アルコール完全解禁の京都で呑んだ顛末記(改訂)

2021年10月22日。コロナ禍における飲食店の制限が完全解除された…かに思えたが、東京・大阪は翌週明けの25日までお預けを喰らってしまった。
「21日まで我慢すれば明るい未来が待っている」ことだけを信じ、言いたい文句を胸に仕舞い、粛々と従ってきた私としては、裏切られた気がして、かなりショックだった。
そんなガッカリした私の頭に、一つの考えが。
そうだ、(完全解除された)京都へ行こう!

その前に…

こんな前置きを書くのは気が進まないが、公開するにあたり一応予防線を…

・京都旅行は全て単独行動(所謂「おひとりさま」)であり、外出の際は飲食時以外マスクを着用しています。
・持参した体温計により、毎朝検温して37℃を超えないことを確認しています。
・当方、ワクチン2回接種済みです。
・飲食店や施設では、各々のコロナ対策方針に全面的に従っています。

・写真は今回の旅のもの以外に、以前撮影したものを含みます。
・当方、写真撮影に不慣れなため、お見苦しい写真が多いかと思われます。笑って許してください。

2021年10月22日の終業後に東京を出発し、25日の夕方に帰京(25日は有給休暇を取得)。
足掛け4日で、延べ17件の飲食店で何らかアルコールを摂取した。観光は一切していない(というか、常に酔っているので観光できるわけがない…)。


1日目:2021年10月22日(金)

17:54 東京駅出発

終業チャイムと同時に会社を飛び出し、東京駅から一番早く出発する「のぞみ号」の自由席に飛び乗る。
週末の夕方、それなりの込み具合。
まだ時間が早いのか、出張或いは外出帰りのサラリーマンが多く、ノートパソコンで何やら作業している人もチラホラ見える。
ひたすら井上麻矢著『夜中の電話 父・井上ひさし最後の言葉』(集英社文庫、2021年)を読む。

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夢中になって読んでいるうちに新幹線は名古屋を超え、20時09分、50ページを読み残し京都駅に到着。


20:30 チェックイン

宿泊するホテルは、四条西洞院の「三井ガーデンホテル京都四条」。

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京都駅から四条駅まで地下鉄で行き、四条通は混むのに加え信号が多いので、一筋下がった綾小路通を歩く…というか早く飲みたいという想いが募り過ぎて若干の小走りになってしまう。
前から自転車に乗った女性とすれ違い、「アレ?」と思い振り返ると、向こうも自転車を止め、こちらを見ている。
女性はこの近くにある居酒屋「五黄の寅」の女性店長・あかりさんだった。

とりあえず軽く挨拶だけして、ホテルでチェックイン。
IT音痴のオヤジは、自動チェックイン機に手間取ってしまう(早く飲みたくて焦っているから余計に)。
最初の画面に「アップグレード」という文字を見た気がするのだが、何もわからず「はい」をクリックしてしまった結果、凄くいい部屋に案内された↓

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お水もサービス。しかも、ダブルルームなので2人分用意されている。
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余りの豪華さにビックリする時間も惜しく、急いで部屋を出発。

20:50 烏丸五条「カプリ食堂」

もと来た綾小路通を逆向きに進み、室町通を南下。
途中で「串鉄板 ぞろんぱ」を覗く(ガラスの壁で中が見える)と、お客さんが帰るところだった。
嫌な予感がしたが、通過して、烏丸五条交差点近くにある「カプリ食堂」へ向かう。
「解禁日に早速、京都ですか!」
笑顔で迎えてくれた店長に「あったりまえじゃん」と深く頷いて、ビールを注文する。

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お店で飲む生ビールは、何と美味しいのだろう!

