2022年10月 酒。読書。観劇。それだけ

私の「note」のプロフィールは、『酒。読書。観劇。それだけ』とそっけない、というか投げやりな一文だが、それで充分説明に足りている。

たとえば、2022年10月……

2022年10月1日(土曜日) 日本酒の日

新宿で映画を1本観て、呑みに行く。


2022年10月5日(水曜日)

朝倉宏景著『あめつちのうた』(講談社文庫、2021年)読了。
阪神甲子園球場のグラウンド整備で有名な「阪神園芸」を舞台とした、青春小説。


2022年10月12日(水曜日)

牟田都子著『文にあたる』(亜紀書房、2022年)読了。

18:45 映画『マイ・ブロークン・マリコ』@TOHOシネマズ日比谷

毎週水曜日は「TOHOウェンズデー」でTOHOシネマズ全館割引。
というわけで、TOHOシネマズ日比谷で映画鑑賞。

20:40 夢酒みずき

映画館から徒歩約10分強。銀座の「夢酒みずき」に到着。
このお店は、現在、20時~22時限定で「日本酒バータイム」のサービス実施中。
『しっぽり日本酒に向き合う時間を。おひとり様~少人数¨様々な銘酒を飲み比べ¨(日替わり酒肴8品~10品/厳選日本酒ご用意、ご自身でチョイスしていただくスタイルです)』

もしかすると1年ぶりくらいかもしれない。
が、ちゃんと覚えて下さっていて、料理人の方が「なめろう、ありますよ」と笑って教えてくれる。
以前、一度メニューから「なめろう」が消えたことがあって、残念がっていたら料理人の方が特別に作ってくれたことがある。以来、このお店といえば「なめろう」ということになっている。

お酒は、佐賀県・天山酒造の「七田」。

実は、覚えて下さっている理由は、もう一つあって、写真に写っているお猪口は、私専用なのである。
何年か前に、誕生日前日に来てそのことを伝えたら、次回お店に行った時に「お誕生日プレゼントです」といって贈られたのが、このお猪口。
ありがたく持ち帰ろうとしたら、「もし宜しければ、当店の『マイお猪口』にいかがでしょう」……うまく乗せられてしまい、以来、このお猪口目当てにお店に通うようになった、と。

「今日は何を観てきたんですか?」
女性店員さんに聞かれたので、「そこのTOHOシネマズで……」と答えたら、「観たいんですよ。(マリコ役で出演している)奈緒ちゃん、好きなんです」と。良い映画だから観た方がいいとお勧めしておく。
彼女も観劇が趣味で、以前、「レミゼ(レ・ミゼラブル)」の話で盛り上がったことがある(だが、本当に好きなのは俳優の大倉孝二さん、らしい)。
そういえば、以前このお店に勤めていらした女性(彼女は『カンパイ!世界が恋する日本酒』(小西未来監督、2015年)という映画に映っている。ちなみに、映画に映るこのお店は改装前の姿)は、俳優の古田新太さんのファンだった。

「『宝』の一人すき焼き、聞きました」
先日、系列店の「酒蔵レストラン宝」(女性店員さんはそこから人事移動してきた)で、一度メニューから消えた(お店の人曰く「なくしたつもりはありません」)「一人すき焼き」を復活させたのも私だ。
この系列2店において、何故か私は「伝説のメニュー復活男」との異名を持つ(と、私が勝手に言っている)。


2022年10月15日(土曜日)

13:00 舞台「クランク・イン!」@下北沢・本多劇場

観劇後、渋谷へ移動。

17:00 池田亮二ライブ @渋谷WWW X

ビールを飲みながら開演を待つ間、「そういえば、コロナ後、初めてのオールスタンディングのライブを観に来ているなぁ」と感慨に浸る。この日も満員(なにせ、20時開演のライブがソールドアウトになったので、急遽、この17時開演のライブが追加されたのだ)。
重低音が身体を振動させ、パルス音とノイズ音が身体の中を貫いてゆく(彼は「dumb type」の音楽も手がけていて、その公演ではチケットに「大音量の重低音が流れるため、心臓の弱い方はご遠慮ください」というような注意書きがされてあったほど)。
1時間余りのライブを堪能し、久しぶりに清々しい気持ちで会場を後にする。

18:30 酒とさか菜

ライブハウスから徒歩15分程度。居酒屋探訪家の太田和彦氏も訪れるお店。
テーブル席では、シンガポールから来たらしい男性3人と日本人女性2人のグループが楽しそうに飲んでいる。
この男性3人、物凄く日本酒に詳しい(1人の男性は「STAR WARS」ならぬ「SAKE WARS」と書かれたTシャツを着ているほど)。お店の冷蔵庫に置かれた日本酒のラベルを見て、お酒を注文している。
どうやら日本の酒蔵さんを巡ってきたようである。
海外で日本酒の人気が出てきているという話は聞いていたが、それを日本で実感しようとは。


