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観劇

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観劇の感想など
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#劇評

ピーターが内包する矛盾~ミュージカル『ピーター・パン』(2024年)~

11代目ピーター・パン 山崎玲奈の2年目の夏。 小野田龍之介のフック船長も、そして演出の長谷…

アンマchan
2週間前

舞台『らんぼうものめ』

大人になっちゃったな。 53歳のオヤジが何を言うという感じだが、2024年夏のKAAT(神奈川芸術劇…

アンマchan
3週間前
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自分自身を簡単に他者に明け渡さないために~iaku公演 舞台『流れんな』~(追記)

「理想」や「正論」で腹一杯にはならない。 「不浄」だと忌み嫌っても、排泄をせずに生きては…

アンマchan
3週間前

舞台『ふくすけ2024 歌舞伎町黙示録』(ネタバレ?)

新宿・歌舞伎町にある全ての建物を見下ろせるビルに、本当にコズマ三姉妹が立つ日が来るとは!…

アンマchan
3週間前
18

誰の言葉なのか~舞台『メディスン』~

これは一体、誰の言葉なのか? 舞台『メディスン』(エンダ・ウォルシュ作、小宮山智津子訳、…

アンマchan
1か月前
2

「想像力」を取り戻す~舞台『未来少年コナン』~

1970年生まれの私だが、正直に言うと、1978年に放送された日本アニメーション制作の『未来少年…

アンマchan
2か月前
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史実に基づいた"IF"の物語の先~音楽劇『瀧廉太郎の友人、と知人とその他の諸々』~

♪兎追いし彼の山 恐らく、日本で生まれ育った人ならこの続きが歌えるのではないか。 1914(大正3)年に尋常小学唱歌(音楽の授業で歌う曲)として発表された「故郷」、実は1960年代まで作詞・作曲者が明かされていなかったのだという。 現在では高野辰之作詞・岡野貞一作曲として教科書に載っている。 上記の出典はWikipediaだが、岡野貞一(1878-1941)と同世代で同時期に東京音楽学校(現・東京芸術大学)に在籍していた日本を代表する作曲家・滝廉太郎(1879-1903)に

ワインで反戦を訴える~舞台『ワインガールズ』~

華やかな香りとフレッシュな舌触りに心地良さを感じた後、しかし、腹にガツンときて、それが持…

アンマchan
3か月前
1

「帰れない男」は誰だ?~舞台『帰れない男~慰留と斡旋の攻防~』~

舞台『帰れない男~慰留と斡旋の攻防~』(倉持裕作・演出。以下、本作)。 一体、誰が『帰れな…

アンマchan
3か月前
18

芝居を演ること、芝居を観ること~舞台『あのよこのよ』~

演劇の魅力・面白さは「見立て」にある。 劇作家・演出家・俳優の野田秀樹氏は、そういったこ…

アンマchan
4か月前
9

舞台『骨と軽蔑』を観て思った取り留めのないこと…(感想に非ず)

自身の劇団などで作・演出したケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、KERA)の過去作を別の演出家…

アンマchan
4か月前
2

舞台『東京輪舞』を観て思った取り留めのないこと…(感想に非ず)

舞台『東京輪舞』(アルトゥル・シュニッツラー原作、山本卓卓作、杉原邦生演出。以下、本作)を…

アンマchan
5か月前
5

舞台『緑に満ちる夜は長く』

舞台『緑に満ちる夜は長く』(田村孝裕作・演出。以下、本作)の公式サイトで「あらすじ」を読ん…

アンマchan
5か月前
5

夜を往く者たち~舞台『ボイラーマン』~

夜は人を狂わせる。 自己陶酔だけの素人小説の書き出しみたいだが、実際「夜」というのは、そういった魔力みたいなものを持っている。 ある者は他者との密な関わりに気が狂いそうになり、ある者は絶望的な孤独に気が狂いそうになり、たまらず夜の街に飛び出してしまう。 人気のない街、明かりが消えた家々を見ながら、誰でもない「ただ自分」が確かに存在することに悦びを覚え、同時に、自分独りしかいないことに絶望する。 そして時折すれ違う人たちと自分を重ね、不思議な連帯を感じたりする。 舞台『ボイ