「もう予定は決めてるんですか?」
「全然決めてない」
「明日の今出川(の2号店)、『ようへいさん』がいますよ」。

そんなわけで明日のお昼の予定が決まる。
今出川にあるカプリ食堂の2号店「LEMONE VERDE」へ行こう。


22:00 室町仏光寺「串鉄板 ぞろんぱ」

「カプリ食堂」を出て、室町通を北上し、「串鉄板 ぞろんぱ」の前に到着。外から覗くとカウンターの奥にお客さんがいるのが見えた。
中を覗く不審者に気づいたらしい店員さんに、「どうぞ」と案内される。
カウンターにいたのは先客ではなく、オーナーの東さんだった。
「久しぶり」などと挨拶を交わした後、東さんは「ごゆっくり」と店を後にした。

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京都の日本酒「月の桂」(株式会社増田徳兵衛商店)を注文
このお店を含めた何店かの居酒屋だけの特注のお酒とのこと
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秋刀魚の刺身をつまみにチビチビ呑む

ホームページが10月1日付から更新されてなくて、今日解禁してるか心配していたのだが、無事営業していた。聞けば、専門の会社に委託しているらしく「あのホームページ、僕ら、いじれないんですよ」とのこと。

この後、「篠峯」を呑み、小一時間でお店を後にした。


23:10 綾小路新町「五黄の寅」

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さっき店長のあかりさんとすれ違って京都に来ていることがバレているのと、どうせホテルへの帰り道だし、ということで、這う這うの体ほうほうのていで「五黄の寅」に入店。さすがに時間が遅く、お客さんはいない。
もう記憶が曖昧なのだが、確か、店員さん全員にテキーラを振る舞ったようなしなかったような…

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後でスマホをチェックすると、こんな写真が残っていた……


2日目:2021年10月23日(土)

08:20 ホテルの大浴場

今回何故このホテルだったかと言うと、異例の安さに加え「大浴場」があるから。
とはいうものの、9時までの入浴時間が迫っているため、二日酔いの体に鞭打ち、大浴場へ向かう。
湯船に浸かると、少しだけ身体が楽になった気がする。

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なんと、部屋のテレビからお風呂の込み具合がチェックできる!

部屋で『夜中の電話』の続きのページをパラパラ捲っているうちに眠ってしまったらしく、気がついたら11時。
関西テレビの『土曜日もよ~いドン!』で「となりの人間国宝さん」の一週間分のダイジェストを見て、ホテルを出発。

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ホテルのロビーにディスプレイしてあった。そうか…もうすぐハロウィンだ


12:30 今出川「LEMONE VERDE」

地下鉄に乗り「今出川」へ。住宅街に入ったところにある「カプリ食堂」の2号店「LEMONE VERDE」。

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昨日教えてもらった通り、オーナーの「ようへいさん」がお店に立っている。

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お店の前にはなんと!
(烏丸五条のお店が紹介された。「2号店があるんですよ」と言ったら、もう一枚くれたとのこと)

お昼にこのお店に来る理由は、何と言っても「昼飲みメニュー」である。

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限られたメニューで少量ながら、これで1品 280円はかなりお得!
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量はこんな感じ(左がポテトサラダ、右がカキフライ)

土曜日だからか、まったりした空気が流れている。
家族連れから男性の一人客まで心地よさそうにしている。
その中、カウンターに座って解禁になったアルコール飲料を飲みながら、他のお客さんの注文を手際よく捌くようへいさん相手に世間話。
と、そんな空気を切り裂くようなけたたましい音が。
どうやら、「Uber Eats(もしくは同様のサービス)」の注文だったらしく、ワンオペの厨房はにわかに忙しくなる。
どうにか指定時間前に注文の品を作り上げたようへいさん、勝ち誇った満足げな表情を浮かべながら、受け取りの人に品物を手渡したのであった。

14時前にお店を出て、酔い覚ましに京都御苑を歩く。
土曜日の午後だが、気温が低いこともあるのか、人はまばら。
京都御苑を抜け、そのまま南下。


14:30 押小路御幸町「ひっとぽいんと」

先斗町の老舗蕎麦屋「有喜屋」さんの真向かいにあった「酒ばぁ」の店長をしていた安原さんが独立して、新築のテナントビルに自身のお店を構えた、というので来てみたのだが、まだ1階は「テナント募集」の張り紙がしてあり、エレベーターへと続く通路は養生されたまま……
本当に営業しているのか?
まぁ、看板もあることだし、とりあえずお店の前まで行ってみよう…と、こちらも養生されたままのエレベータで4階へ。

エレベータを出た右手側(押小路沿い)は、コンクリート打ちっぱなしで何もない状態。左手側は…

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とりあえず看板はある!

