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【毒親連載小説#56】オーストラリア編 4〜中庸への道〜

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中国の産婦人科は
男性は入室できない。

私は一人で長蛇の列に並び、
検診結果を待っていたのだが、
中国の医者は忙しそうに
そして、面倒臭そうな表情で
私の検診結果をチラッと見ながら、
面倒臭そうな口調でこう一言。

「育ってないよ」

私は突然のこの一言に
完全に固まっていた。

その言葉の意味は分かっても、
私はその現実を受け止められずにいた。

動揺を隠せず私はとっさに
「中国だから誤診の可能性も高い。
 別の病院に行こう」
こう、旦那に言った。

その後、
日系の別の病院に行き
もう一度検査をしてもらったが、
やはり結果は同じだった。

「稽留流産」

それは赤ちゃんを育てる
袋だけが作られていて、
中身は空っぽで
全く発育していなかった状態。

生まれて初めての妊娠と流産…。

それは、突然、
風のように突然やって来て、
一瞬で過ぎ去っていってしまった
儚い生命だった…。

私は体の見た目も胎動も
何の変化も感じられないまま、
手術をすることになった。

私はこの状況にただただ
呆然とするばかりだったし
この現実から逃避したかった。

しかし、
実際に手術をしなくてはならない
という現実がやってくると同時に、
肉体的にも精神的にもじわじわと
やってくる鈍い痛みが
いつまでもしつこく
まとわりついてくるようだった。

(つづく)

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