最高の支援は、相手のために「そこにいる」こと

利用者支援員さんからご質問をいただきました。
「子どもとべったり一緒にいなければならない未就学児の母親のストレスにどう対応したらよいでしょうか。体調を崩したり、子どもに手が出たりと問題が表面化してきています。支援者は寄り添い、共感しながら、気分転換のお手伝いをし、見守り支える事しかできていないのですが、それだけで良いのでしょうか。他にも良い方法があるのでしょうか?」

■寄り添い、共感する、はパワフルだけれどとっても難しい

「寄り添い、共感しながら、見守り支えることしかできない」ということですが、
それ以上の何を望みますか?
それ以上の何ができますか?
それができれば、最高の支援になっているのではないかと思います。

愛する人に与えることができる最も尊い贈り物は、
相手のために「そこにいる」こと
 ティック・ナット・ハン

■相手のために「そこにいる」ために必要なこと

「そこにいる」だけでいいの?と思うかもしれませんが、物理的にいればいいということではなく、自分のニーズや期待を横におき、”空(から)”で目の前の相手に関心を向け、穏やかに見守る、”あり方”が肝心です。

この”あり方”のためには、支援者自身の内面の状態を整えることが必要ですが、これがとても難しいのです。なぜなら、自分自身の感情が無意識に揺さぶられるからです。
子どもをきつく叱ったり、時には手がでてしまう子育てママと対面していると、苦しそうでいたたまれなくなったり、子どもがかわいそうになったり、早く相手を変えなければと焦ったり、さまざまな感情が起こります。
こんな風に自分の気持ちが揺さぶられているときは、あたたかい気持ちで、ただそこにいて、寄り添うことなどできません。

心穏やかでいられない、と感じた時は、ワークを受けたり、自分の中で沸き起こってくる気持ちを誰かに共感的に聴いてもらいましょう。そして、自分自身が落ち着いてから親御さんの支援にあたることをお勧めします。

■ママだって甘えたいときもある

未就学児とは普通の大人の会話ができません。それだけでもストレスになります。また、自分がいっぱい、いっぱいなときに、幼い子が甘えてきたり、好き放題にふるまったりするのをみると、「私はこんなにがんばっているのに!」とカッとなることもあるでしょう。そんなときに、ただ話を聴いてもらって「ずっといろいろなことをがまんしてきた、私も誰かに甘えたかったんだ」などと自分の気持ちに気づくだけでも楽になります。それゆえ、話を聴いてもらった後は、話す前より表情が緩んだり、落ち着いたりされるのではないかと思います。

支援員さん自身が、話を聴くだけでは不十分ではないかと心配なときは、相手に「お話を聴くことしかできなかったけれど、他に何かしてほしいことはありますか?」と尋ねてみるといいです。
察して先回りして動くことは、”あなたには解決する能力がない”と言っているようなものです。相手のニーズを尋ねることは、相手を信じて、尊重することにつながります。

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