開店時間は14時と聞いているのだが、営業してるかわからない。近づいてみると、ドアから光が漏れている。恐る恐るドアを開ける。

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「よくわかったな」
……随分なご挨拶である。
開店祝いにビールをご馳走し、乾杯。
ビールを飲みながら改めて店内を見回すと、「ちゃんとした」バーに見える。なんと、電気工事以外、水回りや内装含め、安原さんが全て作業したそうである。…意外と器用だったのね…

一見バーのような内装だが、売りは「シュウマイ」だそう。
「海鮮とピータン、どっちがいい?」
…何故、その2択? 迷いもせず、海鮮シュウマイを注文。

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1個、変なところにあるのは、まだオープンしたての未熟さ故

開店までの苦労話など話しているうちに、安原さん、何やら思い出したよう。
「そういえば誕生日」
安原さんの中では、誕生日を迎えた客はテキーラで祝うのがシキタリだそうで、コロナ禍やお店の移転などで延び延びになっていた8月生まれの私の誕生日を祝いたいと言い出した。
気持ちだけで十分なので、丁重にお断りするも聞き入れてくれず、結局2人でテキーラで乾杯……
2日連続、何をやっているのだろう……51歳のオヤジ……
その後、安原さんがチェーン店居酒屋で働いていた時の先輩という男性が奥様と一緒に大阪から来られ、その当時の話などを聞いているうちに17時を過ぎてしまう。


17:30 四条川端「JAM」

少し回り道して、先斗町を歩く。解禁後の土曜日とあってか、人通りも多い。まだまだコロナ前のにぎわいには程遠いが、それでも「本日満席」と掲げたお店も多く見受けられる。

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四条通まで出て四条大橋を渡り、川端通りを少し北上したところにある日本酒バー「JAM」へ入る。
メニューをQRコードで読み取る方式に変わっていて、IT音痴の私は、ここでもメニューを表示させるのに手間取ってしまう(最終的にお店のタブレットで表示してもらった)。
解禁とともにお店を再開させたというオーナーの池田さん、仕事のペースがなかなか戻らないらしく、苦労されているようだ。

日本酒一杯でお店を出て、四条通から一筋北の路地を歩き、花見小路を越えてすぐのビルの地下に降りる。


18:30 祇園「鈴乃」

鈴乃」は、拙稿でも紹介した太田和彦氏の『ひとり飲む、京都』にも登場する「たまりや」の女将・今井文恵さんがやっておられる。

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祇園北・花見小路から路地に入った地下1F。知らない人は躊躇するかも

開店時間は19時ということで、当然看板にも明かりは灯っていない。
出直そうと思って踵を返した瞬間、看板に明かりが。
と、ビックリしている間に消えたので、やっぱり出直そうとしたのだが、何とドアが開いて今井さんが顔を出した。
予約が入っているので開店時間までなら、という条件で、お店に案内していただく。
中から外が見えるのかと思ったら、そうではないとのこと。
「今日は予約のお客様だけなので、点けなくてもいいかと思ったんですけど、やっぱり点けておいた方がいいかな…と」で、一瞬の逡巡の後、やっぱり消して、外の様子を窺いに来た。そこに、私が立っていた、と。

何と言う偶然だろう。昨日の「五黄の寅」も然り、誰かが導いてくれているのだろうか。

店内で日本酒をいただきながら、コロナ禍の生活など、暫し世間話をして、予約のお客さんが来る前にお店を出る。

(2022/07/05追記)
「鈴乃」は2022年5月末で閉店しました。
今井さんは知人の方と新たに会員制(場所も非公開)のバーを開店されたそうです。
「鈴乃」があった場所は、新たに「夜桜」という会員制のお店になったようです。詳しくは↓
https://fumitama.exblog.jp/


19:40 菊水鉾町「大八寿司」

祇園から烏丸通まで戻る。
途中、錦市場を通ってみるが、時間的に人通りは少ない。
昼からずっと、おつまみばかりでひたすら飲み続けていたので、この辺りで腹に溜まるものが欲しい。
そんなわけで、そのまま烏丸通を西に行き、一筋目の室町通を南下したところにある「大八寿司」に入る。

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にぎりのセットを注文


大将の今宿さんが滋賀出身ということもあり、このお店に来ると滋賀の「松の司」を注文することが多いのだが、あいにく売り切れたとのこと。

やはり滋賀の「不老泉」(上原酒造)をいただく


21:30 烏丸五条「カプリ食堂」??

