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【毒親連載小説#66】成人後も続く毒親からの呪縛①

私は両親と
一緒に暮らしていた
あの20年余りの間、
この忌々しい
毒親の元を離れれば、
苦痛から解放されて
私は幸せになれる。

そう強く信じていた。

いや、そう信じないと、
とてもじゃないが
生命をつなぐことは
できなかっただろう。

実際に私は、
大学3年の頃に家出をし、
そこから20年以上、
両親とは物理的距離を
置いてきたはずだった。

それにも関わらず、
私はつい最近まで
両親からの精神的呪縛から
抜け出せずにいて、
毎日どこか虚しさや
生きづらさの鎧を纏いながら
生き続けてきた。

この感覚は一体、
なんなのだろう?

私はなんで幸せを
感じられないのだろう…?

いくら自分に
問いかけてみたとしても
その答えを教えてくれる人は
誰もいなかった。

私はそんな生きづらさを
振り払うかのごとく、
タバコやお酒や恋愛、
仕事に溺れ続けた。

20代の頃は
スピリチュアルの書籍を
貪るように読んだし、
30代の頃は
自己啓発セミナーなどに
傾倒した。

仕事をしている間、
タバコを吸っている間、
恋愛をしている間…。

また、セミナーや
書籍を読んでいる間…
その時だけはしばし、
この生きづらさを
忘れられたような気もした。

しかし、
その時間が終わりを迎え
日常生活に戻れば、
また蟻地獄のように
両親の問題に巻き込まれ続け、
共依存の罠に嵌り続けて
しまっていた。

その元凶は
家族の中に存在する
絶対的ルール…

「親」という
絶対的権力の洗脳だった。

私は両親との
20年余りの生活の中で
苦しみ続け、家出をした。

物理的に両親の元を
離れたにも関わらず、
なお私を苦しめ続けてきたのは、
この絶対的権力の下に
行使され続けてきた体罰や
洗脳に完全に
支配され続けてきたことだった。

成人した頃には
親がゾウ使いで
私は完全なる
「サーカスの象」だった。

小象の鎖、象の鎖のごとく、
私は幼い頃から
無数に受けた体罰や暴言や、

「お前は娘なのに冷たい」
「お前の母親だろ」
「そんなことを言うなら
 親子の縁を切る」

などという
親子の情を使った言葉で脅され、
精神的洗脳をされてきた。

私は完全に杭につながれた
鎖の象として無数に
鞭を打たれ続けながら
「従順な子供」を
演じるほかなかった。

(つづく)


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