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灰被
ぼくが煙の軌道を借りて星の表面に降って来る
そういう日には、誰を
探すわけでもなく、
切り離してきたものたちと飛んで、
美しい並木の先で待つ
劇場へ向かう
風の途中、冬に吹かれて
空と溶け合う、
あとすこし、深くても
浅くても
生まれて来なかった、と
思いたがっている、流れ出す言葉たちを
受け止めて
透かしてみても見えない傷の、そばで雪が
休んでいる、朝にはさようなら、頭の中を
流れる水の気配、ひとりのとき
水だけが そこに触れていた、
そこへ向かう
ぼくを誰かが肩先で払うとき、
輝く焔の幕に包み込まれて
回る、星の背中も
よく見えている
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