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季節の移り替わりと大人への成長!   「夏へのトンネル、さよならの出口」 感想

はじめに

こんばんは。
SF風青春ボーイミーツガールアニメ映画が刺さりすぎた一般人です。
いやね、一年前にこの映画の公開のことを知ってたんですよ。
でも見に行かなかった。
当時はそれほど心の余裕もなかったし、映画をみることがそもそもなかった。

いまアマプラで見たんですけど
最高でした!
なんで当時行かなかったのよ!

こういう映画だめなんだよな。
しばらくこの映画のことしか考えなくなるから。
感想をいつも通り、ぐだぐだ書きなぐります。


作画きれいすぎやろ

まじで綺麗。というか美麗ですね。
ウラシマトンネルの中の紅葉のシーンとか、夏祭りのシーンとか
駅で電車を待っているシーンとか
ほんとに名画が多すぎる。

「君の名は。」以降、背景や風景の作画がきれいなアニメ映画が増えた印象ですが、この作品は絵だけでも感動できる!
個人的に駅でのシーンがお気に入りでした!
2人の心の距離間が現れてて最高だよね。

主人公「塔野カオル君」について

妹大好きお兄ちゃんと思ったけど、妹を失う原因を作った過去の自分の罪に囚われ続けている人と感じた。過去にとどまっている人。
マジで罪悪感の塊だし、かなり自罰的というか自分のことに無頓着に見える。

最初、親父にキレられて家から飛び出した後の、電車に引かれかけるところからも死にたがりというか、「妹に会いたい」もしくは、「妹がいるところに行きたい」みたいな気持ちが強いように見える。自殺願望?
だからこそ、「ウラシマトンネル」という「妹に会える」かもしれない希望にすがってしまうのも仕方ないとも思えるな~。

花城さんは塔野くんを「自分の願いのために、他のすべてを躊躇なく犠牲にできるでしょ」と言ってたけど、これは半分あたってるし、半分違う気がする。
「他のすべてを躊躇なく犠牲にできる」の部分は、あくまでも塔野くん自身までのことであって、周囲を巻き込んでまでではないんだろうな。実際、花城さんがトンネルに来たときはすぐ引き返したし、最後のシーンも一人だし。
極端に自己への関心が薄いせいで、自己犠牲も厭わないし、自身が傷つくことにも無頓着。ウラシマトンネルの「願いの代わりに年を取る」のデメリットに対して、自分が何百年後の世界に出てきたとしても構わないみたいなスタンスだし。

逆に、他者を気遣えるくらいには周りを見てるんだよな。
花城さんの漫画への思いを最初の出会いの封筒から推測してるし、漫画が評価されてトンネルに入るか悩んでいることも察してるし。
親父にも、自分が妹を失う原因を作ってる=家族を壊したという考えで、あんなに怒られても対して反抗しないし。親父の苦しみに共感できるからとも思えるし、自罰的とも思える。

それでも、彼の願いは「妹に会いたい」「妹を取り戻したい」ってのが最高に自己中心的だよな。
妹の未来を奪った罪悪感から取り戻そうとしてるなら、千年後に2人だけででてきてどうするんだろうと思うし。
崩壊した家族を元に戻すためなら、そもそも妹を取り戻しても何年もたってるなら意味ないし。
妹のためってよりは、「妹を殺した自分を許してほしい」みたいな感じの方がしっくりくる。
結構一人よがりだとは思う。
そうしなければならないほど、追い詰められた結果なのかもだけど。

自己が薄いと言ったけれども、彼は本質的には自分しか見ていないのかもしれない。ちゃんというと過去の自分かな。
今の自分も、未来の自分もどうでもいいから、過去の妹との思い出を取り戻したい。だから、あんなに今の自分に対しては無頓着とも考えられる。

親父の再婚のシーンで嘔吐した時とか、塔野くんが考えていたよりもショックを感じたのかもしれない。
未来を向いている親父たちの向こう側にみえる亡き妹の写真。
このシーンで彼は、自分が過去しか見てないことに気づいて、親父とは決別する道を選んだのかも。

そんな彼が、自分しか考えていないと思ったら周囲の評価や家族の関わりに苦しむ花城さんと出会って、本当に大切なものに気づくっていうのも、
物語として綺麗な流れだなと思いました。

というか、2人でトンネルを入る計画を立ててる段階では、花城さんを道連れにするつもりにも見えるから、その時点で花城さんは塔野くんにとって必要な存在になってるとも言えるよな。この時点では彼は気づいてないかもだけど。
というか自分の願いに気づいていても、周りは巻き込めない思考が働いてわざと遠ざけたともいえる。
その結果、自分の願いと大切なものに気づいたのだけどね。