2022年10月17日(月曜日)

横田増生著『評伝 ナンシー関 「心に一人のナンシーを」』(中公文庫、2022年)読了。


2022年10月18日(火曜日)

18:30 舞台『今度は愛妻家』@よみうり大手町ホール


2022年10月19日(水曜日)

またもやTOHOウェンズデー。
TOHOシネマズ新宿で、映画のはしご。

19:10 映画『もっと超越した所へ。』

21:22分終映。3階から5階のスクリーンへ急ぐ。

21:30 映画『耳をすませば』

22:35終映。終電間近。

両作とも「ハッピーエンド」には違いないが、全くの真逆。
いやぁ、鑑賞の順番が逆じゃなくて良かった。

最寄り駅から家まで歩きながらふと思う。
シラフで午前様って、何年ぶりだろう……


2022年10月21日(金曜日)

石田五郎著『天文台日記』(中公文庫、2004年)読了。
岡山県にある「東京大学東京天文台岡山天体物理観測所」の副所長だった著者による、1970年代のとある1年の日記。


2022年10月23日(日曜日)

12:00 舞台『羽世保スウィングボーイズ』@明治座

明治座は去年(2021年)、舞台『酔いどれ天使』を観て以来。

その時「芝居見物」をしたなぁ、と思ったのだが、今回の『羽世保スウィングボーイズ』(G2作・演出)はより「芝居見物」感が大きくて嬉しくなる。

九州の「羽世保はせぼ」という架空の街を舞台にした、漫才コンビ「博多華丸・大吉」の博多華丸氏が主演の人情喜劇。昨年、彼の地元・福岡の博多座で幕を開けたお芝居は、大阪の新歌舞伎座を経て、いよいよの明治座公演。

ほのぼのした笑いの中に、ちょっぴりの涙とちょっぴりのキュンを交えた物語は、ジャズの生演奏、和太鼓の生演奏、タップダンスによる群舞などを交え、もちろんハッピーな大団円を迎えるという、この閉塞した社会の嫌なことを、暫しの間だけでも忘れさせてくれる、それはそれは心躍る華やかな舞台。
そして何より、「博多華丸氏が和太鼓とタップダンスに挑戦」という、日本の昭和芸能伝統に則った「座長公演」スタイルが、いかにも「芝居見物」という気分にさせてくれる。

終演後、明治座近くの浜町公園を暫しブラブラ散歩して、最寄りの浜町駅から1時間ほど都営地下鉄に揺られ、京王線の調布駅に向かう。

17:00 調布 土と青

10月1日にうかがった新百合ヶ丘の「土と青」の系列、というか、ここが本店(オープン当初は別の場所にあった。私はその頃からの客)となる。で、やがて新百合ヶ丘にも出店し、そこをオーナーご夫妻が切り盛りしている……と。
開店直後のお店だが、カウンター席は日曜日にも拘わらずほとんどが予約席となっていて、唯一残っていた1席に案内される(よかった……)。
新百合ヶ丘同様、このお店も人気だ。
ここでも、最初の一杯は生ビール。
アテは、秋と言えばということで、「銀杏」。

日本酒のメニューに「七賢」(山梨・山梨銘醸)を見つけ、他にも、岐阜や長野のお酒もあり、ふと「"海の無い県"縛り」にしてみようか、と思いつく。

問題は、群馬県だ。西で生まれ育った私は、東北に疎い。
果たして、群馬県は海があるのか?
ほろ酔いで考えていると、ふと平田オリザ著『幕が上がる』(講談社文庫、2014年)が頭に思い浮かんだ。たしか、主人公のさおりが上京するのに『高崎駅で乗り換えて』いたはずだし、序盤の「肖像画」のシーンにこんなくだりがあったはずだ。

二番手は明美ちゃん。背の高い明美ちゃんが、麦わら帽子をかぶって、子どもの頃に行った海水浴の思い出を話す。私たちの県には海がない。だから、たいていの子どもは、初めて海を見た日のことを覚えている。

(太字は引用者)