気分良く酔っぱらった私は、何故か昨日行った「カプリ食堂」を再訪していたようだ。バイト上がりの女子大生のカクテル作りの練習に付き合い、店長にビールを振る舞い(もちろん私の奢りである)、機嫌よく店を後にしたらしいが、何を話したのか覚えていない(後日、その内容が判明する……)


3日目:2021年10月24日(日)

11:00 チェックアウト

昨日は飲み過ぎた…。もの凄い二日酔い。
大浴場に行く気力もなく、部屋のシャワーで済ませ、チェックアウト時間までひたすらベッドに横になって過ごす。
チェックアウト後、徒歩1分のところにある四条通沿いの「スマイルホテル」に向かい、荷物を預かってもらう(何故、ホテルのはしご??)。


11:35 先斗町「珉珉」

とにかくお腹に何か入れよう。
ふらふら歩きながら辿り着いたのは、なぜか先斗町を三条通から少し下がったところにある、中華料理店「珉珉」。
ランチではなく、1380円の「ビールセット」を注文。

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メインは「海鮮焼きそば」をセレクト
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セットには餃子も付いている

……さて……

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本日の調子を占う1杯目…

まぁ、何とかイケそうな感じ(これが誤解だったことは、すぐにわかる)。
「珉珉」の前が、鴨川の土手に降りる通路になっていて、天気がいいからか、家族連れ・カップル・犬を散歩させる人などが、土手に降りたり、逆に上がってきたり。

私も、鴨川の土手を歩いて、四条通まで戻ることにする。
驚いたことに、10月末、しかも数日前から真冬並みの寒さになってしまったのにも関わらず、先斗町の鴨川側の「川床」には大勢の人がいて食事を楽しんでいる。寒がりの私には信じられない行為だ。

ふと、確か烏丸通近くの「益や酒店」がお昼くらいからやっていたような気がしたので、いそいそと向かってみるが、なんと15時開店……


13:00 「タイガー餃子会館 四条烏丸」

ショックが大き過ぎ、酔っていることも相まって正常な思考ができなくなり、「この近所で、昼からビールが飲めるところ」として「タイガー餃子会館」しか思いつかなかった。

で、今の気分にピッタリの「やぶれかぶれ餃子」をつまみに青島ビールを飲む。

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「珉珉」で餃子を食べた後、またしても餃子を食べている私…
(このことは後のお店でネタにし、どこでも呆れられた)

このお店、京都人からも人気のあるお店で、カウンターには女性一人客も多い(私がいた間は誰もアルコールを注文しなかったが…)。


14:00 チェックイン

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荷物を預けていた「スマイルホテル」にチェックインし、暫し休憩。
15時過ぎにベッドからヨロヨロと這い出し、シャワーで無理矢理身体を目覚めさせ、外出。

途中、六角通に面した「和鉄板 ぞろんぱ」の厨房の窓を覗く。
すぐに店長の永野さんが気づいてくれて「お久しぶりです」と挨拶してくれる。
「今日、忙しい?」
「カウンターだけは予約で埋まってます」
…じゃぁ、私はカウンターに座れないのではないか?
とりあえず、念のため「後で寄る」とだけ告げておく。


15:40 「ひっとぽいんと」

自然と「ひっとぽいんと」に向かっている。
お店には、安原さんとお付き合いしている女性がいて、何故だか邪魔したような気になる(私こそが客のはずだが……)。

まだ工事中のこのビルに入るテナントさんの話題になり、上階にネイルサロンが入るらしいということから、彼女さんにネイルについて色々と教えてもらう。
で、結局、ネイルは「つけているだけ」なので、当然剥がれ落ちてしまうのだが、祇園や木屋町に結構それが落ちているらしい。

そこから話は脱線していく。
「幹線道路に片方だけの靴が落ちているよね」
「でも、何で片方だけなんやろ?」
「両方あったら逆に怖いやろ」
「しかも、キチンと揃えられてたら」
「ヒーッ」。

安原さん、何かを思い出したらしく、笑いながら「そう言えば昨日な…」と話し始める。
何でも、昨日来た女性のお客さんが別の店の開店祝いの花束を持っていたらしく、その花束をどこに保管しておこうかと思案した結果、お店の外、コンクリート打ちっぱなしのまだ何もない空間の隅っこに置くことにしたらしい。もう、想像しなくても、立派な「怪談話」である。
工事中っぽい雰囲気で人が寄り付かないビルでよかった。下手に知らないお客さんがやってきたら、この(まだ造っている)新築ビルにどんな噂が立つことやら…