主人公もヒロインも、ウラシマトンネルの攻略を通じて
本質的に欲しがっているもの、必要な存在を既に手に入れているのが面白いよな。
塔野くんは、妹と同じくらい自分を想ってくれている存在。
花城さんは、自分を認めてくれる存在。

最後の妹との会話とかマジで泣いたわ。
花城さんのメールから、「お兄ちゃん大好き!」「いってきます」の流れは泣きすぎて前見えなかった。
涙腺よわよわなのよ。

花城さんのメールが届いたのも、「塔野くんが携帯を捨てたから」または「大切だった花城さんとの繋がりを消したから」だろうな。
だから最後につながったんだろうし、ウラシマトンネルのおかげで、自分が花城さんを大切だと思っていたことに気づくんだよな~。
マジで最高。
SF要素がちゃんと活きてる。


ヒロイン「花城あんずさん」について

映画開始10分足らずで、主人公に舌打ちし、絡んできた女子にストレートをお見舞いするヒロインはなかなかいないでしょ。

かなり自己が確立されていて、良くも悪くも自分の考えのみを指針に行動してるように見える。
でも実際は、周囲の評価や家族からの見られ方に悩み苦しむ女の子。
周りを気にしないと見せかけて、実際はかなり気にしてる。
自己の中に芯があるようで、自信はないとも思える。だから最初あんなに、気丈に振舞って、壁作りまくってたのかもね。
ここは、周りを気遣っているようで実は自分の願いしか考えていなかった塔野くんとの対比かもしれない。

よくよく考えると冒頭の花城さんは、家族に漫画家のことを否定されて島流しされた直後か。そりゃそうなるよ。情緒不安定。
そんな状態で大好きな祖父の漫画を馬鹿にされれば、拳がでますよね。
なんか納得。

彼女は「時代に自分を刻み付けるような圧倒的な才能」を欲していた。
その願いの根底は、祖父との思い出。
祖父は売れなくても漫画を描き続けていた。
自分が大好きな祖父が時代にも家族にも認めらえず死んでいった。
だからこそ、自分は時代に残るような漫画を描きたい。

私は最初、彼女の願いの理由が「おじいちゃんのため!」なのかなと思ったけど、実は違って彼女もまた「自分のため」なのかな、とも思いました。

漫画の楽しさを教えてくれた祖父がこの時代に何も残せず死んでしまったことに、悲しさと同時に「こうなりたくない」とも彼女は考えたと思う。
残酷に言うと「祖父のように何者でもないまま消えたくない」
これによって彼女は「才能」を欲したともいえるかなと考えました。
だから「才能がない」とはっきりと判断されるかもしれない漫画の原稿を送るという行動を、とれなかったのかもね。
それを可能にした塔野くんの存在よ。

まぁ、才能は実は最初から持っていたものなので、彼女に足りなかったのは「前に進む自信」と「彼女を見てくれる存在」。
だから、塔野くんと出会って前に進めるようにもなってる。
ほんとに素敵よね~。

マジで8年も同じ男思い続けるってすごいなとか思ったけど、
あの時点で塔野君に脳を焼かれているので、致し方なし。

願いについてだけど、花城さんは漫画を描くための「才能」
塔野くんは「失った妹」。
ここも未来を考えている花城さんと、過去を見ている塔野くんで対比なのかも。


親父について

塔野くんパパ。
その後どうなったんだろう。
塔野くんが10年近く失踪しているわけですが、再婚相手と上手くいってるのかな。心配です。

酒癖悪くて息子にきつく当たったり、再婚相手を急に連れてきたりで、結構「ん~」と思わなくもない人だけど、同情の余地はかなりある。

妹を事故でなくして、奥さんに逃げられ、家族崩壊してるからな。
だいぶきついよ。
それでも息子を育てなきゃいけないのが親なんだよな。
だから、再婚して東京に行くという未来のことを考えた選択をしてるんだけど、いかんせんタイミングが…。
ある意味これも塔野くんが過去見てるのと対比されてるよな。
ちゃんと前向いて進もうとしてるし。ただ、もうちょっと息子を見てほしかったな。
再婚って、当人同士よりも子供が一番きついからなー。
特に思春期は。
塔野くんが「家族をすてた」「妹を忘れようとしている」みたいな感じで思っても仕方ないかもしれない。最後クソおやじ言うてるし笑

こんな感じでも、息子を想う気持ちはあるから、なんか憎めない。
10年後も息子のことを探し続けていてほしいとは思う。

最後に

なんか、見てよかったーと思いました。
トラぺジウムもそうだけど、「面白い!」「たのしい!」というより、「見れてよかった!」と感じる映画は貴重!
なんか染み込んでくるんだよな!こういう映画は!

なんか季節を感じる映画だよね。
夏といえばこれになるのかもしれない。私のなかでは。

アマプラでまたみるかもなー

てか後日談あるらしいじゃん!
もう読めないんだよな。
残念。
ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

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