持ちながら、夢の無い日常を流されて生きる、地球人。その満たされない魂は、夜の眠りの中で蝶になって異世界へ跳び、望む姿で勇者のように冒険し。

彼ら彼女らのデタラメでチートな「ヒュプノクラフト」は、時に災いを引き起こして、異世界人から魔王の如く恐れられた。

今も記憶に残る、コロナ禍の陰でウワサされた奇妙な悪夢が私たちの地

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5夜 禁じられた転移

5夜 禁じられた転移


蝶が見た流星赤くライトアップされた東京都庁とレインボーブリッジ。東京アラートだ。2020年春、世界を覆ったのは…あの疫病。笑顔は奪われ、夏は来なかった。

夜空には、無数の流星雨。
おかしい? あのとき、そんなのは見えなかった?
流れ星と思ったのは、夢渡る魂の蝶。肉眼で見えず、カメラにも映らない。

日本人の心には、三十年もの間冷たい雪が降っていて。世知辛い現実からの逃避を望む魂は、夜に眠りの中

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4夜 私のアテナはフレイアです

4夜 私のアテナはフレイアです


氷河期の記憶異世界は異文化だ。それは違う前提から生まれる。地理的条件に、たどってきた歴史。地球とヴェネローンも、前提が違う。何が善悪なのかも、地球人の物差しだけでは判断できない。

「お父様」

オグマとエルルの過去を知る、記憶の旅を終えた私に。私の中のユッフィーが呼びかけてきた。

「どうするか、決まったのかい」

ユッフィーと同じアバターを共有しているが、私は私自身の声と口調で彼女に問いかけ

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3夜 北欧神話異聞

3夜 北欧神話異聞


ドワーフの問答「これを見ている者に問う。おぬしの考える、最も価値ある神器とは?」

腕組みをする、立派なあごヒゲをたくわえたドワーフのイメージが、記憶の旅人に問いかけてくる。声音は、最後のドヴェルグ・オグマのものだ。彼が記憶とチカラを奪われる前の姿なのだろう。

北欧神話には、多種多様な魔法のチカラを秘めたアイテムが登場する。武器の場合もあれば、乗り物や装身具であったり。その多くは、闇の妖精ドヴ

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2夜 ユッフィーとエルルと

2夜 ユッフィーとエルルと


うちの子、中の人氷の都ヴェネローンには、遺跡探索の拠点となる冒険者の宿が各所にある。その多くは、サウナ付き。地球の北欧をルーツとするアスガルティアの民が広めたらしい。

時折、観光目的の来訪者も宿に泊まる。危険な探索は厳しい審査に合格した者しか許されないが、冒険者の気分だけでも味わおうと。

「ユッフィーさぁ〜ん?」

紋章院に呼ばれた帰り。ユッフィーもまた、エルルに誘われて冒険者の宿でサウナを

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1夜 想像の怪物

1夜 想像の怪物


岩と花「なんじゃ、またエルフか」

冷たく暗い、ファンタジックな造りの研究室。褐色肌の少年が、空間に投影された画面に釘付けになっている。もう飽きたと言いたげな顔で。

「オグマ様、また漫画読んでます?」

隣で、別の空間投影ディスプレイを見ている眼鏡の少年から、あきれた声が返ってくる。テーブル上に投影されたキーボードを行き来する、細い指。

「リーフよ。フリズスキャルヴの端末で地球のインターネッ

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