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シニアになって働く意味を考える㉑ ~リストラ役の経験から得た学びをいかし、満を持して退職、そしてライフワークへ乗り出す~

 定年前後のシニアに「働くことの意味」についてインタビューした記事です。一人一人のインタビューを積み重ねて、「働くことの意味」のスペクトラムを描こうと思っています。目指すは100人インタビュー!今回は21人目です。



65歳で大手グローバル企業を退職しライフワークに邁進中

 Kさん(66歳2023年時点)は、昨年大手電機メーカーを退職し、在職期間から念入りに準備してきたライフワークに乗り出している。そのライフワークとは「世代を超えた教育プラットフォーム」の構築だ。その構想をお伝えする前に、どうしてこの活動に至ったかを紹介する。

世界No.1の商品開発をしていたが、いつの間にかリストラする仕事に

 大手電機メーカーで、世界No.1の商品開発に従事していたが、中国・韓国メーカーの躍進に対抗できず会社が経営危機に陥る。その後、組織開発や人材育成業務をしながら、リストラ(人員整理)に従事するというジレンマに葛藤する。日本の電機メーカーが衰退した理由を探る中、メーカー自身の問題だけではなく、日本特有の病のようなものが蔓延しているのではと疑問を持ち始める。
 そこで「仕事人生満足度曲線」を描いてもらいました。50歳代前半の下降局面にこの時の状況が反映されているようで、52歳(2009年)で最低ポイントに達する。

50歳代中盤からの上昇のきっかけは?

 Kさんのこの疑問追求への執念からか、その後、実践経営、人的資源管理、コーチング、人事戦略、ドラッカーマネジメントなど社内外の研修・講習会への参加を重ねる。60歳代に向けて「仕事人生満足度」は上昇してゆき、この疑問へのKさんなりの解答か浮かび上がってくる。そして、地域サロンなどで講演するようになるまで考えが深まっていく。

満を持して退職、疑問の解答に向けての実践をライフワークに

 Kさんが行き着いた答えは、課題が課題だけにとても一言で伝えきれないが、私なりに簡略化してみた。「要は今までの教育を変革し、先達の智慧を学び、日本文化とグローバル経済の真の仕組みをちゃんと理解すること。このことを日本のこどもに伝えるプラットフォームづくり」ということになると思います。
 それを実践するための教育を提供するプラットフォームを立上げ中だ。その柱は以下の3つ。(1)インターネット上にある質の高い教育コンテンツを選定し提供する、(2)先輩から学べるオンライン講座、(3)同志のネットワークづくり。HPも立上げ、Kさんのこれまでのバックグランドや人脈をフル回転させて、着々と準備を進められているそうです。

「オレ、何で働いてるの?の図」

 著者の勝手な指標で作った「オレ、何で働いてるの?の図」を作ってもらいました。Kさんのは、こんな感じです。

 Kさんの労働観は、「他者との絆」、「自己実現」と「自立」に重み付けも満足度も高く、動き出したライフワークの実践を象徴しているかのようです。

プライベートでも「リアル」を経験

 
 60、64、65歳で立て続けに大病を患い、ご家族(退職後の奥さんとの家事シェア、娘さん2人も成人され、お孫さんも誕生)との向き合い方にも変化があり、親御さんの介護にも直面している。
 グローバル企業勤務時代から抱いた「疑問」から始まり、「学びの旅」で試行錯誤を重ねて行き着いたライフワーク。その上、プライベートでも大きな変化を経験されました。Kさんのこれからのご活躍を祈念します。

後記:


 労働観の中には、もちろん「生計を立てる(=おカネ)」は重要ですが、「働くことの喜びの享受」ということにも大きな意味があると思います。このような働き方ができる人は、それほど多くはないと思います。寿命が延びた現在、そういったことを目指す人が増えてくると思いました。

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