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映画鑑賞

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2021年7月の記事一覧

"落語家"笑福亭鶴瓶師匠のドキュメンタリー~映画『バケモン』~

映画『バケモン』(山根真吾監督、2021年。以下、本作)は、普段テレビで笑福亭鶴瓶師匠を見て無邪気に笑っている人に観てもらいたい。
その上でさらに、コロナ禍における映画館の窮状に心を痛めている人には是非観てもらいたい。
何故なら、前者は「テレビではほぼ観られない”落語家”笑福亭鶴瓶師匠を観られる」から。そして後者は「本作は映画館に無償で寄付され、チケット収入がそのまま映画館の収入になる」からである

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映画『海辺の金魚』

観終わった後、放心状態のまま帰途についた。
映画『海辺の金魚』(小川紗良監督、2021年。以下、本作)に、それほどまで打ちのめされたのだが、しかし、その理由が全く考えつかない。
観てきたばかりなのに、具体的なシーンすら思い浮かばない。
言葉・映像・セリフが未整理のままゴチャゴチャと頭の中で蠢いていて、心がそれに囚われている。きっと、それを放心状態というのだろう。

それでも、何か具体的な思考をしよ

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映画『いとみち』

ま、真逆だ……
「服のサイズは5号、泣き虫」ではなく、「服のサイズはLL、泣けない」と全くの真逆なのに、スクリーンに映るメイド服姿の16歳の少女は、まぎれもなく、あの「相馬いと」である!
そのことに何より感動した。

越谷オサム著の同名小説(新潮文庫。以下、原作)を映画化した『いとみち』(横浜聡子監督、2021年。以下、本作)の主人公は高校1年生の相馬いと(駒井蓮)。
いとは幼い時に母を亡くし、父

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「映画配給」という仕事

映画の冒頭、本編が始まる前に、配給会社のロゴ映像が流れる(「前づけ」と言うそうだ)。
たとえば、「ライオンの雄たけび」「自由の女神のようなシンボル」、こう書いただけで映像が浮かび上がってくる。
映画ファンならずとも「配給会社」という言葉は知っていると思うが、しかし、それがどういう仕事を担っているかは、映画ファンでもあまり知らないのではないだろうか。

1987年に洋画配給会社を興した高野てるみ氏は

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