「うわっ、めっちゃ弱!」
安原さんが私のビールの飲み方を見て、爆笑。
ここまで1時間以上かけて、私はまだジョッキの3分の2も飲めていない有様なのだ。
「こんな弱い姿、久しぶりに見たわ」
何故か嬉しそうな安原さん。

「今日は負け!大負け!」
やけっぱちで叫ぶ私だが、はて、一体私は誰と闘っているというのだろう?

何とかジョッキを干した私は、敗北感をひしひしと感じながらお店を後にするのだった…


17:40 六角柳馬場「和鉄板 ぞろんぱ」

行きと同じ道を引き返し、開店時間を少し過ぎた「和鉄板 ぞろんぱ」に到着。とりあえず、追い返されることなく、カウンターに座らせてもらう。

「室町(「串鉄板 ぞろんぱ」)、行ってくれはったそうで」
既に情報は回っていたらしい。

ビールは、もういい。日本酒を呑もう。
何だか面白い名前のお酒がある。

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「吾輩ハ酒デアル 名前ハマダ無イ」
このお店にお酒を卸している酒屋さんオリジナルだそう
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間八の刺身をつまみに呑む

そして、私のような「メガネ族」の人間しか飲むことが許されない(というのは嘘だが)特権的日本酒を注文。

「メガネ専用」(宮城・萩野酒造)

そういえば、今日もまた、つまみしか食べていない。だから、ビールで負けてしまうのだ。腹に溜まるモノ…
ここは鉄板焼きのお店だから、お好み焼きを焼いてもらおう。
もう既にミスチョイス感がプンプン漂っているが、いいや。
「出町本店名物 タルタルソース玉!」

店員さんがニヤニヤしながら、「どうしたんですか?もう、〆に入ってるんですか?」

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やっぱりミスチョイス……

カウンター隣に座っていた常連の若い男性。小学校の先生とのことで、数日後に運動会があると言う。聞けば、今年の運動会は「自分の出番以外は教室で待機。待機中はモニターで観戦」とのこと。
早くコロナ禍が過ぎ去り、屋外で思いっ切り運動会をさせてあげたいと切に思う。

帰り際、店長の永野さんが見送ってくれる。
「大晦日、久しぶりにカウントダウンしたいですよね」と意味深な含み笑い。数年前の大晦日、私の身に何があったのかは以下に詳しい。


20:00 ホテル

ちょっと休憩のつもりでホテルに戻ったのだが、いつの間にか寝落ち。
気づけば21時半を過ぎている。


21:50 四条釜座「和ダイニング 一政」

慌ててホテル近くの「和ダイニング 一政」へ向かう。

カウンターに2人組がいらっしゃるだけで、1階・2階ともテーブル・座敷席にはお客さんはいないようだ。やがて、その2人組も帰ってしまい。客は私一人になった。
もうこれからお客さんはこないだろう、ということで、「ごゆっくり」と私に言い残して、オーナーシェフの篠さんはお店を後にしてしまった。

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カツオのたたきをつまみに、日本酒を呑む

このお店、京都の人が始めたお店ではなく、オーナーシェフの篠さんを筆頭にメインのスタッフはみんな、関東出身。
全国的に緊急事態宣言が完全解除になったことを受けて「久しぶりに川越に帰るんですよ」。
京都にいるのに、何故か埼玉県川越市の話題で盛り上がる我々…


4日目:2021年10月25日(月)

11:00 チェックアウト

チェックアウトまでの時間で、『夜中の電話』読了。
関西テレビ『よ~いドン!』の「となりの人間国宝さん」を見て(私はこのコーナーの大ファン)、チェックアウト。
雨は結構本降り。四条烏丸の大垣書店で雨宿り兼時間つぶし。
体調は、昨日より少しマシな程度。


11:30 「カプリ食堂」

11:30のオープンきっかりに「カプリ食堂」に入る。
ここのところ、ワンオペだった店員さんが2人いる。どうしたんだろうと思っていたら、店長がいきなり「僕、店長辞めたんですよ」とスッキリ笑顔。

聞けば、数か月前に店長に任命されたのだが、自分でも気づかないストレスが溜まり続けていたのだと言う。謎の体調不良に悩まされ続けた末に店長からの降格を申し出たそう。
「店長辞めるって決まった次の日、朝起きたら、体調不良が全部治ってたんです」
…目に見えないストレスほど、恐ろしいものはない。

「店長降格祝いに一杯いただいてもいいですか?」
本当にストレスだったのか?