しかし、ほろ酔いだから記憶に自信がない。
女性店員さんに聞いてみる。
「すみません。注文じゃないんですけど、群馬県って海ありますか?」
ヘンな客からのヘンな質問に戸惑う女性店員さん(本当に申し訳ない……)は、九州出身(明治座と繋がった!)で私と同様、東北には全く疎いらしい。
「海、ないですよ」
店長が助け舟を出してくれる。
やはり、私の記憶に間違いはなかった(ちなみに、有安杏果がいた頃のももいろクローバーZ主演の同名映画(本広克行監督、2015年)の舞台は、静岡県の冨士ヶ丘高校……というのは、今『Quick Japan』Vol.118「全力特集 ももいろクローバーZ。初主演映画『幕が上がる』と宮沢賢治の理想郷イーハトーブをめぐる、夏秋冬の半年間の全記録」でチェックした)。

流輝るか(群馬・松屋酒造)
無風むかで(岐阜・玉泉堂酒造)

気がつくと、カウンターの予約席が埋まり、テーブル席も満員の状態になっている。日本酒を愉しみ過ぎた私は立派(?)な酔っ払いだ。
そんなわけで、19時半に退店。
京王線で新宿まで戻り、色々乗り次いで帰宅する。


2022年10月29日(土曜日)

14:00 東京味わいフェスタ2022 丸の内~有楽町

日比谷で映画を観るついでに、近隣で開催していた『東京味わいフェスタ』というイベントを覗いていくことにする。
公式サイトによると『世界に誇る有名レストランやトップシェフによる新鮮で高品質な東京産食材を使った料理を味わい、体験することで「農」や「食」の多彩な魅力を発見し、その魅力を国内外に発信するイベント』らしい。

「丸の内エリア」からスタート。
丸の内仲通りに並ぶ様々なキッチンカー(と、そこで提供される飲食物を購入する人の列)を眺めながら、何も買わずに、ぶらぶらと歩く。
そのまま「有楽町エリア」である東京国際フォーラムまで歩く。
もともとこちらが目当て。
何故なら、ここでは「日本地酒協同組合」が出店しているからで、60mlの日本酒を300~400円で飲める(+100円で90mlに増量可能)。
400円チケット3枚セットが1000円で販売されており、迷わずそれを購入。
300円+100円で90mlのお酒を3種類飲む。
選んだのは、「酒仙栄光 純米大吟醸 松山三井」(愛媛・栄光酒造)→「白龍 特別純米 秋あがり」(福井・吉田酒造)→「福寿 純米酒 エコゼロ」(兵庫・神戸酒心館)。途中、「よこちゃん」というお店(キッチンカー)で「やみつきフランク」なるものを購入し、それをつまみに、計1合半(90ml×3杯)をいただく。

頃合いを見計らって、日比谷の映画館に向かう。

16:10 映画『少女は卒業しない』in 東京国際映画祭 @TOHOシネマズ シャンテ

こういった映画祭は、公開前の作品が見られる上に、監督や関係者が登壇して質疑応答の時間があるのが魅力。
観たい作品は何作かあったが、うっかりしている間に軒並み売り切れてしまい、何とか『少女は卒業しない』に滑り込むことができた(残り3~4席の状態での滑り込みセーフ!)。

終映後の中川監督の質疑応答まできっちり観る。

19:00 酒蔵レストラン宝

またも東京国際フォーラムまで戻り、今度は地下にある「酒蔵レストラン宝」に行く。このお店は、10月12日に行った「夢酒みずき」の系列店。
映画を観た興奮を静めるために、まずは生ビールを注文。
このお店で、私が注文するのは、「一人すき焼き」である。

興奮が収まったところで、日本酒を注文。
名前に惹かれて注文したのは、「大山おおやま特別純米生詰 やまとなでしこ」(山形・加藤嘉八郎酒造)。

現代のヤマトナデシコは、「メガネ女子」だった

かなりしっかりした味わいのお酒で、さすが現代のヤマトナデシコという風情。
店員さんに上で開催していた「味わいフェスタ」について聞いてみると、「仕事で行けないんです……残念」という返事。
続いて、「司牡丹 生酛純米 かまわぬ」(高知・司牡丹酒造)を注文。

「これで"かまわぬ"って読むの?」
「そうです。『かま』『』『ぬ』です」
蔵元さんも色々考えているんだなぁ。
さっき観た映画を思い出しつつ、一人すき焼きをつまみに日本酒を飲む、至福の時間。


2022年10月30日(日曜日)

9:00 自宅

TAMA映画祭、目当ての作品のチケットを購入し、映画賞授賞式の抽選申し込みをする。

10月も『酒。読書。観劇。それだけ』の生活を送り、気がつけば、2022年も残り2ヶ月……
目下の気がかりは、TAMA映画賞の授賞式が観られるかどうかだが……

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?