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片づけと心

コロナ禍で外出自粛生活に入ったとき、あるお店の店主のことが気になりました。それは、昨年秋にクリエイティビティ・ラボの引っ越しをした際に買い物をしたお店です。私たちにとっては、高額で大きな買い物でしたが、”講座にいらっしゃる皆さんが、ここでほっと落ち着いて、安心して過ごせるようにしたい”、という想いを話すと、深く共感していただき、満足いく買い物ができました。

この春、緊急事態宣言が出てラボにいる時間が長くなり、そのお店で購入したものに心を癒される度に、その店主のことが気になり出しました。生活必需品ではないので店舗営業はできないだろうし、このご時世に高額商品は後回しになるだろうし、ネットで買えるようなものではないし・・・などと、余計なお世話の心配をしていました。
そんなとき「余裕ができたら買います」と言っていたものがあったことを思い出し、(時間の余裕だけはできたので)その店主に連絡をとってみると、大変喜んでいただき、予約客にはそのときだけお店を開けるのでぜひいらしてください。とのこと。地図を見ながら30分ほど歩いてお店に行きました。

そのときの雑談の中で、心に残るお話がありました。
そのお店は、大きな通りのビルの1階に入っているのですが、以前は隣のビルの1階に入っていて、毎朝、自分のお店の前の掃除をするついでに隣近所もお掃除をしていたそうです。
ある日、いつものように掃除をしていると、隣のビル(今お店が入っているビル)のオーナーさんに「・・・さん、うちのビルに入りませんか?」と声をかけられ、それならと隣のビルに引っ越しをされたそうです。
「自分が気持ちいいから掃除をしていただけなんですけれどね」とその店主はおっしゃっていましたが、ビルのオーナーさんは、掃除をする姿をみて、物や人を大事にする”心のある人”だと見抜かれたのでしょう。

そして、東京都の緊急事態宣言を受け、お店は休業に入ると、お店の休業の張り紙を見たビルのオーナーさんから電話が入り「今月の家賃は要りません。お店が休業されているのに家賃をいただくわけにはいきません。」とおっしゃったそうです。「そういうわけにはいきません、それは申し訳ないのでお支払いします。」というやりとりをしたとのことです。
私たちの生きる姿勢は、自然に意識しないところに現れてくるのだということを痛感させられました。

心と体を扱う者として、物や空間や環境を通して自分の心を整えることの大切さをわかっているつもりですが、実践となるとまだまだ理想通りにはいきません。皆さんと一緒に、環境と心との関係に向き合っていきたいと思います。

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