「そういえば、この前、『名前』決めたんだよ」
元・店長が店員の男の子に言う。
『名前』とは私の呼び名のことで、私は一介の観光客として、お店に名前を憶えて欲しいと思わない(「ただ無名の旅人」が理想)。
だから、名前を聞かれると「旅の者です」と答えることにしている(とはいえ、長年の付き合いで名前を知っているお店が多いのもまた事実)。

で、「旅の者です」と言い続けた結果、「五黄の寅」ではいつの間にか『先生』と呼ばれるようになった(私は教師及びそれに類する職業ではない)。

で、「カプリ食堂」でつけられた『名前』が『神様』…。
そうか…一昨日、そんな話をしていたような記憶が、うっすら蘇る。
別に何と呼ばれようが構わないのだが、他のお客さんがいる前で呼ばないで欲しいと、念押ししておく。


14:30 「ひっとぽいんと」

京都の締めくくりは「ひっとぽいんと」。
「カプリ食堂」でつけられた『名前』のことを話すと、安原さん大爆笑。
ついでに、今回の旅で起こったことも話す。

「ええ話持ってるなぁ。そんなん、よく遭遇してない? いつか『小ネタ集』にして本書いたら?」

まぁ、本は無理だから、とりあえず、こうして「note」の記事にしてみた。


16:24 京都駅

新幹線の車内販売もアルコール解禁だったので、本当は京都駅で久しぶりに「551」を買ってビールでも飲もうと企んでいたのだが、予定よりもかなり遅い時間になってしまったので、そのまま新幹線に飛び乗る。

のぞみの自由席は、乗車率80%(私の体感)という混雑ぶり。
「551」を買わなくて良かった(危うく「551テロ」を引き起こすところだった)。
新幹線が京都を離れると、それまでの疲れがどっと押し寄せてきて、すぐに意識がなくなる。

しかし、今回の旅、これで終わらない。
10月25日は東京でも解禁されているので、この機会を逃す訳にはいかない。

東京駅で新幹線を降り、京葉線側の改札を出て、東京国際フォーラムに入る。


18:50 東京・有楽町「酒蔵レストラン 宝」

東京国際フォーラムの地下、ホールCの真下にある「酒蔵レストラン 宝」。

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旅の締めくくりは、このお店の「鍋」。

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女性店員の飛鳥さんにお世話してもらって出来上がった鍋

岡山の日本酒「嘉美心」などを呑みながら、鍋をつつく。

京都での出来事を思い返そうとするが、さっきまでの出来事だから、感情や思考をまとめることができない。
自分の体調が最悪になるのは毎度のことで(まぁこれだけ呑み歩いていれば、自業自得……)、それ以外では私自身ずっと機嫌よくお店にいられたし、他人に大きな迷惑を掛けなかったはずなので、まぁいい旅だった、と今のところは思う…ことにしておく。

最後に…
今回の旅でお世話になった方々、本当にありがとうございました。
皆さんのおかげで、今回も楽しく呑み続けることができました。


おまけ

それにしても、こういう飲み屋さん探訪記を書くのは難しいと、つくづく思い知った。
というのも、酒の席の事であり、会話の大半はプライベートな事や、(下ネタは少ないと言えど)文字にすると問題になりそうな事だったりと、たとえ本人の許可が得られたとしても書きづらいことだらけで、私の楽しかった体験の10分の1も書けなかった(もちろん、私の文才の無さこそが大きな原因だが)。
だから、飲み屋さんのことを書いている人たちって凄いなぁ、と改めて尊敬した次第だ。

なお、折角の旅行で観光地を巡らず、呑んでばかりいるのは大間違いだと思います。呑み過ぎて体調不良なんて、もっての外です。
旅行は、節度を持って楽しく過ごしましょう。
また、旅行でなくても、普段からお酒の飲み過ぎには気をつけましょう!


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